資金の流れ
- 交付決定
- 設備を発注
- 納品・設置
- 設備代金を全額支払う(自社の資金)
- 実績報告
- 確定検査
- 補助金の入金
4番から7番までの期間、全額を立て替えることになります。
立て替えの期間
制度や案件によりますが、支払いから入金まで数か月かかることがあります。
- 実績報告の準備:数週間
- 確定検査:数週間〜数か月
- 入金手続き:数週間
年度末に集中すると、さらに時間がかかることがあります。
必要な資金の額
投資額の全額です。補助率が3分の2でも、いったんは10割を支払います。
例
- 設備投資額:3,000万円
- 補助率:2分の1
- 補助金:1,500万円
- いったん必要な資金:3,000万円
- 最終的な自己負担:1,500万円
消費税も自己負担です。多くの制度で消費税は補助対象外のため、その分も上乗せして用意する必要があります。
調達の方法
方法1:自己資金
手元資金で賄える場合。ただし、運転資金を圧迫しないかを確認してください。
食品工場は在庫と売掛の資金負担が重く、季節性もあります。資金が最も薄くなる時期に支払いが重なると、資金繰りが厳しくなります。資金繰り表の作り方をご覧ください。
方法2:金融機関からの借入(つなぎ融資)
最も一般的な方法です。
- 補助金の入金を返済原資とする短期の借入
- 交付決定通知書を提示して申し込む
- 入金後に一括返済する
金融機関には、申請の段階から相談してください。「採択されたので今から」では、間に合わないことがあります。
方法3:設備資金として長期で借りる
投資額全体を設備資金として借り、補助金が入金されたら一部を繰上返済する方法です。
- 返済期間を長く取れる
- 繰上返済の手数料を確認する
- 補助金を繰上返済に充てるか、手元に残すかを決めておく
設備資金の返済計画をご覧ください。
方法4:支払条件の調整
設備メーカーと支払条件を相談する方法です。
- 分割払いにする
- 検収後◯日払いにする
ただし、実施期間内に支払いを完了する必要があります。期間を過ぎると補助対象外になるため、条件の調整には制約があります。
金融機関への相談
いつ相談するか
申請の前です。理由は次のとおりです。
- 資金調達の見通しが立たなければ、そもそも申請すべきでない
- 計画書に「資金の裏付け」を書く必要がある
- 認定経営革新等支援機関として、申請の確認をしてもらえる場合がある
持って行く資料
- 投資の内容と見積書
- 事業計画書(作成中のものでも可)
- 補助金の制度概要(補助率、上限、スケジュール)
- 資金繰り表
- 投資による効果の試算
資金繰り表への織り込み
次を月次の資金繰り表に入れてください。
- 設備代金の支払い(月と金額)
- 消費税の支払い
- つなぎ融資の実行と返済
- 補助金の入金(余裕を持った時期に)
- 設備の稼働開始後の効果
補助金の入金時期は、見込みより遅れることがあります。楽観的な前提を置かないでください。
不採択・減額のリスク
1. 不採択の場合
採択されなくても実施すべき投資かどうかを、申請前に判断してください。
「補助金が出なければやらない」投資なら、不採択のときに計画を止められる状態にしておく必要があります。
2. 減額の可能性
実績報告の段階で、一部の経費が対象外と判断されることがあります。
- 対象外の経費が含まれていた
- 証拠書類が不足していた
- 相見積もりの要件を満たしていなかった
満額が入金される前提で資金計画を組まないでください。
3. 返還のリスク
目標未達や、義務違反による返還が生じることがあります。補助金申請の流れをご覧ください。
税務上の取扱い
補助金は原則として収益として課税の対象になります。
設備投資に充てた場合でも、受け取った年度に課税されることがあります。入金額から税額を引いた分が、実質的に残る金額です。
一定の場合に課税を繰り延べる制度(圧縮記帳)がありますが、要件があります。顧問税理士に必ず確認してください。設備投資の税制優遇をご覧ください。
承継期の注意
承継の時期と補助事業が重なる場合、資金の負担が集中します。
- 設備代金の立て替え
- 役員退職金の支払い
- 株式の買い取り資金
- 専門家への報酬
これらを1枚の資金繰り表に入れて、会社が耐えられるか確認してください。承継の資金をどう調達するかをご覧ください。
※ 補助金・税制優遇の制度名、要件、補助率、公募時期は年度ごとに変わります。本記事は一般的な考え方を整理したものです。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認のうえ、認定経営革新等支援機関等の専門家にご相談ください。