認証の位置づけ
FSSC22000やISO22000は、民間の第三者認証です。法令上の義務ではありませんが、取引先が取引の条件として求めることがあります。
特に、大手食品メーカー向けの受託製造や、輸出を行う場合に求められることがあります。
法令上の衛生管理との違い
| HACCPに沿った衛生管理 | FSSC22000等の認証 | |
|---|---|---|
| 性格 | 法令上の義務 | 任意の第三者認証 |
| 確認する主体 | 行政 | 認証機関 |
| 範囲 | 衛生管理 | マネジメントシステム全体 |
| 更新 | — | 定期的な審査 |
認証を取得していれば法令上の要件も満たしていることが多いのですが、認証があるから営業許可が不要になるわけではありません。HACCPに沿った衛生管理 完全ガイドをご覧ください。
承継で営業者が変わるとどうなるか
株式譲渡・親族内承継・社内承継の場合
法人格は変わらないため、認証は原則として継続します。
ただし、次の変更については認証機関への報告が必要になることがあります。
- 経営者・組織体制の変更
- マネジメントシステムの責任者の変更
- 製造品目・工程の変更
報告を怠ると、次回の審査で指摘される可能性があります。承継の予定が決まったら、認証機関に確認してください。
事業譲渡・会社分割の場合
営業者が変わるため、扱いが複雑になります。次のいずれかになることがあります。
- 認証の移転手続きを行う
- 新たに認証を取得し直す
- 臨時の審査を受ける
認証機関の規定と、認証スキームのルールによります。早い段階で認証機関に確認してください。
取得し直しとなる場合、準備と審査に相応の期間が必要です。その間、認証が途切れると取引に影響することがあります。事業譲渡のときの営業許可と同様に、スケジュールを左右する要因になります。
取引先への影響
認証が取引の条件になっている場合、認証が途切れると取引が止まるおそれがあります。
承継を進める際は、次を確認してください。
- 取引契約に、認証の維持が条件として書かれているか
- 認証機関に、承継時の扱いを確認する
- 取引先に、いつどう伝えるかを決める
1番目は契約書の棚卸しで確認してください。
維持のための実務
認証は取得して終わりではありません。維持には次が必要です。
- 定期的な審査への対応
- 内部監査の実施
- マネジメントレビューの実施
- 不適合への是正処置
- 文書・記録の管理
- 審査費用の負担
これらを担当できる人がいるかが、承継における実務上の論点です。担当者が1人しかいない場合、その人が抜けると維持が困難になります。
担当者の属人化
認証の維持は、書類作成と手続きの負担が大きく、特定の担当者に依存しやすい領域です。
承継を見据えるなら、次を進めてください。
- 複数人が内部監査を実施できるようにする
- 文書の保管場所とルールを明確にする
- 審査のスケジュールと必要な準備を一覧にする
- 認証機関との連絡窓口を複数にする
多能工化とスキルマップの考え方をここにも適用してください。
取得を検討すべきか
承継やM&Aを見据えて、いまから取得すべきかという質問をよくいただきます。
| 取る価値が高い | 優先度は低い |
|---|---|
| 取引先から求められている | 誰からも求められていない |
| 取れば広がる取引先が具体的にある | 取引先が地域中心 |
| 輸出を視野に入れている | 国内の限定的な販路のみ |
| 承継まで2年以上ある | 1年以内に譲渡したい |
1年以内の譲渡を考えているなら、認証より記録の徹底のほうが費用対効果は高いと考えられます。品質・認証は価格に効くかをご覧ください。
承継前に確認すること
- 認証の種類、適用範囲、有効期限
- 次回の審査時期
- 直近の審査での指摘事項と是正状況
- 営業者が変わる場合の取扱い(認証機関に確認)
- 取引契約に認証維持の条件があるか
- 維持を担当できる人が複数いるか
4番目はスキームを決める前に確認してください。事業譲渡を選んだ後に「認証を取り直す必要がある」と分かると、スケジュールが大きく狂います。
※ 認証の移転や継続の取扱いは、認証スキームおよび認証機関の規定によって異なります。承継を検討する際は、必ず認証機関にご確認ください。