制度の考え方
事業承継やM&Aを契機とした取り組みを支援する制度です。おおむね次の類型があります。
- 経営革新型:承継後の新しい取り組みにかかる費用
- 専門家活用型:M&Aに関する専門家への費用
- 廃業・再チャレンジ型:廃業に伴う費用
類型の名称や内容は年度ごとに変わります。最新の公募要領を確認してください。
食品製造業での活用場面
1. 承継後の設備更新
後継者が事業を引き継ぎ、老朽化した設備を更新する。承継を契機とした経営革新として位置づけられます。
- 製造設備の更新
- 省力化・自動化設備
- 衛生管理の向上に資する設備
承継の直前に大きな投資が必要な工場では、有力な選択肢になります。老朽化した工場・設備をどう引き継ぐかをご覧ください。
2. 承継後の新商品開発・販路開拓
後継者が新しい取り組みを始める場合。PB・OEM依存から自社ブランドへといった転換も該当しえます。
PB・OEM依存からの脱却と商品開発の進め方をご覧ください。
3. M&Aの専門家費用
仲介・FAへの報酬、デューデリジェンスの費用、弁護士・税理士への費用。譲渡側・譲受側の双方で対象になりうる制度があります。
M&Aの費用をご覧ください。
4. 同業を譲り受ける場合
買う側に回って規模を作る場合も対象になりえます。買う側に回る選択をご覧ください。
5. 廃業に伴う費用
設備の撤去、原状回復、在庫の処分。食品工場の廃業では、これらの費用が大きくなります。
一部の事業を廃止して他を継続する場合にも対象になりうるため、確認の価値があります。廃業とM&A、どちらを選ぶべきかをご覧ください。
要件で注意すべき点
1. 承継の時期
一定の期間内に承継を行った(または行う予定である)ことが要件になります。
「何年も前に承継した」場合は対象外になることがあります。逆に、これから承継する予定でも申請できる類型があります。
公募要領で、対象となる承継の時期を必ず確認してください。
2. 承継の形態
親族内承継、社内承継、M&Aのいずれも対象になりうる制度が多いのですが、類型によって対象が異なります。
また、「経営者の交代を伴うこと」が要件になることがあります。代表者が変わらない場合は該当しない可能性があります。
3. 経営革新の内容
経営革新型では、承継を契機とした新しい取り組みであることが求められます。
単なる設備の更新ではなく、それによって何が変わるかを示す必要があります。
- 生産性がどれだけ向上するか
- 新しい商品・サービスを提供できるか
- 新しい市場に参入できるか
事業計画書の書き方をご覧ください。
申請の実務
準備する書類
- 事業計画書
- 承継の事実を示す書類(登記事項証明書、株式譲渡契約書など)
- 決算書
- 見積書
- 認定経営革新等支援機関の確認書(求められる場合)
承継の事実を示す書類が要点です。これから承継する場合は、その予定を示す資料が必要になります。
スケジュールの調整
承継の時期と、公募の時期を合わせる必要があります。
- 公募の時期を確認する
- 承継の実行時期と照らす
- 必要なら、どちらかの時期を調整する
M&Aでは、クロージングの時期が交渉で動きます。補助金の要件を満たせるかを、早い段階で確認してください。
M&A時の注意点
1. 譲渡側か譲受側か
専門家活用型では、譲渡側・譲受側それぞれで申請できる制度があります。自社がどちらで申請するかを確認してください。
2. 補助対象となる費用の範囲
仲介手数料、FA報酬、デューデリジェンス費用、表明保証保険料など。どこまでが対象かは制度によります。
3. 成約しなかった場合
M&Aが成約しなかった場合の扱いを確認してください。着手金等が対象になる制度もあります。
他の制度との使い分け
設備投資が目的なら、ものづくり補助金など他の制度のほうが金額が大きい場合があります。
| 目的 | 検討する制度 |
|---|---|
| 承継を契機とした設備投資 | 事業承継・引継ぎ系、ものづくり系の両方を比較 |
| M&Aの専門家費用 | 事業承継・引継ぎ系(専門家活用型) |
| 廃業費用 | 事業承継・引継ぎ系(廃業型) |
| 省力化設備 | 省力化投資系 |
同じ経費に複数の補助金は使えません。どれが有利かを比較してください。ものづくり補助金と省力化投資への補助をご覧ください。
相談先
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所・商工会
- 認定経営革新等支援機関
- M&Aの支援機関
事業承継・引継ぎ支援センターの使い方をご覧ください。
※ 補助金・税制優遇の制度名、要件、補助率、公募時期は年度ごとに変わります。本記事は一般的な考え方を整理したものです。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認のうえ、認定経営革新等支援機関等の専門家にご相談ください。