シフト作成が難しい理由
- 受注が直前まで確定しない
- 工程ごとに必要なスキルが違う
- パートは勤務可能な曜日・時間が限られる
- 欠勤が出ると代替が効かない
- 繁閑差が大きい
これらを人の頭の中だけで調整していると、作成者が抜けた瞬間に回らなくなります。承継の観点でも重要な論点です。
法令との整合を先に押さえる
変形労働時間制を採用している場合
各日・各週の労働時間を事前に特定しておく必要があります。受注に応じてその都度決める運用は、制度の前提と合いません。
年間カレンダーを先に作り、その枠内でシフトを組む形にしてください。変形労働時間制の点検をご覧ください。
36協定の上限
個人ごとの時間外労働の累計を把握し、上限に近づいている人を配置から外す判断が必要です。36協定の点検をご覧ください。
有給休暇
年5日の取得を、シフトに組み込んでください。後回しにすると期末に破綻します。年5日の年次有給休暇をご覧ください。
休憩と休日
- 労働時間に応じた休憩の付与
- 週1日または4週4日の休日
- 深夜勤務がある場合の健康配慮
欠員に強いシフトの組み方
1. スキルマップを土台にする
誰がどの工程をできるかを一覧にし、1工程あたり2人以上できる状態を目指します。これがないと、シフトは常に綱渡りになります。多能工化とスキルマップをご覧ください。
2. 必要人数を工程別に定義する
「このラインを回すには最低◯人、うち◯番工程ができる人が◯人」と明確にします。感覚ではなく数字にすることで、欠員時の判断が速くなります。
3. 余裕を1人分だけ持つ
常に最小人数で組むと、1人休んだだけで止まります。1人分の余裕を持たせ、その人を改善活動や教育に充てる設計が有効です。
4. 応援ルールを決めておく
「Aラインが欠員のときは、Bラインの◯◯が入る」といったルールを事前に決めます。その場で探すと時間がかかります。
5. 早番・遅番の固定を避けすぎない
固定すると本人は生活しやすい一方、欠員時の融通が効きません。一部を固定し、一部をローテーションする組み合わせが現実的です。
繁閑への対応
需要予測の精度を上げる
シフトの精度は、生産計画の精度に依存します。作りすぎも人手不足も、需要予測のずれから生じます。仕込み計画と需要予測をご覧ください。
繁忙期の人員確保
- 短期の応援要員を確保する(過去の退職者、学生など)
- 閑散期に休暇を集中させて、繁忙期に備える
- 繁忙期の前に教育を済ませておく
閑散期の活用
閑散期は、教育、多能工化、設備のメンテナンス、改善活動に充てる時期です。人を遊ばせるのではなく、繁忙期に効く準備をしてください。
作成を属人化させない
シフト作成が特定の1人にしかできない状態は、承継の障害になります。次の対策を取ってください。
- 作成のルールを文書化する(必要人数、スキル要件、法令上の制約)
- スキルマップを最新に保つ
- 複数人が作成できるようにする
- システム化を検討する
勤怠システムの選び方は勤怠システムの入れ替えをご覧ください。
記録として残すこと
- 作成したシフト表(事前に確定したもの)
- 変更があった場合、変更の内容と理由
- 実際の勤務実績
「事前に作成したシフト」と「実績」の両方を残すことが重要です。変形労働時間制の要件を満たしているかの証明になります。
承継時に確認される点
- シフトが事前に確定しているか
- 変更の頻度と、その手続き
- 実績との整合
- 作成が属人化していないか
- スキルマップが整備されているか
4番目と5番目は、買い手が人の定着リスクを見るうえで重要な材料になります。人が残るかどうかは価格に影響するかをご覧ください。
※ 労働関係法令の具体的な取扱いは、改正や個別の事情によって異なります。実行にあたっては、管轄の労働基準監督署および社会保険労務士等の専門家にご確認ください。