この業態を買う側の動機

  • 同業の冷凍食品メーカー:凍結能力を増やしたい
  • 量販店・外食・給食:安定供給と保管機能が欲しい
  • 食品商社:製造と在庫の機能を持ちたい
  • 常温品のメーカー:冷凍のラインアップを持ちたい

冷凍設備は新設に時間と金がかかります。既にある工場を買うほうが早い、という判断が成り立ちやすい業態です。

売却で見られる数字

  1. 凍結能力(トン/日)と、その稼働率
  2. 冷凍倉庫の容量と、自社使用の比率
  3. 電力単価と契約の形
  4. 設備の残存年数と、直近の更新履歴
  5. 在庫の回転と、滞留の有無

2番目は見落とされがちです。冷凍倉庫に空きがあれば、保管機能としての価値も見てもらえます。自社使用と外部保管を分けて出してください。

電力は利益に直結します。エネルギーコストをどう下げるかで、見直しの手を整理しています。

冷媒と設備更新

冷媒に関する規制は時期によって変わります。古い冷媒を使う設備は、いずれ更新が必要になる可能性があります

買い手は「買ったあとに必要な投資額」を計算し、その分を価格に織り込みます。更新計画を先に作っておくと、その計算を売り手側から示せます

設備の寿命から逆算する環境法令への対応を参照してください。

在庫の扱い

冷凍は在庫が持てるのが強みですが、持てるからこそ持ちすぎる。デューデリジェンスでは滞留在庫が必ず見られます。

古い在庫を整理してから譲るほうが、評価も資金繰りもよくなります。在庫評価の考え方在庫回転をどう上げるかを参照してください。

品目による違い

冷凍惣菜

冷凍惣菜は、常温の惣菜と違って商圏の制約がありません。そのぶん全国のメーカーと競合します。品目の独自性と、小ロット対応の可否が差になります。

冷凍麺

冷凍麺は、生麺の日配と違って遠方に出せます。製麺の設備と凍結の設備を両方持つため、更新の負担が二重になりやすい点に注意してください。麺類製造業の事業承継も参照。

冷凍水産加工

原料の調達が加わります。水産加工会社のM&Aで、調達まわりの論点を扱っています。

冷凍倉庫だけを持っている場合

製造をやめて倉庫だけが残っている、という状態でも需要はあります。冷凍倉庫は需給が締まりやすく、単独でも引き取り手が見つかることがあります

ただし、事業としての価値と不動産としての価値は別に見られます。工場不動産をどう評価するかを参照してください。

承継の視点は冷凍食品メーカーの事業承継で扱っています。

※ 許可の区分や衛生管理・表示の求められ方は、業種や取扱品目、自治体の運用によって変わります。取引条件や契約の内容も個別に異なります。実際の判断にあたっては、所管の保健所や専門家にご相談ください。