費用は4種類
| 種類 | 発生のタイミング | 性質 |
|---|---|---|
| 着手金 | アドバイザリー契約の締結時 | 成約しなくても返還されないのが一般的 |
| 月額報酬(リテイナー) | 契約期間中、毎月 | 期間が延びるほど増える |
| 中間金 | 基本合意の締結時 | その後に破談しても返還されないことが多い |
| 成功報酬 | 最終契約またはクロージング時 | 取引金額に応じた料率で計算 |
会社によって、この4つのどれを採用するかが異なります。成功報酬のみ(完全成功報酬)という形もあります。完全成功報酬とはで詳しく扱っています。
成功報酬の計算方法に注意する
成功報酬は「取引金額 × 料率」で計算されますが、この取引金額の定義が会社によって違います。ここが実際の支払額に大きく影響します。
- 株式譲渡価額を基準にする方式
- 株式譲渡価額+負債(移動総資産など)を基準にする方式
後者の場合、借入の多い会社では基準額が大きくなり、報酬も増えます。食品製造業は設備資金の借入を抱えていることが多いため、この差は無視できません。契約前に必ず、自社の数字で試算してもらってください。
また、料率は金額帯ごとに段階的に下がる方式(レーマン方式と呼ばれる形)が一般的で、最低報酬額が設定されていることもあります。
確認すべき7つの点
- 着手金・中間金はあるか。あるとしていくらか
- 成功報酬の基準額は「株式価額」か「株式価額+負債」か
- 最低報酬額はいくらか
- 途中で中止した場合、何が返還され、何が返還されないか
- 契約期間と、専任(他社に依頼できない)かどうか
- 契約終了後の一定期間に成約した場合、報酬が発生するか(テール条項)
- 実費(交通費、専門家費用など)は別途か
4番目と6番目は、契約書を読まないと分かりません。口頭の説明ではなく、条文で確認してください。
売り手が負担する費用は他にもある
アドバイザーへの報酬以外に、次が発生することがあります。
- 顧問税理士・弁護士への相談料
- 株式の評価に関する費用
- 株主の整理(少数株主からの買い取り)にかかる資金
- 譲渡益に対する税金
手取りベースで考えるには、税金まで含めた試算が必要です。売却後の手取りをご覧ください。
買収監査の費用は誰が負担するか
デューデリジェンスは買い手が自らの判断のために行うものなので、費用は買い手負担が原則です。売り手が負担を求められた場合は、その理由を確認してください。
ただし、売り手が事前に自社を点検する(セルフDD)場合の費用は売り手負担です。問題を先に把握しておく価値はあるため、規模によっては検討に値します。
「安いから」で選ばない
費用は重要ですが、それだけで選ぶと結果的に損をすることがあります。相手探しの幅、食品製造業の論点への理解、交渉力。これらが価格や条件に与える影響のほうが、報酬の差より大きいことが多いからです。
選び方の観点は総合仲介と業界特化とFAと仲介の違いにまとめています。
「手数料」という言い方について
食品会社の売却にかかる手数料、という言い方をされることがあります。実際には、着手金・中間金・成功報酬といった組み合わせを指しています。合計でいくらになるかを、契約前に必ず確認してください。
- 成功報酬の料率と、その算定の基礎になる金額
- 最低報酬額が設定されているか
- 途中でやめた場合に戻る費用・戻らない費用
- デューデリジェンスの費用は誰が負担するか
相談先を選ぶときに見ること
食品業界のM&Aを扱う会社には、上場企業から個人のアドバイザーまで幅があります。規模より、次の点で選んでください。
- 食品製造業の許認可や衛生管理を理解しているか
- 料金の体系を最初に開示するか
- 答えられない質問に「調べます」と言えるか
遠方であれば、食品会社のM&Aについてオンライン相談から始めることもできます。まず話してみて、合わなければ相手を変えればよい。最初の1社に決める必要はありません。
※ 報酬体系は依頼先や契約内容によって大きく異なります。本記事は一般的な仕組みの説明であり、具体的な金額や条件は必ず契約書でご確認ください。