量の変化
人口減少と高齢化により、国内で消費される食品の総量は縮小の方向にあります。
食品製造業への影響
- 国内市場全体のパイが縮む
- 価格競争が激しくなる
- 取引先(小売・外食)も同様に縮小圧力を受ける
- 設備の稼働率を維持しにくくなる
「これまでと同じものを、同じ量、同じ相手に売り続ける」ことが難しくなります。
質の変化
量以上に重要なのが、需要の中身が変わることです。
1. 世帯規模の縮小
- 単身・二人世帯の増加
- 大容量より少量パックへの需要
- 使い切りサイズ
同じ商品でも、容量の見直しが必要になります。ただし、小容量化は1個あたりの包材費と加工費が上がるため、採算の見直しが不可欠です。品目別採算の作り方をご覧ください。
2. 高齢化に伴う変化
- 食べる量そのものが減る
- やわらかさ、食べやすさへの配慮
- 塩分・糖分への関心
- 少量で栄養が取れるもの
3. 簡便化
- 調理の手間を減らしたい
- 温めるだけ、そのまま食べられる
- 中食(惣菜・弁当)の需要
惣菜・弁当を製造する工場にとっては、追い風の側面もあります。惣菜・弁当製造業の事業承継をご覧ください。
4. 個別化
- 家族が別々のものを食べる
- アレルギー対応、宗教・信条への配慮
- 健康上の制約に応じた商品
働く側の変化
需要だけでなく、働き手も減ります。
- 採用が年々難しくなる
- 従業員の高齢化
- 外国人材への依存が高まる
- 賃金水準が上昇する
「作りたくても作れない」という制約が現実になります。人手不足の構造をご覧ください。
対応の方向性
方向1:付加価値を上げる
量が減るなら、1個あたりの単価と粗利を上げるしかありません。
- 自社ブランドの比率を上げる
- 他社が作れない商品を持つ
- 価格転嫁を実現する
自社ブランドの評価と価格転嫁できない会社に共通することをご覧ください。
方向2:市場を広げる
- 新しい販路(業務用、EC、地域外)
- 新しい顧客層(高齢者向け、個食向け)
- 輸出
方向3:生産性を上げる
働き手が減る中で生産を維持するには、1人あたりの生産性を上げる必要があります。
- 省力化投資
- 工程の改善
- 多能工化
省力化投資の順序をご覧ください。
方向4:規模を変える
縮小する市場では、過剰な生産能力を抱えることがリスクになります。
- 不採算部門の整理
- 設備規模の適正化
- 同業との統合による集約
食品業界の再編をご覧ください。
承継への影響
市場が縮小する局面では、「このまま続ければ大丈夫」という前提が成り立ちません。
- 後継者は、変化への対応を求められる
- 設備投資の判断が難しくなる(回収期間中に市場が変わる)
- 買い手も、将来性を厳しく見る
だからこそ、方向性を示せる会社の価値が上がります。「何を伸ばし、何を整理するか」を計画として持っている会社は、後継者にとっても買い手にとっても引き継ぎやすくなります。
承継を見据えた経営計画の作り方をご覧ください。
※ 本記事は一般的な傾向を整理したものです。統計値や制度の内容は時点によって変わります。個別の判断にあたっては、最新の情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。