この業態を買う側の動機
- 販売力を持つ会社:製造機能を内製化したい
- 同業の健康食品OEM:剤形と生産能力を増やしたい
- 製薬・化粧品の会社:食品分野に広げたい
- 通販事業者:自社ブランドの生産拠点が欲しい
サプリメント工場は、剤形ごとに設備が違い、新設のハードルが高い。錠剤・カプセル・粉末・液体のどれに対応できるかが、そのまま引き合いの幅になります。
表示と広告が最大の論点
過去の分まで見られる
デューデリジェンスでは、現行商品のラベルだけでなく過去の広告表現まで確認されます。医薬品的な効能をうたっていないか、優良誤認を招く表現がないか。
問題のある表現が残っていると、買い手はそのリスクを価格に織り込みます。指摘される前に自分で見つけて直しておくほうが早い。
法務デューデリジェンスで見られることと食品表示の基本を参照してください。
機能性表示食品を扱っている場合
機能性表示食品は届出が前提の制度です。届出者が誰かによって、承継のときの扱いが変わります。
株式譲渡なら法人格が変わらないため継続しやすい一方、事業譲渡では手続きが要ります。届出の根拠となる資料が社内に揃っているかも確認してください。制度の運用は変わることがあるので、専門家に確認したうえで進めてください。
受託でも責任を負うことがある
「表示は委託元が決めたもの」と考えていても、製造者としての立場で問われる場面があります。契約でどこまで分担しているかを確認してください。
品質と分析の体制
健康食品では含有量が表示どおりであることが問われます。
- 製品ごとの規格と、その根拠
- ロットごとの分析結果
- 原料の受け入れ検査と規格書
- クレームと自主回収の履歴
ロットを追える体制があるかどうかで、回収が起きたときの被害範囲が変わります。トレーサビリティの確保と生産物賠償責任保険をどう見るかを参照してください。
取引先の入れ替わりが早い
栄養補助食品メーカーや健康食品OEMは、商品の寿命が短く、委託元が入れ替わりやすいという特徴があります。今の売上構成が3年後も同じとは限りません。
過去3年で失った取引先と、新規で獲得した取引先を並べてください。「入れ替わりはあるが新規が獲れている」と示せれば、構造として説明できます。
利益の安定性をどう見せるかを参照してください。
売る前に整えること
- 現行商品の表示を点検する
- 過去の広告表現を確認し、残っているものを整理する
- 受託契約の責任分担を確認する
- 剤形ごとの対応能力と最小ロットを1枚にまとめる
- 取引先の集中を解く手を打つ
1と2を飛ばして相手を探すと、デューデリジェンスで出てきて話が止まります。承継の視点は健康食品・サプリ受託の事業承継で扱っています。
サプリメント会社を譲るとき
サプリメント会社のM&Aでは、剤形ごとの製造能力が引き合いの幅を決めます。錠剤・カプセル・粉末・液体のどれに対応でき、最小ロットがいくつか。この1枚があるかどうかで、打診の段階から話の具体性が変わります。
あわせて、表示と広告の点検を済ませておいてください。ここが未整理のまま相手を探すと、デューデリジェンスで止まります。
※ 健康食品やサプリメントの表示・広告に関するルールは複数の法令にまたがり、運用も変わります。自社の表示が適切かどうかは、最新の情報を確認のうえ、専門家にご相談ください。