日齢が評価を削る3つの経路
- 時価純資産を直接削る:日齢が長い在庫は、実勢価格が簿価を下回る
- 収益力を疑わせる:滞留が多い=値付けか販売に問題があると見られる
- 運転資金を圧迫する:資金が寝ている分、事業の効率が低いと評価される
- 時価純資産が実態に近づく(残った在庫が信頼される)
- 回転日数が改善し、収益力が上がって見える
- 資金が戻り、借入が減る
- 売場の鮮度が上がり、業績も改善する
- 日齢区分別の点数・金額・構成比
- その推移(改善していることを示す)
- 日齢区分別の実売価格の実績
- 日齢が進んだ在庫への対処ルール(値下げ、販路変更)
- 区分を固定する — 90日以内、91〜180日、181〜365日、366日超の4区分が扱いやすい形です
- 金額と点数の両方で出す — 点数は少なくても金額が大きい在庫があります
- カテゴリ別に分ける — 商材によって適正な日齢が違います
- 12か月の推移を並べる — 単月では、改善しているかが分かりません
- 季節性を説明する — 一時的に日齢が伸びる時期がある業態もあります
- 366日超の在庫を金額順に並べる — 上位20%で、金額の大半を占めるのが通例です
- その上位から、出口を決める — 値下げ、業者間市場、まとめ売り、処分
- 期限を決めて実行する — 3か月といった区切りを設けます
- 実行した結果を記録する — 回収額と処分額を残します
- 並行して、新規入庫の管理を締める — 流入が止まらなければ、また溜まります
- 月次で分布を更新する
- 問題を認識していることを示す — 自社で課題を把握し、手を打てる会社だと分かります
- 実勢価格の根拠になる — 実際にいくらで売れたかが、評価の裏づけです
- 買い手の作業を減らす — 引き継いだ直後に処分の判断を迫られずに済みます
- 簿価の信頼性が上がる — 残った在庫は売れるものだ、という説明が通ります
1番目だけでなく、2番目と3番目が上乗せ部分(のれん)を削ります。二重に効いてくるのです。
買い手の視点
買い手は、引き継いだ在庫を「何日で、いくらで売れるか」で考えます。
| 日齢 | 買い手の判断 |
|---|---|
| 短い | すぐ現金化できる。ほぼ簿価で評価 |
| 中程度 | 努力すれば売れる。やや割引 |
| 長い | 前の店で売れなかったものが、自分たちで売れるとは限らない。大きく割引 |
3行目の論理が本質です。「売れなかった実績がある商品」というのが、日齢の意味です。
改善の効果
日齢181日超の在庫を処理すると、次が同時に起きます。
処理する時点では純資産が減りますが、その後の評価は上がります。これが重要な点です。
処理と評価減、どちらが良いか
| 実際に売る | 評価減を計上する | |
|---|---|---|
| 現金 | 戻る | 戻らない |
| スペース | 空く | 空かない |
| 評価への効果 | 大きい | 限定的 |
| 時間 | かかる | すぐできる |
実際に売るほうが、圧倒的に効果があります。時間があるなら、処理を優先してください。
示し方
単に「日齢を管理しています」では足りません。次を出してください。
4番目があると、「今後も滞留を作らない会社」と評価されます。
いつから着手するか
滞留在庫の処理には1〜3年かかります。譲渡を考えたときにはもう遅いということです。
引退の3〜5年前から着手してください。売らない場合でも、資金繰りが改善します。
日齢の分布をどう示すか
平均日齢だけでは、実態が伝わりません。分布で示してください。
4番目が最も説得力を持ちます。現時点の分布が良くなくても、6か月前と比べて改善していれば、管理されている会社だと評価されます。逆に、良い数字でも推移がなければ、たまたまの可能性を疑われます。
改善に着手する順序
限られた期間で効果を出すには、金額の大きいところから手をつけてください。
5番目を同時に行わないと、改善が続きません。古い在庫を処理しても、買取の基準が変わらなければ同じ在庫が積み上がります。出口の見えない品物を仕入れない基準づくりを、セットで進めてください。
処理の実行が示す意味
在庫を実際に処理した記録は、数字以上のものを伝えます。
処理に伴う損失の計上時期と税務上の取り扱いは、税理士にご確認ください。実行の順序や、どの期に損失を認識するかによって、影響が変わります。着手の前に相談しておくと、判断がしやすくなります。
まとめ
日齢は、純資産・収益力・資金効率の3つを通じて評価を削ります。改善すると、その3つが同時に良くなります。
評価減より実際に売ること。そして推移を示せると、より高く評価されます。