評価の基本的な手順

  1. 在庫一覧を、カテゴリ別・日齢別に分解する
  2. カテゴリごとに、自社の販売網で売れるかを判定する
  3. 日齢別に掛け率を当てる
  4. 実売実績と照合する
  5. 実地棚卸で、現物と数量を確認する
  6. 合計額を算出する

日齢別の掛け率という考え方

買い手は、日齢が進んだ在庫ほど低く評価します。理由は、売れる確率が下がり、売れても価格が下がるからです。

日齢買い手の見方
〜90日通常の商品。簿価に近い評価
91〜180日やや割り引く
181〜365日大きく割り引く
365日超ほぼ処分価格で見る

具体的な率は、カテゴリと買い手の販売力によって変わります。

カテゴリごとの見方

  • 貴金属:相場が明確。評価しやすく、割引が小さい
  • ブランド品:真贋と状態次第。記録があれば評価が上がる
  • 家電:年式が決定的。古いものはほぼ評価されない
  • 古着・雑貨:単価が低く、運搬費が乗るため厳しく見られる
  • 家具:保管コストと運搬費で、大きく割り引かれる
  • 専門品:買い手の販売網に乗るかで、評価が真逆になる

買い手が減点する要素

  1. 日齢の長い在庫の比率が高い
  2. 簿価と実勢価格の差が大きい(評価減が未計上)
  3. 預かり品と自社在庫が混在している
  4. 棚卸差異が大きい、または原因が説明できない
  5. 個品管理されておらず、日齢が取れない
  6. 真贋判定の記録がない
  7. 自社の販売網に乗らない商材が多い

売り手が備えるべきこと

買い手の視点が分かれば、備え方も決まります。

  • 日齢の長い在庫を、事前に処理する:最も効きます
  • 実売価格の実績を用意する:「この日齢でも、実際にこう売れている」と示す
  • 預かり品を物理的に分ける
  • 棚卸差異を潰し、記録を残す
  • 評価減を先に計上する:残った在庫の信頼度が上がります

実売データの効果

買い手が保守的に見積もるのは、データがないからです。

「日齢200日超のこのカテゴリは、過去1年で◯点売れ、平均◯円だった」と示せれば、掛け率の交渉ができます。個品管理の投資が、ここで回収されます。

掛け率の考え方を理解する

買い手がどう評価するかを知ると、売り手の準備が変わります。

  • 日齢が短いほど、簿価に近い評価 — 販売可能性が高いためです
  • 日齢が長いほど、掛け率が下がる — 売れ残っている事実が、価値を下げます
  • カテゴリによって基準が変わる — 相場のある商材と、そうでない商材です
  • 状態ランクも考慮される
  • 実売データがあれば、それが優先される — 掛け率より、実績のほうが正確です

5番目が売り手にとっての武器になります。同種の商品が実際にいくらで売れているかのデータがあれば、機械的な掛け率ではなく実績に基づく評価を求められます。日齢の長い在庫でも、売れている実績があれば主張できます。

減点される要素を潰す

評価を下げる要素は、事前に対処できます。

  1. 個品管理ができていない — 1点ごとの仕入日と仕入額が不明な状態です
  2. 棚卸差異が大きい — 記録の信頼性が疑われます
  3. 預かり品と混在している
  4. 保管状態が悪い — 汚損、破損のリスクとして見られます
  5. 実売データがない — 評価の根拠を示せません
  6. 日齢の長い在庫が多い

1番目が最も重い減点要素です。個品管理ができていなければ、日齢も粗利も出せず、掛け率を当てる前提が成り立ちません。この場合、在庫全体に保守的な評価が適用されることになります。移行には時間がかかるため、早い着手が必要です。

売り手として備えること

買い手の見方を知ったうえで、準備を進めてください。

  • 日齢の長い在庫を、事前に処理する — 最も直接的な対策です
  • 実売データを整理する — カテゴリ別・日齢別の実績です
  • 棚卸の記録を残す — 差異率の推移を示せる状態にします
  • 区分を明確にする — 自社在庫、預かり品、委託品
  • 保管環境を整える — 訪問時の印象にも影響します
  • 自社でも掛け率を当てて試算しておく

6番目を行っておくと、交渉の場で慌てません。買い手が提示する評価額が、自社の試算と大きく離れていなければ、前提の違いを議論できます。試算もしていない状態では、提示された数字を受け入れるしかありません。

まとめ

買い手は日齢別・カテゴリ別に掛け率を当てて評価します。減点要素を先に潰しておいてください。

実売価格の実績データが、最も強い交渉材料になります。