施設基準とは

営業許可を受けるために、施設が満たすべき構造・設備の要件です。食品衛生法に基づき、都道府県等の条例で具体的な内容が定められている部分があります。

そのため、自治体によって運用が異なることがあります。一般論で判断せず、管轄の保健所に確認してください。

一般的に確認される観点

1. 区画と動線

  • 原料の受入、製造、包装、保管、出荷が適切に区分されているか
  • 汚染作業区域と清潔作業区域が分けられているか
  • 人と物の動線が交差しないか
  • 更衣室、手洗い、便所の配置

2. 構造と材質

  • 床・壁・天井が清掃しやすい材質か
  • 排水が適切に処理される構造か
  • 結露やカビが発生しにくい構造か
  • 外部からの汚染を防ぐ構造か

3. 設備

  • 手洗い設備の位置、数、給湯の有無
  • 器具・容器の洗浄設備
  • 温度管理が必要な設備と、温度を確認する手段
  • 換気設備
  • 照明の明るさ
  • 防虫・防そ設備
  • 廃棄物の保管場所

4. 給水と排水

  • 飲用に適する水を使用しているか
  • 井戸水の場合、水質検査を実施しているか
  • 貯水槽がある場合、清掃・点検の記録があるか
  • 排水が適切に処理されているか

井戸水を使用している食品工場では、水質検査の記録が必ず確認されます。排水・臭気・騒音の規制もご覧ください。

届出が漏れやすい場面

施設に変更があった場合、変更の届出や、場合によっては新たな許可の手続きが必要になることがあります。次の場面で漏れやすくなります。

1. ラインの増設・入れ替え

新しい設備を入れて生産量を増やした、レイアウトを変えた。大きな変更は届出の対象になることがあります

2. 建屋の増築

倉庫を建てた、事務所を広げた、製造室を拡張した。建築基準法上の手続きとは別に、食品衛生法上の届出が必要になることがあります。

3. 保管場所の変更

冷蔵庫・冷凍庫の増設や移設、原料保管場所の変更。

4. 使用水の変更

井戸水から上水に切り替えた、逆に井戸を掘った。

5. 隣接する建物を借りた

倉庫や資材置場を新たに借りた場合、それが許可施設の一部と見なされることがあります。

なぜ届出漏れが問題になるのか

  • 更新時の検査で指摘され、是正が求められる
  • M&Aの法務デューデリジェンスで指摘される
  • 取引先の工場監査で指摘される
  • 行政指導の対象になる可能性がある

すぐに営業停止になるわけではありませんが、承継の場面で必ず表面化します法務デューデリジェンスをご覧ください。

改修を計画するときの手順

  1. 設計の前に保健所に相談する
  2. 図面をもとに、基準への適合を確認してもらう
  3. 必要な手続き(届出か、新たな許可か)を確認する
  4. 工事を行う
  5. 完了後、必要な手続きを行う

1番目が決定的に重要です。工事してから相談すると、やり直しになることがあります。設計事務所や施工業者が食品工場に慣れていない場合は特に注意してください。

承継前にやる自主点検

次の手順で、届出漏れがないかを確認できます。

  1. 許可申請時の図面を探す
  2. 現在の施設と見比べる
  3. 変わっている箇所を書き出す
  4. 変更の届出をした記録があるか確認する
  5. 記録がないものについて、保健所に相談する

許可申請時の図面が見つからないことがあります。この場合、保健所に控えが残っている可能性があるため、確認してみてください。

建築基準法との関係

食品衛生法上の手続きとは別に、建築基準法上の手続きが必要な場合があります。古い食品工場では、増築を重ねて確認申請の記録が追えないことがあります。

これは融資、補助金、売却の場面で影響します。工場の土地・建物の評価をご覧ください。

基準は改正される

施設基準は制度改正で見直されることがあります。許可を取得した当時の基準と、現在の基準が異なる場合があります。

更新の際や、大きな改修を行う際に、現行の基準への適合が求められることがあります。改修の計画を立てる際は、この点も含めて保健所に確認してください。

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。