公開すると何が起きるか
利点と代償の両方があります。
集まりやすくなる
- 問い合わせの件数が増える
- 比較して探している人に届く
- 電話で価格を聞く手間が省ける
- 問い合わせ対応の時間が減る
失うもの
- 個別の状態に応じた価格設定ができなくなる
- 他社に価格を知られる
- 公開した価格が上限になり、下げにくくなる
- 相場が下がったときの変更に手間がかかる
- 価格だけで判断する客が増える
公開側の5番目が本質的な問題です。価格で来た客は、他社が少し高く出せば移ります。関係が積み上がりません。
3番目も実務的な負担です。一度出した価格より低い提示をすると、不信を招きます。
出し方には幅がある
「出す・出さない」の二択ではありません。
- 具体的な金額を出す:最も集まるが、制約も大きい。
- 幅で出す:状態による差を示せる。
- 算式の考え方を出す:何で決まるかを説明する。
- 実績を出す:過去にこの車をいくらで買ったという形。
- 他社との違いを出す:金額以外で選ばれる材料。
3番目が有効な選択です。「重量、年式、取れる部品、相場で決まります」と説明すれば、金額を出さずに納得を得られます。
4番目も効きます。実績なら、状態が違えば金額が違うことが自然に伝わります。上限として固定されません。
相手によって設計を変える
誰に向けて出すかで答えが変わります。
個人からの持ち込み
- 比較して探している人が多い
- ある程度の目安がないと問い合わせに至らない
- 幅または算式の説明が向く
整備工場や販売店
- 継続的な関係で決まる
- 価格より対応の速さと確実さが選ばれる理由になる
- 公開する必要が薄い
同業
- 相場を見ている
- 公開した価格を参照される
整備工場や販売店が主な入荷ルートなら、公開の必要は小さくなります。そこで選ばれる理由は、すぐ来てくれること、書類を確実に処理してくれることです。
個人からの持ち込みを増やしたいなら、何らかの目安は必要です。ただし固定の金額でなくてよい、というのがここでの提案です。
価格以外で選ばれる材料を出す
公開するなら、金額以外も並べてください。
- 引き取りに来てもらえるか
- どれくらいの日数で対応してくれるか
- 抹消の手続きを代行してくれるか
- 還付があるかどうかを説明してくれるか
- 書類の準備を手伝ってくれるか
- 許可を持っているか
3番目と4番目が実は最も求められています。所有者が困っているのは金額より手続きです。ここを丁寧に示すと、価格の比較から抜けられます。
6番目も出してください。適正に許可を持って営業していることを示すのは、この業種では意味があります。
公開した場合の運用
出すなら、管理の手間を見込んでください。
- 相場が動いたときに更新する担当を決める
- 更新の頻度を決める
- 「相場により変動します」と明示する
- 実際の査定との差が出た場合の説明を用意する
- 問い合わせ件数と成約率を測る
1番目と2番目を決めないと、古い価格が残ります。相場が下がったのに高い価格が出ていれば、赤字の取引を招きます。
5番目を測ってください。件数が増えても成約しなければ、対応の時間だけが増えています。効果があるかを数字で確認してください。
判断の順序
- 現在の入荷ルートの比率を出す(個人、整備工場、販売店、同業)
- 増やしたいルートを決める
- そのルートの相手が何で選んでいるかを考える
- 価格が判断材料になるルートか確かめる
- 出すなら、出し方(金額、幅、算式、実績)を選ぶ
- 価格以外の材料を並べる
- 更新の運用を決める
- 効果を測る
1番目を先にやってください。入荷の大半が整備工場から来ているなら、価格の公開は優先課題ではありません。
4番目で立ち止まってください。価格で選ばれていないルートに価格を出しても、粗利を削るだけになります。
問い合わせから成約までを設計する
価格を出しても、その後の対応が悪ければ成約しません。
- 電話に誰が出るか、出られない時間帯をどうするか
- 問い合わせを受けたときに聞く項目を決める
- その場で概算を答えられるようにする
- いつ引き取りに行けるかを即答する
- 必要な書類を伝える
- 連絡先を記録し、後日追いかける
4番目が成約率を左右します。「後で連絡します」で切ると、その間に他社が来ます。
6番目も効きます。すぐ決まらなかった案件を記録し、1週間後に一度連絡する。それだけで成約が増えます。
効果を測る指標
- 問い合わせ件数
- 成約件数と成約率
- 1件あたりの粗利
- ルート別の内訳
3番目を必ず見てください。件数が増えても1件あたりの粗利が下がっていれば、忙しくなっただけです。
※ 価格の表示に関する留意点は個別の内容によって異なります。具体的な設計は専門家にご相談ください。