タイヤコストの構造

大型車のタイヤは1本あたりの単価が高く、本数も多くなります。年間の交換本数×単価で計算すると、想像より大きな金額になっていることがあります。

まず、年間のタイヤ費用車両1台あたりの費用を出してください。把握していない会社が実際にあります。

空気圧管理が最も効く

タイヤ管理で最も効果が大きく、最も費用がかからないのが空気圧の点検です。

  • 空気圧が低いと:偏摩耗、燃費悪化、発熱による損傷、バースト
  • 空気圧が高すぎると:中央部の偏摩耗、乗り心地の悪化

日常点検の項目に入っていますが、実際に測っているかが問題です。目視だけでは分かりません。

  • エアゲージを各車庫に備える
  • 点検の頻度を決める(週1回など)
  • 記録を残す
  • 窒素充填の活用を検討する

整備管理者の要件で、日常点検の管理を整理しています。

摩耗の管理

  • 残溝の測定:定期的に測り、記録する
  • 偏摩耗の確認:片減り、段減りは原因(空気圧、アライメント、運転)を示すサイン
  • ローテーション:位置を入れ替えて寿命を延ばす

偏摩耗が出ている車両は、必ず原因を調べてください。 放置すると同じことが繰り返されます。

交換のタイミング

安全基準を満たさなくなる前に交換するのは当然として、早すぎる交換もコストです。

  • 残溝の基準を決めて、それに従う
  • 使用位置を変えて使い切る(駆動輪から遊輪へ、など)
  • 車検のタイミングだけで判断しない

更生タイヤの活用

台タイヤ(使用済みタイヤの土台部分)に新しいゴムを貼り替えたタイヤです。

  • 新品より安い
  • 環境負荷が小さい
  • 使用位置を選ぶ(駆動輪・遊輪など、用途に応じて)
  • 台タイヤの状態管理が前提:傷んだ台では作れません

更生を前提にするなら、台タイヤを傷めない使い方が重要になります。空気圧管理と、摩耗しきる前の回収です。

調達方法の見直し

  • 年間の使用本数をもとに価格交渉する
  • 複数の業者から見積りを取る
  • 銘柄を統一して在庫と交換を効率化する
  • ロードサービス・出張交換の条件
  • 在庫の持ち方(急な交換に対応できるか)

年間の使用量を示せると、条件が変わることがあります。 使用量を把握していない会社は、交渉の土俵にも立てません。

運転との関係

急発進・急ブレーキ・急ハンドルは、タイヤを大きく消耗させます。燃費指導とタイヤ寿命は連動しています。

デジタコのデータで急操作の多いドライバーを把握し、指導してください。燃費管理と運転指導デジタコを労務管理にどう使うかをご覧ください。

安全との関係

タイヤの不具合は、重大事故に直結します。

  • バースト
  • タイヤの脱落(ホイールナットの緩み)
  • スリップ(残溝不足、冬季)

特にホイールナットの緩みによる脱落は、重大な結果を招きます。点検項目に確実に入れ、増し締めの手順を定めてください。事故発生時の初動と再発防止をご覧ください。

冬季のタイヤ交換(スタッドレス、チェーン)の計画と、装着の判断基準も決めておいてください。

記録を残す

  • 車両別・位置別の装着日と銘柄
  • 残溝の測定記録
  • 交換の履歴と理由
  • 年間の使用本数と費用

記録があると、どの車両・どの路線でタイヤの消耗が早いかが分かります。原因を特定すれば、改善できます。

M&Aでの意味

タイヤ費用そのものが交渉の論点になることは少ないものの、管理の水準を示す指標にはなります。

  • 車両別の原価にタイヤ費用が入っているか(車両別の原価管理
  • 点検の記録があるか
  • 脱落・バーストの事故歴

細部まで管理できている会社は、全体としての印象が変わります。

空気圧の点検を実際に回す

空気圧の実測が最も効果が大きく費用のかからない対策だと書きました。ただ、これを実際に続けている会社は多くありません。回すための工夫が要ります。

まず、測る日を決めてください。「気づいたときに」では、測られません。週の決まった曜日、あるいは月の初めと半ばというように、日を固定します。

次に、道具を手の届く場所に置いてください。事務所の奥にしまってあると、取りに行く手間が省略されます。各車庫に一つ、あるいは車両ごとに備えるくらいでちょうどよいでしょう。

そして、記録の欄を日常点検の様式に組み込んでください。別の紙にすると、書かれません。既存の点検表に一行足すだけで足ります。

確認する側の仕組みも要ります。記録を集めるだけでなく、月に一度、抜けがないかを見てください。見られていない記録は、いずれ形だけになります。

そのうえで、測った値が基準から外れている車両については、原因まで確認してください。単に補充して終わりだと、同じことが繰り返されます。空気が抜けるには理由があります。

偏摩耗が示していること

偏摩耗は原因を示すサインだと書きました。どの減り方が何を示すかを、点検の場で使える形にしておきます。

両端が減っているなら、空気圧が不足している可能性があります。中央が減っているなら、逆に高すぎる可能性です。この二つは、空気圧の管理で対処できます。

片側だけが減っている、あるいは段になって減っているなら、足回りの状態や取り付けの角度に原因があることがあります。これは空気圧では直りません。整備で見てもらう必要があります。

特定の車両でだけ繰り返し起きるなら、その車両の問題です。特定の路線でだけ起きるなら、道の条件や積み方の問題かもしれません。記録を並べると、この切り分けができます。

そして、原因が分からないまま交換だけを繰り返さないでください。同じ費用が周期的に発生し続けます。一度、整備の担当と一緒に見てもらうほうが、結果として安く済みます。

点検する人が偏摩耗を見分けられることも前提になります。写真を並べた簡単な資料を作って、共有しておいてください。

交換の基準を社内で決める

残溝の基準を決めてそれに従うと書きました。基準を決めるときに考える点を整理します。

安全上の基準は守るべき下限です。そのうえで、どのくらい余裕を持って交換するかを決めます。余裕を大きく取れば安全ですが、使い切れずに費用が増えます。小さくすれば費用は下がりますが、路面の状況によっては危険です。

判断の材料になるのは、その車両の走り方です。高速中心で長距離を走る車両と、地場を短距離で回る車両では、同じ残溝でも意味が違います。冬季に雪の路面を走るなら、さらに余裕が要ります。

だから、基準は一本ではなく、用途で分けてください。長距離の車両はここまで、地場の車両はここまで。分けたうえで、記録に残します。

そして、基準を現場に伝えてください。判断するのは、日常点検をしている人です。基準を知らなければ、感覚で判断することになります。

あわせて、基準に達したときに誰に報告し、いつ交換するかの流れも決めてください。報告先が決まっていないと、気づいていても止まります。

調達の交渉に必要な数字

年間の使用量を示せると条件が変わると書きました。示すべき数字を具体的にしておきます。

用意したいのは、年間の交換本数、サイズ別の内訳、そして今後の見込みです。台数と走り方が分かっていれば、来年どれだけ必要かも概算できます。

あわせて、交換の時期の分布も出してください。年間を通じて平準化しているのか、特定の時期に集中しているのか。まとめて発注できるなら、条件の話がしやすくなります。

銘柄の統一は、在庫と作業の効率に効きます。ただし、用途によって必要な性能が違うため、全部を一つにする必要はありません。長距離用、地場用というように、区分ごとに絞る形が現実的です。

そして、価格だけで決めないでください。急な交換に対応してもらえるか、出張で来てもらえるか、夜間や休日はどうか。運行が止まる時間を考えると、対応の速さが金額以上に効くことがあります。

複数の業者から見積もりを取るときは、同じ条件で比べてください。作業費、廃タイヤの処理、出張の費用まで含めた総額で並べます。

脱落を防ぐ運用

ホイールナットの緩みによる脱落は重大な結果を招くと書きました。ここは費用の話ではなく、会社が続けられるかどうかの話になります。

まず、増し締めの手順を文書にしてください。誰が、いつ、どのタイミングで行うか。とくに、タイヤを交換した後の一定の走行の後に確認する運用は、必ず組み込んでください。

外部に交換を委託している場合も同じです。作業した業者が確認していても、自社でも確認する二重の運用にしてください。委託していることは、責任を移すことではありません。

点検の方法も具体的に決めてください。目視だけでは判断できないため、道具を使った確認の手順が要ります。印を付けて、ずれが見えるようにする方法もあります。

そして、季節による変化にも注意してください。冬季のタイヤ交換の後は、作業の件数が増える分だけ確認が甘くなりがちです。この時期の運用は、とくに厳しくしてください。

脱落の事故が起きた場合、原因の調査は必ず記録に残してください。同じことが繰り返されない体制であることを示す必要があります。

冬季の準備をいつ始めるか

冬季のタイヤ交換の計画と装着の判断基準を決めておくと書きました。この準備は、時期の設計が結果を左右します。

交換の作業には時間がかかります。台数が多いほど、業者の予約も混みます。だから、降る時期から逆算して、余裕を持って予定を組んでください。降ってから動くと、必要な日に間に合いません。

次に、装着の判断基準です。どの路線を走る車両を、いつから冬用にするか。これを担当者の判断に任せると、判断がばらつきます。走る地域と時期で線を引いておいてください。

チェーンの携行と装着についても、基準と手順を決めておきます。持っているだけで使い方を知らない、という状態にならないよう、装着の練習をしておいてください。実際の路肩で初めて試すのは危険です。

そして、保管の場所と方法も決めておいてください。外したタイヤをどこに置くか、どう管理するか。ここが決まっていないと、翌年に使えない状態になっていることがあります。

準備にかかる費用は、年間の計画に入れておいてください。毎年発生するものなので、突発の出費として扱う必要はありません。

記録を車両別の原価につなげる

車両別・位置別に記録を残すと書きました。この記録を、そのまま原価の管理に接続してください。

タイヤの費用は、車両ごとに直接割り当てられる費目です。請求書に車番が入っていれば、そのまま拾えます。走行距離で割れば、距離あたりの単価も出ます。

この単価を車両間で比べると、消耗の早い車両が見えます。年式なのか、路線なのか、運転なのか。原因を追う入口になります。

そして、運転との関係も数字で見えるようになります。急な操作の多い人が乗っている車両で、タイヤの消耗が早い。この関係が示せると、指導の材料になります。ただし、責める形にしないでください。燃費と同じで、条件の違いが混ざっています。

費用の推移も追ってください。年ごとに増えているなら、車両の高齢化か、走り方の変化か、単価の上昇か。原因によって打つ手が違います。

この記録の積み重ねが、更新の判断にも使えます。修理費とあわせて増えている車両は、入れ替えの候補になります。

更生タイヤを使う前に決めておくこと

更生タイヤの活用には台タイヤの管理が前提だと書きました。実際に取り入れるなら、いくつか先に決めておく必要があります。

まず、どの位置に使うかです。用途によって求められる性能が違うため、すべての位置に同じように使えるわけではありません。ここは業者と相談して、自社の走り方に合わせて決めてください。

次に、台タイヤを回収する運用です。摩耗しきってから外すと、土台として使えません。残溝の管理と交換の判断が、そのまま更生できるかどうかを左右します。基準を決めて、守ってください。

そして、保管と搬送の段取りです。外したタイヤをどこに置き、いつ引き取ってもらうか。溜まりすぎると場所を取り、状態も悪くなります。

費用の見方も整理しておいてください。単価が安くても、寿命が短ければ距離あたりでは変わらないことがあります。導入したら、距離あたりの費用で新品と比べてください。数か月分の記録があれば判断できます。

そのうえで、安全に関わる部分では無理をしないでください。費用の削減より、止まらずに走れることのほうが優先されます。

まとめ

まず年間のタイヤ費用を把握してください。空気圧の実測が最も効果が大きく、費用のかからない対策です。偏摩耗は原因を示すサインなので必ず調べること。更生タイヤの活用には台タイヤの管理が前提です。急操作を減らす運転指導は、燃費とタイヤの両方に効きます。