なぜ設定されるのか
買い手の立場では当然の要求です。譲渡したその足で近所に新店を開かれ、常連客と査定担当を連れて行かれては、買った意味がありません。
とくにリユース業では、顧客と仕入れルートが人に紐づいているため、この懸念は強くなります。
制限される要素
- 期間:何年間か
- 地域:どの範囲か
- 事業の範囲:リユース業全般か、特定の業態か
- 行為の範囲:開業だけか、役員就任・出資・従業員としての勤務も含むか
- 従業員の勧誘:元従業員を引き抜かないこと
- 顧客への働きかけ
過大になりやすい条件
草案では、次のような広い条件が入ってくることがあります。
- 「全国において」「無期限で」
- 「リユース業およびこれに類する一切の事業」
- 「直接または間接を問わず、いかなる形態でも」
あまりに広い制限は、職業選択の自由との関係で有効性が問題になり得ます。ただし、争うより先に交渉で範囲を絞るほうが確実です。
交渉の方向
- 期間を区切る:引き継ぎ期間+数年など、合理的な範囲に
- 地域を限定する:譲渡した店舗の商圏に限る
- 事業を限定する:譲渡した業態に限る(別カテゴリの専門店は可、など)
- 例外を設ける:既に別に営んでいる事業、家族の事業への関与など
- 子や配偶者が同業に関わる可能性
- 知人の会社に助言する、役員に就く可能性
- 数年後に気が変わる可能性
- 違約金の額
- 差止めの請求
- 損害賠償の範囲
- 禁止される行為 — 事業を営むことか、役員に就くことか、出資することか、従業員として働くことまで含むか
- 対象の事業 — リユース業全般か、特定のカテゴリか
- 地域 — 全国か、都道府県単位か、店舗からの距離か
- 期間 — 引き渡しからか、引き継ぎ関与の終了からか
- 対象者 — 本人だけか、親族や関係会社まで含むか
- 従業員の勧誘の禁止 — 別条項で定められることがあります
- 残す事業を、条項の適用除外として明記する — 曖昧な表現にしないでください
- 残す事業の範囲を具体的に定義する — 取扱カテゴリ、販路、地域
- 将来の拡大の余地を確保する — 現状の規模に固定されると、成長できません
- 顧客の重複をどう扱うかを決める
- 屋号の使用について定める
- 状況は変わる — 数年後に、事業に関わりたくなる可能性があります
- 助言・顧問の依頼が来ることがある — 同業への助言が制限に触れる場合があります
- 投資が制限される場合がある — 同業への出資が禁止されていることがあります
- 親族の職業に影響する
- 違反時の効果を知っておく必要がある — 違約金や差止めの定めです
残す事業がある場合は特に重要
複数店舗のうち1店舗だけ譲る、1業態だけ譲るという場合、競業避止の範囲が広すぎると、自社の残った事業が続けられなくなります。
この場合は、譲渡対象の事業と地域に厳密に限定するよう交渉してください。
引退する場合でも確認を
「もう商売はしないから関係ない」と思っても、次を考えてください。
「間接的な関与も禁止」という条項は、思わぬ場面で効いてきます。
違反した場合の定め
違約金が過大でないかも確認してください。
制限の内容を1項目ずつ確認する
条項の文言は短くても、影響の範囲は広くなります。分解して読んでください。
5番目の確認を忘れないでください。親族まで対象に含まれていると、子や配偶者の職業選択にまで影響します。家族が同業に関わる可能性があるなら、範囲の限定を交渉してください。
残す事業がある場合の設計
一部の事業を手元に残す場合、競業避止の設計が事業の存続に直結します。
3番目を交渉してください。「現在行っている範囲に限る」という条項では、残した事業を伸ばすことができません。カテゴリや地域の枠を定めたうえで、その中では自由に事業を行える形を目指してください。条項の文言は、弁護士に確認してもらってください。
引退する場合でも確認する理由
事業を続ける意思がなくても、条項の確認は必要です。
制限の有効性については、弁護士にご確認ください。期間や範囲が過度に広い場合、その条項の効力が問題となる可能性があります。ただし、争いになること自体が負担であるため、契約の段階で合理的な範囲に収めておくことが重要です。
まとめ
競業避止は、期間・地域・事業範囲を合理的に限定するよう交渉してください。残す事業がある場合は特に慎重に。
引退予定でも、家族や将来の可能性を考えて範囲を確認しましょう。必ず弁護士に見てもらってください。