デジタコとの違い

 デジタコ動態管理
目的運行の記録(法令対応)現在の状況の把握
タイミング事後に確認リアルタイム
主な用途労務管理、安全指導荷主対応、配車、緊急対応

両方の機能を持つ製品も増えています。デジタコと動態管理を別々に導入すると、二重投資になることがあります。デジタコを労務管理にどう使うかをご覧ください。

二重投資を避けるには、今使っている機器で何ができるかを先に確認してください。すでに位置の情報を取れる機能が付いていることがあります。使っていないだけ、という場合もあります。

販売した業者に聞けば、機能の範囲がわかります。追加の契約で使えるようになるなら、新しく入れるより安く済みます。

別々に入れる場合は、データがつながるかを確認してください。つながらないと、同じ運行について二つの記録が別々に残ります。後から突き合わせる作業が生じます。

できること

  • 現在位置の把握:地図上での表示
  • 到着予測:あと何分で着くか
  • 運行状況:走行中/停車中/荷役中
  • エリア通過の通知:指定地点への到着・出発
  • ドライバーとの連絡:メッセージのやりとり
  • 温度管理:冷蔵・冷凍車の庫内温度(機能があるものに限る)

六つの機能のうち、自社に必要なのはどれかを整理しておいてください。位置がわかれば足りるのか、到着の予測まで要るのか、連絡の機能も使うのか。

温度の管理は、冷蔵や冷凍を扱う会社にとっては重要な機能です。庫内の状況が記録として残れば、品質の証明になります。扱う品目によっては、これが決め手になることもあります。

三つの効果

1. 荷主対応が変わる

「今どこですか」という問い合わせに、即答できます

  • 電話でドライバーに確認する手間がなくなる
  • 遅れが分かった時点で、先に連絡できる
  • 荷主に位置情報を提供できる(提案の材料になる)

ドライバーに運転中の電話をさせないという安全上の意味もあります。

2. 配車が変わる

  • 空車の位置が分かり、近い車に急な依頼を回せる
  • 到着予測から、次の便の組み方を調整できる
  • 渋滞・遅延の把握

配車システムの選び方をご覧ください。

3. 安全・労務に効く

  • 長時間の連続運転に気づける
  • 予定外の長時間停車(体調不良の可能性)を把握できる
  • 事故・故障時に、位置がすぐ分かる
  • 荷待ちの実態が記録される(交渉材料になります

荷待ちの記録は、待機料・附帯作業料の収受の根拠として使えます。

三つのうち、投資の判断で説明しやすいのは一つ目です。問い合わせに答えるためにかけている時間を測れば、削減できる時間が見積もれます。配車を担当する人が一日に何度その電話を受けているかを数えてみてください。

三つ目の荷待ちの記録は、効果としては見えにくいものの、金額としては大きくなり得ます。待たされている時間が数字で出れば、条件を話す材料になります。感覚で「最近待たされる」と言っても、相手は動きません。

記録を交渉に使うには、続けて取ることが前提です。一か月の数字では偶然と言われかねません。数か月分をためて、平均と傾向を示せる状態にしてください。

安全の面では、予定にない長時間の停車に気づけることが大きな意味を持ちます。体調を崩している可能性があるためです。気づいたときに連絡する手順を決めておいてください。

ドライバーの理解を得る

最大の課題は「監視されている」という受け止めです。導入前に、丁寧に説明してください。

伝えるべきこと

  • 何のために入れるのか:荷主対応、安全、緊急時
  • 何を見るのか/見ないのか:位置と運行状況であって、私生活ではない
  • どう使うのか:責めるためではない
  • ドライバーの利益:荷待ちの記録が交渉材料になる、事故時に助けが早い、運転中の電話が減る

やってはいけない使い方

  • 休憩中の位置を問い詰める
  • 寄り道を細かく指摘する
  • 勤務時間外も追跡する
  • 個人を特定した情報を他のドライバーに見せる

信頼を失う使い方をすると、離職につながります。ドライバーの離職防止ハラスメント対策をご覧ください。

この受け止めは、説明の仕方で大きく変わります。何のために入れるのかを伝えずに機器だけ配ると、監視だと受け取られるのが自然です。

説明するときに効くのは、本人にとっての利点を具体的に挙げることです。運転中に電話を受けなくて済む、事故のときに位置がすぐ伝わる、待たされた時間が記録として残る。どれも本人が実感できる話です。

見ない範囲を明示することも大事です。勤務の時間外は追わない、休憩の場所は問わない。この線をはっきりさせておけば、不安は減ります。

そして、決めた線を守ることです。一度でも休憩中の場所を問い詰めれば、信頼は失われます。管理する側の使い方が、この仕組みの成否を決めます。

導入の後も、使い方について声を聞く機会を作ってください。実際に使ってみて感じることがあるはずです。その声を反映すれば、納得も得やすくなります。

運用のルールを決める

  • 誰がデータを見られるか(アクセス権限)
  • どの範囲を見るか(勤務時間内のみ、など)
  • データの保存期間
  • 目的外に使わないこと

位置情報は個人に関わる情報でもあります。取扱いのルールを明文化してください。個人情報・貨物情報の取扱いをご覧ください。

ルールを決めるときは、文書にして共有してください。口頭で伝えただけでは、担当が代わったときに引き継がれません。

書く内容は四つで足ります。誰が見られるか、何を見るか、いつまで残すか、何に使わないか。これが一枚にまとまっていれば、ドライバーにも説明できます。

アクセスできる人の範囲は、狭くしておくほうが無難です。配車を担当する人と管理する立場の人に限る、といった形です。誰でも見られる状態は、目的外の使い方を招きます。

位置の情報は、その人がどこにいたかを示す情報でもあります。扱いについてどこまで配慮が必要かは、状況によって判断が変わる部分です。社内のルールを整えるときは、必要に応じて専門家に相談してください。

選定のポイント

観点確認すること
機器専用機器か、スマートフォンか
デジタコ連携既存のデジタコと統合できるか
通信圏外エリアでの動作、通信費
画面配車担当が見やすいか
荷主提供荷主に位置情報を見せる機能があるか
費用車両1台あたりの月額

スマートフォンを使う方式は初期費用が抑えられますが、私物端末を使う場合はルールの整備が必要です。

六つの観点のうち、通信の費用は見落とされがちです。車両ごとに月額がかかるため、台数が多いと合計は大きくなります。台数分を掛けた年額で見てください。

画面の見やすさも、日々使うぶん効いてきます。配車を担当する人が一日に何度も開くものなので、実際に触って確かめる必要があります。

導入後にやること

  • 荷主に「位置情報を提供できます」と伝える(提案材料になります
  • 荷待ちの実態を月次で集計する
  • 配車の判断にどう使うかを決める
  • 緊急時の対応手順に組み込む

入れただけで見ていない会社が実際にあります。使い道を決めてから導入してください。

この四つのうち、二つ目の集計がいちばん見返りの大きい作業です。荷待ちの実態が数字になれば、条件の交渉に使えます。集計しなければ、記録は残っているだけです。

四つ目の緊急時の手順も、決めておく価値があります。事故や故障の連絡が入ったとき、誰が位置を確認し、誰が現地に向かうのか。手順があれば、対応が速くなります。

補助制度

機器の導入について支援制度が用意されることがあります。年度によって内容が変わるため、最新の情報を確認してください。IT導入関連の支援設備投資と補助金活用をご覧ください。

M&Aでの意味

動態管理を導入している会社は、運行の可視化ができていると評価されます。荷主への情報提供ができることは、取引の質を示す材料にもなります。

また、荷待ちの実態データがあると、買収後の改善余地を具体的に示せます。評価が上がる会社の条件をご覧ください。

荷主に情報を出すかどうか

位置の情報を荷主に見せられる機能を持つ製品があります。これは提案の材料になりますが、出す前に考えておくべき点があります。

まず、出す範囲です。到着の予定だけを伝えるのか、走行の位置まで見せるのか。細かく見せるほど、遅れの理由を問われる場面が増えます。

次に、出すことで何が変わるかです。相手が自分で確認できるようになれば、問い合わせは減ります。一方で、少しの遅れでも気づかれるようになります。

だから、出すかどうかは荷主との関係を見て決めることになります。信頼のある相手なら、情報を共有することで関係が深まります。細かく管理してくる相手だと、負担が増えることもあります。

出すと決めたら、条件を取り決めておいてください。何を、どの範囲で、誰が見られるのか。決めずに始めると、後から求められる範囲が広がることがあります。

圏外や通信が途切れる場所への対応

この仕組みは通信が前提です。だから、電波が届かない場所では位置がわかりません。山間部や地下の施設、大きな建物の中では起こり得ます。

選ぶときは、通信が途切れたときにどうなるかを確認してください。記録を端末に残しておいて後で送る仕組みなら、データは失われません。そうでなければ、その間の記録が空きます。

運用としても、途切れることを前提にしておく必要があります。位置がわからない時間があっても、それが異常とは限らない。この理解が共有されていないと、無用な確認の連絡が増えます。

よく通る経路で途切れる場所があるなら、把握しておいてください。そこを通っている間は表示が止まると分かっていれば、慌てずに済みます。

入れた後に見る仕組みを作る

導入したものの見ていない、という状態はよく起こります。日々の業務に追われ、画面を開く時間がなくなるためです。

防ぐには、見る場面を業務のなかに組み込むことです。朝の配車を組むときに空車の位置を確認する、夕方に当日の運行を振り返る。決まった場面があれば、続きます。

月に一度、まとめて見る機会も作ってください。荷待ちの時間、遅延の発生、長時間の運転。これらを集計すれば、改善すべき点が見えます。

集計した結果は、関係する人と共有してください。配車を組む人、運行を管理する人、そして必要ならドライバーにも。数字が共有されると、改善の話がしやすくなります。

私物の端末を使う場合

専用の機器ではなく、携帯端末を使う方式は初期の費用を抑えられます。ただし、私物を使う場合には決めておくべきことがあります。

まず、通信の費用を誰が負担するかです。会社の業務で使う以上、その分の費用は会社が持つのが筋でしょう。金額の決め方を含めて、あらかじめ決めておいてください。

次に、電池の消耗です。位置を送り続けると電池が減ります。長時間の運行で切れてしまうと、記録が途切れます。充電の手段を用意する必要があります。

端末が壊れたときの扱いも決めておく必要があります。業務で使っていた間に故障した場合、誰が負担するのか。決めていないと、その場で揉めます。

会社の情報が私物の端末に残ることも考慮が要ります。退職するときにどう消すのか、手順を決めておいてください。労務や情報の扱いに関わる部分なので、社内のルールを整えるときは専門家に確認しておくと安心です。

配車の判断にどう組み込むか

位置がわかるようになっても、それだけで配車が良くなるわけではありません。判断にどう使うかを決めて初めて効いてきます。

使い道として分かりやすいのは、急な依頼が入ったときです。空いている車がどこにいるかがわかれば、近い車に回せます。電話で一台ずつ確認する必要がなくなります。

次の便の組み方にも使えます。到着の予測が見えれば、次の積み込みに間に合うかが判断できます。間に合わないとわかれば、早めに別の手を打てます。

遅れが出たときの連絡も速くなります。荷主から問い合わせを受ける前に、こちらから伝える。この順序が守れると、相手の印象が変わります。

これらを実際に回すには、誰が画面を見て、誰が判断するかを決めておく必要があります。決まっていないと、見ている人はいるのに動かないという状態になります。

まとめ

動態管理は、荷主対応・配車・安全の三つに効きます。デジタコと統合できるか確認し、二重投資を避けてください。最大の課題はドライバーの受け止めで、目的とドライバー自身の利益を丁寧に説明することが不可欠です。休憩中の位置を問い詰めるような使い方は、信頼を失います。