評価の基本的な手順
- 在庫一覧を、カテゴリ別・日齢別に分解する
- カテゴリごとに、自社の販売網で売れるかを判定する
- 日齢別に掛け率を当てる
- 実売実績と照合する
- 実地棚卸で、現物と数量を確認する
- 合計額を算出する
日齢別の掛け率という考え方
買い手は、日齢が進んだ在庫ほど低く評価します。理由は、売れる確率が下がり、売れても価格が下がるからです。
| 日齢 | 買い手の見方 |
|---|---|
| 〜90日 | 通常の商品。簿価に近い評価 |
| 91〜180日 | やや割り引く |
| 181〜365日 | 大きく割り引く |
| 365日超 | ほぼ処分価格で見る |
具体的な率は、カテゴリと買い手の販売力によって変わります。
カテゴリごとの見方
- 貴金属:相場が明確。評価しやすく、割引が小さい
- ブランド品:真贋と状態次第。記録があれば評価が上がる
- 家電:年式が決定的。古いものはほぼ評価されない
- 古着・雑貨:単価が低く、運搬費が乗るため厳しく見られる
- 家具:保管コストと運搬費で、大きく割り引かれる
- 専門品:買い手の販売網に乗るかで、評価が真逆になる
買い手が減点する要素
- 日齢の長い在庫の比率が高い
- 簿価と実勢価格の差が大きい(評価減が未計上)
- 預かり品と自社在庫が混在している
- 棚卸差異が大きい、または原因が説明できない
- 個品管理されておらず、日齢が取れない
- 真贋判定の記録がない
- 自社の販売網に乗らない商材が多い
売り手が備えるべきこと
買い手の視点が分かれば、備え方も決まります。
- 日齢の長い在庫を、事前に処理する:最も効きます
- 実売価格の実績を用意する:「この日齢でも、実際にこう売れている」と示す
- 預かり品を物理的に分ける
- 棚卸差異を潰し、記録を残す
- 評価減を先に計上する:残った在庫の信頼度が上がります
実売データの効果
買い手が保守的に見積もるのは、データがないからです。
「日齢200日超のこのカテゴリは、過去1年で◯点売れ、平均◯円だった」と示せれば、掛け率の交渉ができます。個品管理の投資が、ここで回収されます。
掛け率の考え方を理解する
買い手がどう評価するかを知ると、売り手の準備が変わります。
- 日齢が短いほど、簿価に近い評価 — 販売可能性が高いためです
- 日齢が長いほど、掛け率が下がる — 売れ残っている事実が、価値を下げます
- カテゴリによって基準が変わる — 相場のある商材と、そうでない商材です
- 状態ランクも考慮される
- 実売データがあれば、それが優先される — 掛け率より、実績のほうが正確です
5番目が売り手にとっての武器になります。同種の商品が実際にいくらで売れているかのデータがあれば、機械的な掛け率ではなく実績に基づく評価を求められます。日齢の長い在庫でも、売れている実績があれば主張できます。
減点される要素を潰す
評価を下げる要素は、事前に対処できます。
- 個品管理ができていない — 1点ごとの仕入日と仕入額が不明な状態です
- 棚卸差異が大きい — 記録の信頼性が疑われます
- 預かり品と混在している
- 保管状態が悪い — 汚損、破損のリスクとして見られます
- 実売データがない — 評価の根拠を示せません
- 日齢の長い在庫が多い
1番目が最も重い減点要素です。個品管理ができていなければ、日齢も粗利も出せず、掛け率を当てる前提が成り立ちません。この場合、在庫全体に保守的な評価が適用されることになります。移行には時間がかかるため、早い着手が必要です。
売り手として備えること
買い手の見方を知ったうえで、準備を進めてください。
- 日齢の長い在庫を、事前に処理する — 最も直接的な対策です
- 実売データを整理する — カテゴリ別・日齢別の実績です
- 棚卸の記録を残す — 差異率の推移を示せる状態にします
- 区分を明確にする — 自社在庫、預かり品、委託品
- 保管環境を整える — 訪問時の印象にも影響します
- 自社でも掛け率を当てて試算しておく
6番目を行っておくと、交渉の場で慌てません。買い手が提示する評価額が、自社の試算と大きく離れていなければ、前提の違いを議論できます。試算もしていない状態では、提示された数字を受け入れるしかありません。
まとめ
買い手は日齢別・カテゴリ別に掛け率を当てて評価します。減点要素を先に潰しておいてください。
実売価格の実績データが、最も強い交渉材料になります。