まず現状を確認する

  • 登記簿上の所有者(社長個人か、法人か、共有か)
  • 担保設定の有無(会社の借入の担保になっていないか)
  • 賃貸借契約の有無と内容
  • 賃料の水準(相場と比べてどうか)
  • 車庫として届け出ている範囲と実際の使用

契約書がないケースも多くあります。まず書面を整えてください。車庫の要件をご覧ください。

移すべきか、残すべきか

 法人に移す個人所有のまま
会社の安定使用が確保される相続で分散するリスク
M&Aまとめて譲渡できる買い手が使用の継続を懸念
社長の収入賃料収入がなくなる賃料収入が続く
相続自社株の評価に含まれる個人財産として相続
移転の負担税・登記の費用が生じるなし

どちらが有利かは、個別の事情で変わります。 税務の影響が大きいため、必ず税理士に試算してもらってください。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務の取扱いは、法令の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご確認ください。

移す場合の方法

  1. 売買:法人が個人から買い取る。法人に資金が必要
  2. 現物出資:不動産を出資して株式を取得する
  3. 贈与:課税関係を確認する必要があります

いずれの場合も、時価での取引が原則です。時価から離れた価格で移すと、思わぬ課税が生じることがあります。

また、次の費用が生じます。

  • 登録免許税、不動産取得税
  • 司法書士報酬
  • 譲渡所得への課税(個人側)

個人所有のまま続ける場合の設計

移さない場合、会社が使い続けられることを担保する必要があります。

1. 賃貸借契約を整える

  • 期間(できるだけ長期に
  • 賃料(相場水準に
  • 更新の条件
  • 解約の予告期間

期間の定めがない契約は、買い手が最も不安に思う状態です。荷主との契約書を整えると同じ発想で、書面を整えてください。

2. 賃料を相場水準にする

相場より高いと、その差額は実質的な役員報酬とみなされ、正常収益力の調整で足し戻されます。逆に安すぎると、買収後に賃料が上がる前提で見られます。

相場水準にしておくのが、評価を正しくしてもらう最短の道です。公私混同の解消が最優先である理由をご覧ください。

3. 相続への備え

社長個人所有のまま相続が起きると、相続人が複数いれば土地が分散します。会社が車庫を使えなくなるリスクがあります。

車庫が使えなくなれば、事業が成り立ちません。 ここは必ず手当てしてください。

M&Aでの扱い

買い手にとって最大の関心事は、「譲渡後もその土地で事業を続けられるか」です。

選択肢は次のとおりです。

  1. 賃貸借を継続する:期間と条件を明確にする
  2. 会社に売却してから譲渡する:買い手の資金負担が増える
  3. 買い手に売却する:不動産も含めて譲渡

1番目の場合、長期の定期借地・定期借家など、一定期間の使用が担保される形にするのが実務的です。

不動産の価値が大きいと、価格が事業の収益力から離れて買い手が付きにくくなることがあります。車庫・倉庫の不動産を持つ会社の評価をご覧ください。

担保に入っている場合

会社の借入の担保として、社長個人の不動産が提供されていることがあります。

  • 会社を譲渡しても、担保は自動では外れません
  • 金融機関との交渉が必要
  • 個人保証とセットで整理する

個人保証を外すために逆算で準備しておくことをご覧ください。

親族内承継の場合

会社は子に継がせるが、不動産は個人財産として相続する——という形になりがちです。

  • 後継者以外の子に土地が渡ると、会社が使えなくなる可能性
  • 賃料をめぐって親族間で対立することがある

「会社を継ぐ子に、車庫の土地も相続させる」という設計が基本です。他の相続人には別の資産で調整してください。相続人が複数いる場合の株の分け方をご覧ください。

判断の順序

  1. 現状を確認する(登記、契約、賃料、担保)
  2. 承継の方法を想定する(親族内か、M&Aか)
  3. 税理士に、移す場合と残す場合の試算を依頼する
  4. 会社の資金余力を確認する
  5. 方針を決める
  6. 契約書・遺言などを整える

まとめ

車庫を個人所有のまま残す場合、賃貸借契約を長期で整え、賃料を相場水準にしてください。相続で分散すると会社が使えなくなるため、承継先を明確にすることが不可欠です。法人に移す場合は税と登記の費用が生じるため、税理士に試算を依頼してから判断してください。