規格書に必要な情報
原材料の規格書には、次のような情報が記載されます。
- 品名、規格、荷姿、内容量
- 製造者・販売者
- 原材料名(複合原材料の内訳を含む)
- 添加物
- アレルゲン(含有および製造ラインでの使用状況)
- 原料原産地
- 栄養成分値
- 賞味期限・保存方法
- 微生物規格
- 遺伝子組換えに関する情報
- 放射性物質に関する情報(必要に応じて)
太字の項目が、自社製品の表示の根拠になります。ここが欠けていると、表示を作れません。
なぜ管理が難しいのか
- 原材料の種類が多い(食品工場では数百に及ぶことも)
- 仕入先が多い
- 規格書の様式が仕入先ごとに違う
- 更新されても連絡が来ないことがある
- 担当者が個人で管理していて、共有されていない
最後の点が承継で問題になります。担当者が抜けると、どこに何があるか分からなくなります。
管理の仕組みを作る
1. 一覧表を作る
原材料ごとに、次を1行にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原材料コード・品名 | |
| 仕入先 | |
| メーカー | |
| 規格書の入手日 | |
| 規格書の版・発行日 | |
| アレルゲン | |
| 使用製品 | どの製品に使っているか |
| 保管場所 | ファイル名・フォルダ |
「使用製品」の欄が重要です。原材料が変わったとき、どの製品の表示を見直すべきかが即座に分かります。
2. 入手のルールを決める
新しい原材料を使う前に、必ず規格書を入手する。このルールを徹底してください。使い始めてから集めるのは大変です。
購買の担当者に、発注時に規格書の提出を求める手順を組み込むのが実務的です。
3. 更新の仕組みを作る
規格書は、仕入先の都合で内容が変わることがあります。次の方法で更新を確保してください。
- 年に一度、主要な仕入先に最新版を請求する
- 仕入先との取引条件に、変更時の通知義務を入れる
- 納品書や請求書の記載に変化がないか注意する
1番目が最も確実です。年次の作業として組み込んでください。検証と見直しの一環として行うと定着します。
4. 保管方法を統一する
紙・PDF・メール添付が混在していると、必要なときに出てきません。フォルダ構成を決めて、電子的に一元管理することをおすすめします。
ファイル名の付け方も統一してください(例:仕入先名_品名_日付)。
規格書がもらえない場合
小規模な仕入先や、地域の生産者から仕入れる場合、規格書がないことがあります。
対応
- 自社の様式を用意し、記入してもらう
- 最低限、アレルゲンと原産地は書面で確認する
- やり取りの記録(メール等)を保管する
口頭での確認だけにしないことが重要です。後から証明できません。
取引先から求められる場面
逆に、自社が製造した製品について、取引先から規格書の提出を求められます。
自社製品の規格書を整備しておくと、次の場面で役立ちます。
- 新規取引の開始時
- 取引先の工場監査
- 取引先の商品開発
- M&Aの買収監査
自社製品の規格書は、原材料の規格書を土台に作成されます。原材料の管理ができていなければ、自社製品の規格書も作れません。
承継時に確認される点
- 使用している全原材料の規格書が揃っているか
- 規格書が最新版に更新されているか
- どの製品にどの原材料を使っているかが追跡できるか
- 自社製品の規格書が整備されているか
- 管理が特定の人に依存していないか
3番目が特に重要です。原材料に問題が判明したとき、どの製品に影響するかを即座に特定できる必要があります。これはトレーサビリティの基礎でもあります。トレーサビリティの仕組みをご覧ください。
まず何をするか
使用頻度の高い原材料から順に、一覧表を作り、規格書の有無を確認する。抜けているものを洗い出すだけでも、大きな前進です。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。