検査機の種類と得意分野
| 種類 | 検出できるもの | 限界 |
|---|---|---|
| 金属検出機 | 鉄、非鉄金属 | 金属以外は検出できない |
| X線検査機 | 金属、石、骨、ガラス、硬質樹脂の一部 | 密度差の小さいもの(毛髪、薄いフィルム)は難しい |
| 画像検査(カメラ) | 表面の異物、外観の異常、色、形状、印字 | 内部は見えない |
| 近赤外・分光 | 成分の違い、特定の物質 | 導入例が限られる |
それぞれ得意分野が異なり、1つですべてを検出することはできません。
画像検査でできること
1. 表面の異物
製品の表面に付着した毛髪、糸くず、包材の切れ端、虫など。色や形状で識別できるものが対象です。
ただし、製品と色が似ている異物は検出が難しいという限界があります。
2. 外観の異常
- 形が崩れている
- 焼き色が濃い・薄い
- 欠けている
- サイズが規格外
- 盛り付けの乱れ
3. 包装の状態
- シール部への噛み込み
- ラベルの貼付位置
- ラベルの有無・種類違い
- 印字の有無・読み取り
ラベルの種類違いの検出は、表示ミスによる回収を防ぐという意味で価値が高い用途です。食品表示と回収リスクをご覧ください。
4. 個数・充填状態
容器内の個数、充填の高さ、具材の有無。
画像検査でできないこと
- 内部の異物:X線検査機の領域
- 包装内で隠れているもの
- 透明・半透明の異物:識別が難しい
- 製品と同色の異物
- 微生物・化学物質:検査の対象外
「画像検査を入れれば異物混入がなくなる」わけではありません。防ぐ体制と組み合わせる必要があります。異物混入を防ぐ体制をご覧ください。
導入判断の観点
1. 何を検出したいかが明確か
「異物全般」では選定できません。過去のクレームを分類し、どの種類の異物・不良が多いかを特定してください。
その上で、それが画像で検出できるものかを判断します。
2. 現状の損失はいくらか
- クレーム対応の費用と時間
- 返品・廃棄の金額
- 目視検査に要している人時
- 過去の回収の費用
金額に換算して、投資額と比較してください。
3. 目視検査を置き換えられるか
目視で検品している工程を置き換えられれば、人件費の削減効果が明確です。
ただし、完全に人をなくせるとは限りません。機械が検出できない項目が残ることが多く、併用になることがあります。
4. 誤検出(過検出)の影響
実務上、最大の課題です。感度を上げると、良品まで排除されます。
- 過検出による良品の廃棄
- ラインの停止
- 再検査の手間
「どの程度の過検出まで許容できるか」を、導入前に決めてください。
選定時の確認点
1. 自社製品でテストする
必ず実施してください。食品は色も形も多様で、他社の実績が自社に当てはまるとは限りません。
- 実際の製品でテストする
- 実際の異物サンプルで検出率を確認する
- 過検出の率も確認する
- ライン速度に対応できるか
2. 設定の変更しやすさ
品目ごとに設定を保存・呼び出しできるか。品目が多い工場では必須です。
設定に熟練を要する機器は、属人化を生みます。
3. 環境への耐性
- 防水・防塵
- 洗浄への耐性
- 結露・湯気の影響
- 照明の安定性
湯気は画像検査の大敵です。加熱直後の工程では、設置位置の検討が必要になります。
4. 記録の保存
- 検出結果の記録
- 不良品の画像保存
- ロットとの紐づけ
記録は、クレーム対応と改善の材料になります。「この時間帯に不良が集中している」といった傾向が見えます。
既存の検査機との組み合わせ
多くの食品工場では、次の組み合わせになります。
- 金属検出機(必須に近い)
- 重量チェッカー
- X線検査機(金属以外も検出したい場合)
- 画像検査(外観・表面・包装の確認)
優先順位としては、金属検出機 → 重量チェッカー → X線 → 画像 という順が一般的です。取引先の要求も、この順で厳しくなる傾向があります。
作動確認の記録
どの検査機を導入しても、正常に作動していることの確認と記録が必要です。
- テストピースによる検出確認
- 始業時・終業時・一定間隔での実施
- 検出できなかった場合の対応手順
この記録は、監査で必ず確認されます。衛生管理の記録の残し方をご覧ください。
承継の観点
検査機の設置状況は、取引先の工場監査でも買収監査でも確認されます。
大手との取引を広げるには、一定水準の検査体制が前提になることがあります。設備投資が、販路の拡大につながるという側面もあります。買い手は食品工場の何を見ているかをご覧ください。