なぜ荷待ちが発生するのか
- 到着が集中する:同じ時間帯に複数の車両が来る
- 受入体制が足りない:バース、人員、フォークリフト
- 前の作業が終わらない:連鎖的に遅れる
- 準備ができていない:荷物が揃っていない、伝票がない
- 検品に時間がかかる
- 指定時刻が実態と合っていない
どれが原因かによって、打ち手が違います。 まず実態を把握してください。
記録を取る
すべての出発点です。次を1か月記録してください。
- 到着時刻
- 作業開始時刻(=待った時間)
- 作業終了時刻
- 出発時刻
- 荷主・拠点
- 曜日・時間帯
デジタコの停車記録と日報を組み合わせると集計しやすくなります。デジタコを労務管理にどう使うか、労働時間の把握方法をご覧ください。
「なんとなく長い」ではなく「平均◯分、月間◯時間」と言えることが、交渉の前提です。
荷主への提案
提案の順序
- 事実を示す:御社での平均待機は◯分、月間◯時間
- 影響を伝える:拘束時間の規制、運行が組めなくなる
- 改善案を出す:具体的に
- それが無理なら料金:待機料の設定
3を先に、4を後にしてください。荷主にとっては、待機を減らすほうが安く済むことが多いためです。
改善案の例
- 予約制・時間指定の導入:到着を分散させる
- 納品時刻の変更:混雑時間を避ける
- 受付・検品の簡略化:事前にデータで送る
- バースの割り当て:車格・荷主別に
- 荷役の分担見直し:荷主側で行う
- パレット化:手積み・手降ろしをなくす
パレット化は効果が大きい一方、パレットの管理・回収という別の課題が生じます。回収方法まで含めて話し合ってください。
予約制の効果と課題
トラック予約受付システムの導入が進んでいます。
効果
- 到着が分散し、待ち時間が減る
- 荷主側も作業計画が立てやすい
- 実績データが残る
課題
- 渋滞などで予約時刻に間に合わないことがある
- 予約が取れないと、その日に運べない
- 運送会社側の運用負担
柔軟性をどう確保するかを、導入時に話し合ってください。
自社でできること
- 到着時刻の調整:混む時間を避けて配車する
- 順序の見直し:待たされる先を後に回す
- 事前連絡:到着予定を伝えて準備してもらう(動態管理の活用)
- 待ち時間の活用:休憩時間として扱えるか(実態が休憩でなければ労働時間です)
4番目は注意が必要です。車から離れられない、いつ呼ばれるか分からない状態は休憩ではありません。
削減が難しい場合
- 待機料を求める(待機料・附帯作業料の収受)
- その荷主の便を減らす
- 配車の優先順位を下げる
- 撤退を検討する(赤字取引の見極めと撤退)
拘束時間の規制がある以上、荷待ちが長い仕事は他の仕事の機会を奪っています。この観点で採算を評価してください。
制度面の後押し
荷主側にも物流効率化への取り組みが求められる方向に制度が整備されています。荷待ち時間の削減は、その中核的な項目です。
「業界全体で取り組んでいることです」という切り口は、交渉を進めやすくします。荷主側の規制強化と運送会社への影響をご覧ください。
削減できたら数字にする
- 削減できた時間 × 時間あたり原価 = 削減額
- 空いた時間で受けられた仕事
- ドライバーの拘束時間の改善
成果を数字で示すと、他の荷主との交渉でも使えます。 「A社では予約制の導入で平均◯分削減できました」という実例は説得力があります。
M&Aでの意味
荷待ちの実態を把握し、削減に取り組んでいる会社は、荷主と対等に話せる会社と評価されます。
また、荷待ちが長い荷主が残っていることは、買収後の改善余地として示すこともできます。実働率・実車率と収益力の見せ方をご覧ください。
まとめ
まず1か月、荷待ちを実測してください。交渉では、事実 → 影響 → 改善案 → 料金の順で提案します。予約制・パレット化・荷役の分担見直しが主な改善策です。削減が難しければ、待機料か、便の見直しか、撤退の判断になります。制度の後押しは交渉の追い風です。