何が変わったか
物流の停滞を避けるため、荷主も物流の効率化に責任を持つという考え方が広がっています。具体的には、次のような取り組みが荷主側に求められる方向にあります。
- 荷待ち時間の削減:予約制の導入、受入体制の改善
- 荷役作業の負担軽減:パレット化、機械化
- 納品リードタイムの見直し:翌日必着の緩和など
- 運送契約の書面化と、適正な運賃の支払い
- 物流管理の責任者の設置
- 取り組み状況の把握と報告
制度の詳細と適用の範囲・時期は順次整備されており、変更されることがあります。最新の情報は国土交通省などの公表資料で確認してください。
運送会社にとっての機会
1. 交渉の根拠になる
これまで「お願いする」立場だった要求が、荷主側の取り組み課題として位置づけられます。
- 「荷待ちを減らしていただきたい」
- 「荷役作業の範囲を見直したい」
- 「納品時刻を変更したい」
これらは、荷主にとっても取り組むべき事項になります。運賃交渉の進め方と代替案をご覧ください。
2. データを示せば話が進む
荷主が自社の物流を改善しようとするとき、実態のデータが必要になります。運送会社が持っている情報が、そこで価値を持ちます。
- 荷主別・拠点別の荷待ち時間
- 付帯作業の内容と時間
- 時間帯別の混雑状況
データを提供できる運送会社は、パートナーとして扱われます。デジタコを労務管理にどう使うか、待機料・附帯作業料の収受をご覧ください。
3. 契約の書面化が進む
これまで口頭だった取引条件が、書面になる方向に動きます。運送会社にとっては条件を明確にする機会です。荷主との契約書を整えるをご覧ください。
運送会社に求められること
一方で、荷主から求められる水準も上がります。
1. 法令順守の証明
荷主は、委託先が労働時間・安全の規制を守っているかを気にするようになります。
- 労働時間の管理体制
- 行政処分の有無(行政処分の種類と事業への影響)
- Gマークなどの認定(Gマークの取得と承継時の扱い)
順守できていない会社は、取引先として選ばれにくくなります。
2. データの提供
運行状況、配送実績、荷待ちの記録。求められたときに出せる体制が必要です。動態管理の活用、荷主とのEDI連携をご覧ください。
3. 環境への対応
荷主がサプライチェーン全体の環境負荷を把握しようとする動きがあります。燃料使用量や排出量の把握を求められることがあります。EVトラック・次世代車両の検討をご覧ください。
4. 改善の提案
言われたとおりに運ぶだけでなく、効率化の提案ができることが評価されます。3PLへの転換をご覧ください。
二極化が進む
この変化は、体制のある会社に有利に働きます。
| 有利になる会社 | 厳しくなる会社 |
|---|---|
| 労務・安全の記録がある | 記録がない |
| データを提供できる | 紙とFAXのまま |
| 提案ができる | 言われたとおりに運ぶだけ |
| 直取引がある | 元請経由のみで荷主が見えない |
直取引比率を上げる意味をご覧ください。
今のうちにやること
- 荷待ち・付帯作業を記録する:交渉の材料になります
- 労務の記録を整える(労働時間の把握方法)
- 契約書を整える
- データを出せる仕組みを作る
- 荷主に改善を提案する:待つのではなく、こちらから
制度が整うのを待つ必要はありません。 記録と提案は、今日から始められます。
M&Aでの意味
買い手は、この変化に対応できている会社を評価します。法令順守の体制、データの整備、荷主との契約。いずれも、これまで述べてきた企業価値の要素と重なります。
評価が上がる会社の条件をご覧ください。
まとめ
荷主側にも物流効率化への取り組みが求められる方向に変わり、荷待ち削減や契約書面化が荷主の課題になります。これは運送会社にとって交渉の追い風です。一方で、法令順守の証明とデータ提供が求められる水準も上がります。記録を取り、提案する側に回ってください。