審査で見られる観点

制度によって異なりますが、おおむね次が共通します。

  1. 課題が明確か
  2. その課題が、この取り組みで解決するか
  3. 効果が定量的に示されているか
  4. 実現できる体制と資金があるか
  5. 市場・需要の裏付けがあるか
  6. 政策の目的に合致しているか

1番目と3番目で差がつきます

基本の構成

  1. 企業概要
  2. 現状と課題
  3. 取り組みの内容
  4. 効果(定量・定性)
  5. 実施体制とスケジュール
  6. 市場・需要の見通し
  7. 収支計画

1. 企業概要

食品工場では、次を含めると理解されやすくなります。

  • 主な製品と、その用途(どこで売られているか)
  • 取引先の構成(業態別、比率)
  • 営業許可の種類、取得している認証
  • 主要な設備と、その稼働状況
  • 従業員数と構成

審査する人は食品工場の実態を知らないことがあります。「スーパーで販売されている◯◯を製造」といった具体性が有効です。

2. 現状と課題(最重要)

数字で書いてください。抽象的な記述は評価されません。

避けたい書き方望ましい書き方
人手不足が深刻包装工程に1日15人時を要し、繁忙期は月40時間の残業が発生。過去1年の求人に対し応募は3件
設備が老朽化している充填機は導入から◯年、直近3年の修繕費は年平均◯万円で増加傾向。年間◯時間の突発停止が発生
生産性が低いライン稼働率は◯%。うち段取り替えが◯%、チョコ停が◯%を占める
歩留まりが悪い充填工程の過剰充填が平均◯%、年間◯万円の原料損失

これらの数字は、日頃から測っていなければ書けませんライン稼働率の見方生産実績の自動収集をご覧ください。

課題の背景も書く

  • 市場・業界の動向
  • 取引先からの要求の変化
  • 原材料価格や人件費の上昇
  • 従業員の高齢化

食品製造業の業界動向をご覧ください。

3. 取り組みの内容

  • 導入する設備の名称、型式、仕様
  • それが課題をどう解決するか
  • 設置場所とレイアウト(図を入れる)
  • 工程がどう変わるか(変更前後の工程図)

変更前後の工程図が効果的です。文章より一目で伝わります。

「なぜこの設備か」を書く

  • 他の選択肢と比較した結果
  • この仕様が必要な理由
  • 自社の製品特性への適合

相見積もりの資料としても使えます

4. 効果(定量的に)

算定の型

効果算定式
人件費の削減削減人時 × 時間単価 × 年間稼働日数
原料費の削減歩留まり改善率 × 原料単価 × 年間使用量
不良の削減不良率の改善 × 生産量 × 製造原価
生産量の増加増加数量 × 限界利益
エネルギー削減削減量 × 単価

算定の根拠を必ず示してください。「メーカーの仕様値による」「テスト結果による」「過去実績からの推計」など。

付加価値額の向上

多くの制度で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の向上が目標として設定されます。

投資による減価償却費の増加も含めて、目標が達成可能かを試算してください。無理な目標は、後で返還のリスクになります。

5. 実施体制とスケジュール

  • 責任者と担当者
  • 操作する人材の確保・育成計画
  • 設置工事の見通し(電源、エア、基礎、排水)
  • 月単位のスケジュール

営業許可に関わる場合は、その手続きも含めてください。新しい品目を作る場合、許可の取得期間がスケジュールを左右します。営業許可が要る業種はどれかをご覧ください。

6. 市場・需要の見通し

「作れば売れる」という前提は通用しません

  • 既存取引先からの増産要請(あれば具体的に)
  • 新規の引き合い・商談の状況
  • 市場の動向
  • 競合との比較

具体的な引き合いがあると、計画の実現性が大きく高まります

7. 収支計画

  • 投資額と資金の調達方法
  • 売上・原価・利益の見通し(3〜5年)
  • 投資回収の見通し
  • 借入がある場合、返済計画との整合

既存の利益計画と整合しているかを確認してください。利益計画の立て方をご覧ください。

書き方の技術

1. 審査項目に沿って書く

公募要領に審査項目が示されています。その順序と見出しに沿って書くと、審査する側が確認しやすくなります。

2. 図表を使う

  • 工程図(変更前後)
  • レイアウト図
  • 数値の推移グラフ
  • 工場・設備の写真

文字ばかりの計画書は読まれません

3. 専門用語に説明をつける

審査する人が食品業界に詳しいとは限りません。業界用語には簡単な説明を添えてください。

4. 分量を守る

ページ数の上限がある場合は必ず守ってください。超過すると審査対象外になることがあります

相談する

  • 認定経営革新等支援機関
  • 商工会議所・商工会
  • よろず支援拠点

第三者に読んでもらうことが有効です。自社では当たり前のことが、外部には伝わらないことがあります。

計画書は社内でも役立つ

作成の過程で、自社の課題と数字が整理されます

この資料は、金融機関への説明、後継者への引き継ぎ、M&Aの企業概要書にも活用できます。採択されなくても、作る価値があります

金融機関への説明をご覧ください。

※ 補助金・税制優遇の制度名、要件、補助率、公募時期は年度ごとに変わります。本記事は一般的な考え方を整理したものです。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認のうえ、認定経営革新等支援機関等の専門家にご相談ください。