調査のきっかけ
- 定期監督:計画に基づく調査
- 申告監督:労働者からの申告に基づく調査
- 災害時監督:労災が発生した場合
- 再監督:是正勧告後の確認
食品工場では、労災の発生や退職者からの申告がきっかけになることがあります。
準備しておく書類
次は、いつ求められてもすぐ出せる状態にしておいてください。
- 就業規則(届出済みのもの)と、賃金規程・退職金規程
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿・タイムカード
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 36協定(届出済み)
- 変形労働時間制の労使協定(届出済み)
- 年次有給休暇管理簿
- 健康診断の結果と実施記録
- 安全衛生管理者等の選任状況
- 労働災害の記録
「探せば出てくる」では不十分です。1か所にまとめて、誰でも取り出せるようにしてください。
食品工場で指摘されやすい項目
1. 労働時間の把握
- タイムカードと実際の作業時間のずれ
- 着替え・清掃時間の扱い
- 自己申告制の運用
着替え・手洗い・清掃の時間はどう扱うかをご覧ください。
2. 割増賃金の未払い
上記のずれから生じる未払い、算定基礎の誤り、固定残業代の不備。未払い残業が見つかったときの対応をご覧ください。
3. 36協定
- 締結・届出をしていない
- 有効期間が切れている
- 協定の範囲を超えて働かせている
- 上限規制に違反している
- 労働者代表の選出手続きが不適切
36協定の点検をご覧ください。
4. 変形労働時間制の運用
要件を満たさない運用。変形労働時間制の点検をご覧ください。
5. 就業規則
- 作成・届出をしていない
- 周知していない
- 法改正に対応していない
6. 労働条件の明示
書面での明示がされていない、記載事項が不足している。雇用契約書と労働条件通知書の整備をご覧ください。
7. 安全衛生
- 機械の安全カバー・インターロックの不備
- 必要な選任がなされていない
- 健康診断の未実施
- 安全衛生教育の未実施
機械の挟まれ・巻き込まれをどう防ぐかをご覧ください。
8. 年次有給休暇
年5日の未達成、管理簿の未作成。年5日の年次有給休暇をご覧ください。
調査当日の対応
やるべきこと
- 求められた書類を速やかに提示する
- 分からないことは「確認して回答する」と答える
- 指摘された内容をメモする
- 現場の案内には、実態を知っている人が同行する
避けるべきこと
- 虚偽の説明をする
- 書類を改ざんする
- 従業員に口裏を合わせるよう指示する
- 感情的に反論する
虚偽や改ざんは、それ自体が重大な問題になります。事実を正確に伝え、是正する姿勢を示すことが最善です。
是正勧告を受けたら
- 指摘の内容と根拠を正確に理解する
- 是正の方法を検討する(専門家に相談)
- 期限までに是正する
- 是正報告書を提出する
- 再発防止の仕組みを作る
期限までに対応できない場合は、事前に相談してください。放置が最も問題です。
調査を「使う」という発想
指摘された内容は、自社の労務リスクそのものです。是正すれば、次の効果があります。
- 未払いの累積が止まる
- M&Aでの指摘リスクが減る
- 従業員の信頼が高まる
- 退職者からの請求リスクが減る
承継を控えているなら、指摘を受けたことは是正の好機と捉えてください。
調査を待たずに点検する
最も望ましいのは、調査が来る前に自主的に点検することです。
社会保険労務士に依頼して、上記の項目を点検してもらう。費用はかかりますが、後から発生しうる未払い額と比べれば小さな投資です。労務デューデリに備えるをご覧ください。
M&Aとの関係
買収監査では、過去に是正勧告を受けたかが確認されます。
受けたこと自体は決定的な減点ではありません。是正が完了し、記録が残っているかが見られます。逆に、勧告を受けたまま是正していない状態は、強い減点要因です。
※ 調査の内容や指摘事項は個別の事情によって異なります。是正の対応にあたっては、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。