高温環境のリスク

発生しやすい場所

  • 加熱釜、蒸し器、フライヤーの周辺
  • 焼成・焙煎の工程
  • ボイラー室
  • 洗浄区域(温水・蒸気を使う)
  • 夏場の梱包・出荷エリア(空調が効きにくい)

湿度が高いのが食品工場の特徴です。蒸気や温水を使う工程では、気温以上に体感の負担が大きくなります。

対策

  • 暑さ指数(WBGT)の測定:温度だけでなく湿度と輻射熱を考慮した指標
  • 局所排気、スポットクーラーの設置
  • 断熱(配管、釜の外装)
  • 作業時間の管理(連続作業時間の制限、交替)
  • 休憩場所の確保(涼しい場所)
  • 水分・塩分の supply
  • 作業着の見直し(衛生要件との両立)

食品工場では、衛生管理上の要請から通気性の悪い作業着が必要になります。この制約の中で対策を考える必要があります。

体調管理

  • 始業前の健康確認(衛生管理の確認と兼ねられます)
  • 体調不良時に申し出やすい雰囲気
  • 単独作業を避ける
  • 高温作業に慣れていない人への配慮(新入者、久しぶりの復帰者)

暑熱順化(体が暑さに慣れること)には数日かかります。夏の入り口や、連休明けは特に注意してください。

低温環境のリスク

発生しやすい場所

  • 冷蔵庫・冷凍庫内での仕分け、ピッキング
  • チルド帯での製造・包装
  • 冷水を使う洗浄作業
  • 冬場の受入・出荷エリア

リスク

  • 低体温、しもやけ、凍傷
  • 手指の感覚低下による切創・挟まれ
  • 結露・凍結による転倒
  • 血圧の変動(温度差による)

2番目が見落とされがちです。手がかじかむと、刃物や機械の操作でミスが起きやすくなります。

対策

  • 防寒着、防寒手袋の支給(作業性との両立を検討)
  • 連続作業時間の制限と、暖かい場所での休憩
  • 作業の分担(庫内作業を交替制にする)
  • 床の凍結・結露の防止
  • 庫内での単独作業を避ける
  • 閉じ込め防止(内側から開けられる構造、非常ボタン)

閉じ込めは重大事故につながります。冷凍庫の内側から開けられるか、実際に確認してください。

温度差への対応

食品工場に固有の問題として、高温区域と低温区域を行き来することがあります。

加熱工程から冷凍庫へ、という動線は体への負担が大きくなります。作業の割り当てを工夫し、極端な行き来を減らしてください

高齢従業員への配慮

食品工場では従業員の高齢化が進んでいます。高温・低温環境の影響は、年齢とともに大きくなります。

  • 体調の変化に気づきにくい
  • 回復に時間がかかる
  • 持病の影響を受けやすい

工程の再設計により、負担の大きい作業を減らすことが有効です。高齢従業員の活かし方をご覧ください。

作業環境測定と記録

作業環境の状態を把握し、記録に残してください。

  • 暑さ指数(WBGT)の測定記録(夏季)
  • 冷凍庫内の温度と、作業時間の記録
  • 体調不良の発生記録
  • 対策の実施記録

記録があると、対策の効果が検証できます。また、労災が発生した場合の説明にも必要です。

省エネとの関係

作業環境の改善は、エネルギーコストの削減と両立できることがあります。

  • 配管・釜の断熱 → 熱損失の削減と、周辺温度の低下
  • 冷凍庫の扉の開閉管理 → 電力削減と、結露の防止
  • 排熱の回収 → コスト削減と、作業環境の改善

エネルギーコストの削減とあわせて検討してください。

承継時に確認される点

  • 過去の熱中症・低温障害の発生状況
  • 作業環境の測定と記録
  • 空調・断熱設備の状況
  • 冷凍庫の安全対策(閉じ込め防止)
  • 作業時間の管理

作業環境が悪い工場は、採用と定着の面でも不利です。買い手はこの点も見ています。定着率を上げるをご覧ください。

※ 労働関係法令の具体的な取扱いは、改正や個別の事情によって異なります。実行にあたっては、管轄の労働基準監督署および社会保険労務士等の専門家にご確認ください。