最初に確認すること
新しい相手と取引を始める前に、次を確認してください。
実在性
- 会社名、所在地、電話番号
- 登記されている会社か
- ウェブサイト、社会的な発信があるか
- 連絡先が会社のものか、個人のものか
4番目を確認してください。連絡がメッセージアプリと個人の携帯だけという相手は、慎重に扱うべきです。
事業の実態
- どういう事業をしているのか(小売か、卸か、修理業か)
- 買った部品を誰に売るのか
- 取扱量はどれくらいか
- 他の日本の業者と取引しているか
2番目を聞いてください。出口が説明できる相手は、継続的な取引になりやすいのです。
取引実績
同業者に聞くのが最も有効です。その相手と取引したことがある日本の業者を探してください。業界のつながりを使えば見つかることがあります。
トラブルが起きやすい場面
① 品違い、数量違いの主張
「注文したものと違う」「数が足りない」という主張です。
予防策を挙げます。
- 注文内容を書面で確認する
- 梱包時に品目と数量を撮影する
- パッキングリストを正確に作る
- コンテナに封をする前の状態を撮る
2番目と4番目が決定的です。写真があれば、事実で応じられます。
② 状態の相違
「思っていた状態と違う」という主張です。
- 状態の区分を明示する
- 傷や損傷を隠さず写真に撮る
- 「動作未確認」なら明記する
3番目を守ってください。確認していないのに「良好」と伝えれば、必ず問題になります。
③ 輸送中の破損
誰の責任かで揉めます。積み込み時の写真と、梱包の記録が判断材料になります。
そして、どの時点で危険が移るのかを契約で明確にしておいてください。
④ 支払いの遅延
「もう少し待ってほしい」が繰り返される展開です。
予防は決済条件の設計しかありません。前払いを原則にしてください。
⑤ 一方的な条件変更の要求
貨物が到着してから値下げを求められることがあります。応じる必要はありませんが、相手の手元に貨物がある状態では交渉力が弱いのが現実です。
関係を続けるための条件
良いバイヤーとの関係を長く保つために、自社側で整えるべき点です。
- 約束した納期を守る:船の便に間に合わせる。
- 品目と状態を正確に伝える:期待とのずれを作らない。
- 安定して供給する:注文に応えられる在庫を確保する。
- 問題が起きたときに早く対応する
- 相手の求めるものを把握する:需要のある品目を優先的に確保する。
5番目が関係を深めます。「この車種が入ったら連絡してほしい」という要望を記録し、実際に連絡する。それだけで信頼が積み上がります。
担当者に依存させない
この項目が最も重要です。輸出は言語の問題があるため、特定の1人に依存しやすい領域です。
会社の資産に変えるための手順を挙げます。
- やりとりを記録する:注文の履歴、要望、価格の経緯。個人のメールや端末に残さない。
- 相手方の情報を整理する:会社情報、担当者、取引条件、決済履歴。
- 2人目を関与させる:最初は同席や共有だけでも構いません。
- 取引条件を書面にする
- 翻訳の仕組みを整える:語学に依存する部分を減らす。
- 月次で状況を共有する
1番目を徹底してください。担当者の個人アカウントでやりとりされている取引は、その人が辞めた時点で消えます。
承継の場面での見え方
買い手は輸出取引をこう見ます。
- 相手方は何社あるか(1社依存でないか)
- 取引条件が書面になっているか
- やりとりが記録されているか
- 担当者が辞めても続くか
- 未回収が発生していないか
- 仕向地の規制リスクをどう見ているか
4番目が評価を分けます。「あの担当者がいなくなったら輸出は止まる」と判断されれば、その売上は価値として計算されません。
逆に、記録が整い、複数人が関われる状態なら、輸出の売上がそのまま評価されます。同じ売上でも、体制の有無で扱いが変わります。
相手国を訪ねる価値
費用はかかりますが、一度訪問すると関係が変わります。
得られるものを挙げます。
- 相手の事業の実態が分かる(本当に売っているのか)
- 現地でどう使われているかが分かる(求められる品目の理解が深まる)
- 規制や市況の情報が直接得られる
- 他のバイヤー候補と会える
- 信頼関係が深まる
2番目が実務に効きます。「なぜこの部品が求められるのか」が分かると、取る部品の判断が変わります。
そして4番目も重要です。1社依存を解消する機会になります。訪問の際は、複数の相手と会う予定を組んでください。
※ 取引先の確認方法や契約条件は個別の事情によって異なります。重要な取引については専門家にご相談ください。