まず現状の依存度を測る

開拓の前に、今どこから物が来ているかを整理してください。

直近1年の入荷を、発生元別に集計します。金額と量の両方で見てください。

確認すべき点は次のとおりです。

  • 上位1社が全体の何割を占めるか
  • 上位3社で何割か
  • その関係は何年続いているか
  • 担当している人は誰か(社長個人か、社員か)

上位1社で3割を超えているなら、それはリスクです。その1社が離れれば、事業が成り立たなくなります。買い手も必ずここを見ます。

発生元ごとの開拓

① 解体業者・同業者から

自社に破砕やプレスの設備があるなら、周辺の解体業者から廃車ガラを集める余地があります。

相手が求めているのは次の点です。

  • 近い(運搬費が小さい)
  • すぐ受け入れてくれる(待たされない)
  • 計量が正確で、支払いが確実
  • 相場に応じた価格を提示してくれる

価格だけの競争になりがちな領域です。差をつけるなら、受入の速さと計量の信頼性です。トラックを待たせない、計量記録を明示する。この2つが効きます。

② 製造業から

工場から出る金属くずは、品位が安定しており、量も継続します。この業態の入荷源として最も価値が高い部分です。

ただし参入は簡単ではありません。相手は次を確認します。

  • 許可を持っているか
  • 適正に処理していることを示せるか
  • 継続的に引き取れる能力があるか
  • 記録と報告がきちんと出るか

コンプライアンスの水準が入口の条件になります。許可の一覧、処理の流れ、記録の様式を整えて示せる会社が選ばれます。逆に言えば、日々の管理を整えていること自体が営業の材料になります。

③ 建設業から

解体工事や改修工事から金属くずが出ます。単発の案件が多い一方、量がまとまることがあります。

注意すべき点があります。誰が排出事業者なのか、廃棄物として扱うべきものが混ざっていないかを確認してください。有価で買い取るのか、処理費をもらうのかで扱いが変わります。

また、運搬を自社が行う場合、許可の要否を確認する必要があります。

関係を会社の資産に変える

ここが最も重要な部分です。

この業界では、取引が社長個人の信頼で成り立っていることが多くあります。長年の付き合い、飲み仲間、地域のつながり。これらは強い関係ですが、社長が退いたら消えます

買い手から見れば、そうした関係は引き継げない資産です。評価に反映されません。

会社の資産に変える手順を挙げます。

  1. 担当者を付ける:社長以外の人が窓口として関わる状態を作ります。最初は同行するだけでも構いません。
  2. やりとりを記録する:訪問した日、話した内容、出た要望。誰が見ても経緯が分かる形にします。
  3. 取引条件を書面にする:口約束で続いてきた条件を、契約や覚書にします。
  4. 複数人が状況を把握する:月次の会議で主要取引先の状況を共有します。
  5. 相手の担当者とも関係を作る:相手側も世代交代します。

1番目が最も難しく、最も効果があります。社長が全部やるほうが早いのは事実ですが、それを続けると引き継げません。

開拓の進め方

実務的な手順を挙げます。

  1. 自社の商圏を地図に落とす:運搬費が見合う範囲を確認します。
  2. その範囲の候補先を洗い出す:解体業者、工場、建設業者。
  3. 今どこへ出しているかを把握する:切り替えてもらう理由が必要です。
  4. 示せる材料を整える:許可の一覧、処理の流れ、計量の体制、実績。
  5. 訪問し、記録する:断られても記録を残します。数年後に状況が変わることがあります。

4番目が差になります。「うちに出してください」だけでは選ばれません。何が違うのかを示す資料が要ります。

既存先を守ることも開拓

新規開拓に目が向きがちですが、既存先が離れないようにすることも同じ価値があります。

離れる原因を挙げます。

  • 価格が他社より劣り、その理由を説明できていない
  • 受入を待たせる、対応が遅い
  • 計量や支払いで不信が生じた
  • 相手の担当者が代わり、関係が切れた
  • こちらの担当者が辞めて、引き継がれなかった

最後の2つは、関係が個人に紐づいていることから起きます。記録を残し、複数人で関わる体制にしておけば防げます。

紹介の連鎖をつくる

この業界では、紹介が最も確実な開拓経路です。相手も、素性の分からない業者に出したくはありません。

紹介が生まれる条件を挙げます。

  • 既存の取引先が満足している
  • その相手が「紹介できる会社だ」と思える水準にある(許可、記録、対応)
  • 紹介してほしいと伝えている

3番目を実際に言っていない会社が多くあります。「同業や取引先で困っているところがあれば声をかけてください」と伝えるだけで、案件が出てくることがあります。

入荷が細ったときに確認すること

量が落ちてきたら、原因を切り分けてください。

  1. 市場全体が縮んでいるのか:業界統計や同業者の状況で確認します。
  2. 特定の取引先が減らしているのか:先別の推移を見ます。
  3. 他社に流れているのか:価格か、対応か、理由を聞きます。
  4. 自社の受入体制に問題があるのか:待たせている、断っている。

4番目が原因であることは珍しくありません。ヤードが満杯で受け入れられず、断っているうちに他社に定着したという展開です。

この場合、開拓ではなく在庫の回転を上げることが解決策になります。原因を特定せずに営業を強化しても効きません。

※ 廃棄物の該当性や許可の要否は取引の形態によって異なります。新たな取引を始める際は所管の窓口へご確認ください。