何に対する料率か
手数料の計算の基礎になる金額を「基準額」と呼びます。会社によって、次のいずれかが使われます。
- 譲渡価格:株式や事業の対価そのもの
- 移動総資産:譲渡価格に、負債を加えた額
- 企業価値:譲渡価格に、有利子負債を加えた額
同じ料率でも、基準額が違えば手数料は何倍も変わります。
リユース業で特に注意すべき理由
この業種は、在庫という資産が大きく、それを借入で賄っていることが多い業種です。
たとえば譲渡価格が小さくても、在庫と借入が大きければ、移動総資産を基準にした場合の手数料は跳ね上がります。
「株の値段は安かったのに、手数料は高かった」という事態が起こり得ます。
確認すべき質問
- 手数料の基準額は何か(譲渡価格か、移動総資産か)
- 料率の体系はどうなっているか(金額帯ごとの段階)
- 最低報酬額はいくらか
- 着手金、中間金はあるか。あれば、不成立の場合に返還されるか
- 月額の顧問料はあるか
- 買い手側からも報酬を受け取るか(両手か片手か)
- 実費は別途か
これらを書面で確認してから契約してください。
最低報酬額に注意
小規模な譲渡では、料率で計算した額より最低報酬額のほうが高くなります。
譲渡価格が小さい場合、手数料が手取りの大半を占めてしまうことがあります。契約前に、想定される譲渡価格で試算してください。
その他にかかる費用
- 税理士・会計士への依頼費用
- 弁護士への依頼費用(契約書の確認)
- 第三者評価を取る場合の費用
- 登記費用
- 買収監査に協力するための社内工数
手取りで比べる
複数の仲介会社を比べるとき、料率だけでなく想定される手数料の実額を出してもらってください。
手取り = 譲渡価格 − 仲介手数料 − 専門家費用 − 税
この式で比べれば、判断できます。
費用の全体像を把握する
仲介手数料以外にも、費用が発生します。
- 着手金 — 契約時に支払う費用です。返還されないのが通例です
- 月額報酬 — 契約している期間、継続的に発生する形があります
- 中間金 — 基本合意の時点で支払う形です
- 成功報酬 — 成約時に支払います
- 弁護士費用 — 契約書の確認と交渉です
- 税理士費用 — 手取りの試算、税務の相談です
- 企業価値評価の費用 — 取得する場合です
5番目と6番目を予算に入れておいてください。仲介手数料だけを見て予算を組むと、専門家費用が想定外の負担になります。契約書の確認は省略できない支出です。最初から見込んでおいてください。
料率の基準額を確認する
同じ料率でも、何に掛けるかで金額が大きく変わります。
- 譲渡対価 — 実際に受け取る金額です。最も負担が小さい形です
- 移動総資産 — 譲渡対価に負債を加えた額です
- 総資産 — 貸借対照表上の資産合計です
- いずれの方式かを、契約前に確認する
- 具体的な金額で試算してもらう
リユース業では、この違いが特に大きく効きます。在庫を多く抱える事業では、総資産が譲渡対価を大きく上回ることがあります。総資産を基準とする方式では、手数料が対価の相当な割合に達する場合があります。自社の数字を入れて試算し、実額で比較してください。
手取りで比較する
複数の候補を比べるときは、最終的な手取りで判断してください。
- 各社の料率と基準額を並べる
- 自社の数字で、実際の手数料額を計算する
- 最低報酬額を確認する — 小規模案件では、料率より最低額が効きます
- 着手金・中間金の有無と金額を含める
- 途中で終了した場合の負担を確認する
- 専門家費用も加える
5番目の確認を必ず行ってください。成約に至らなかった場合、それまでに支払った着手金や月額報酬が返還されないことがあります。どの段階まで進むと、いくらの負担が確定するのかを、契約前に把握しておいてください。
まとめ
基準額が譲渡価格か移動総資産かで、手数料は大きく変わります。在庫と借入が大きいリユース業では特に注意が必要です。
契約前に、想定価格での手数料の実額を書面で出してもらってください。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。