何を測るか
やみくもに集めても使えません。打ち手につながる4つに絞ってください。
| データ | 何に使うか |
|---|---|
| 稼働・停止 | 稼働率の改善、チョコ停の削減 |
| 生産数量 | 原価計算、歩留まりの把握 |
| 不良数 | ロスの削減、品質改善 |
| 作業時間・人数 | 労務費の配賦、生産性の把握 |
この4つがあれば、原価計算も稼働率の分析もできます。原価計算を始めるとライン稼働率の見方をご覧ください。
収集の手段
段階1:日報の様式を変える(費用ゼロ)
まずここから始めてください。製造日報に次の欄を追加します。
- 品目、ロット
- 開始時刻・終了時刻
- 投入量、生産数、不良数
- 作業人数
- 停止した時刻・時間・理由(理由は選択式)
最後の項目が最も価値があります。止まった理由が分かると、改善の対象が決まります。
段階2:設備から信号を取る
設備の運転信号、パトライトの信号、生産カウンターの信号を取り込む方法です。
- 既存の設備に後付けできる装置がある
- 配線工事が必要な場合と、不要な場合がある
- チョコ停は人が記録できないため、自動収集の価値が高い
チョコ停(1回数分の短い停止)は、記録されないまま積み上がります。自動で取れると、実態が初めて見えます。
段階3:生産管理システムと連携
計画と実績を突き合わせ、原価まで自動で計算する形です。生産管理システムの入れ方をご覧ください。
食品工場での実務上の注意
1. 何を1単位とするか
個数か、重量か、ロットか。品目によって単位が違うことが食品工場の難しさです。
重量で管理する品目と、個数で管理する品目を、どう統一して集計するかを決めてください。
2. 歩留まりを測るには
投入量と産出量の両方が必要です。片方だけでは歩留まりが出ません。
原料の投入量を記録する仕組み(計量器のデータ取得、または手入力)を用意してください。
3. 段取り替えの時間を分ける
「停止」の中に段取り替えが含まれていると、改善の対象が見えません。停止の理由を分類してください。
- 段取り替え(洗浄、調整)
- 故障
- チョコ停
- 材料待ち
- 人待ち
- 計画停止(休憩、清掃)
段取り替え時間の短縮をご覧ください。
4. 機器の設置環境
水、洗剤、低温、異物混入のリスク。製造区域に置く機器は、環境に耐えられるかを確認してください。衛生記録の電子化で確認点を挙げています。
データの使い方
1. 日次で見る
- 計画に対する進捗
- 停止時間と理由
- 不良の発生
翌日の朝礼で共有すると、現場の意識が変わります。
2. 週次・月次で見る
- 稼働率の推移
- 停止理由の内訳(金額換算)
- 品目別の歩留まり
- 1人時あたりの生産数
3. 改善につなげる
金額の大きいものから手をつけてください。「チョコ停で月◯時間、金額に換算すると◯万円」と示せると、優先順位が決まります。
現場に返す
データを事務所だけで見ていると、改善は進みません。
- グラフにして現場に掲示する
- 朝礼で前日の結果を共有する
- 改善の効果を数字で見せる
「先月より稼働率が3%上がった」と伝えると、現場の見方が変わります。
やってはいけないこと
- 個人の成績として使う:数字が正しく報告されなくなります
- 停止を責める:報告されなくなり、実態が見えなくなります
- 集めるだけで使わない:入力する側の意欲が失われます
データは改善のための情報であって、評価のための道具ではありません。この姿勢を明確にしてください。
承継の観点
生産実績のデータがあると、後継者や買い手が工場の実態を短期間で把握できます。
「稼働率は何%か」「余力はどれだけあるか」——買い手が必ず聞く質問に、データで答えられるかどうかで交渉が変わります。価格交渉で使える材料をご覧ください。