「完全成功報酬」が意味すること
着手金や中間金がなく、成約したときにだけ報酬が発生する、という料金体系です。
売り手にとって、不成立の場合に費用が出ないのは確かに利点です。ただし成約時の報酬が安いわけではありません。
レーマン方式とは
基準額を金額帯に分け、帯ごとに異なる料率を掛けて合算する計算方法です。金額が大きいほど、上の帯の料率は低くなります。
問題は料率ではなく、何を基準額とするかです。
基準額の違いが決定的
| 基準額 | 内容 | リユース業での影響 |
|---|---|---|
| 譲渡価格 | 株式や事業の対価 | 最も小さい |
| 企業価値 | 譲渡価格+有利子負債 | 在庫を借入で賄っていると膨らむ |
| 移動総資産 | 譲渡価格+負債総額 | 最も大きくなりやすい |
リユース業は在庫という資産が厚く、それに対応する負債もある業種です。基準額の選び方で、手数料が何倍も変わります。
最低報酬額を確認する
「完全成功報酬」でも、最低報酬額が設定されているのが通常です。
小規模な譲渡の場合、料率での計算額より最低報酬額のほうが高くなります。想定される譲渡価格で、実額がいくらになるかを必ず確認してください。
途中で降りた場合
「完全成功報酬」でも、次の場合に費用が発生することがあります。
- 基本合意後に売り手都合で降りた場合の違約金
- 専属専任の契約に違反した場合
- 実費(交通費、資料作成費など)
契約書で確認してください。「無料」と聞いていたのに請求されるという事態を避けるためです。
両手か片手か
仲介会社が売り手と買い手の双方から報酬を受け取る形(両手)か、一方だけか(片手)を確認してください。
両手の場合、双方の利益が対立する場面での立ち位置が問われます。「誰の側に立つ人か」を理解したうえで使ってください。
比較のしかた
- 想定される譲渡価格を設定する
- 各社に、その価格での手数料の実額を出してもらう
- 最低報酬額との比較も含めて出してもらう
- 着手金・中間金・実費・違約金の有無を確認する
- 書面で受け取る
契約前に確認する項目
「完全成功報酬」の内容は、事業者によって異なります。
- 成功の定義 — 最終契約の締結時か、決済の完了時かです
- 報酬の基準額 — 譲渡対価か、移動総資産か、総資産か
- 料率の刻み — 金額帯ごとの率です
- 最低報酬額 — これが実質的な下限になります
- 実費の扱い — 交通費、資料作成費などが別請求かどうかです
- 契約期間と、期間中の他社との併用の可否
- 途中解約の条件
4番目が小規模案件では決定的です。譲渡対価が数千万円の案件では、料率で計算した額より最低報酬額のほうが高くなることがあります。自社の想定額で計算し、どちらが適用されるかを確認してください。
仲介の立場を確認する
報酬を誰から受け取るかで、立場が変わります。
- 両手 — 売り手と買い手の双方から報酬を受け取る形です
- 片手 — 一方からのみ受け取る形です
- 双方から受け取る場合、利益が相反する可能性がある — 価格の交渉で顕在化します
- その場合の対応方針を確認する
- 助言の範囲を確認する — 交渉の代理か、進行の管理かです
3番目を理解したうえで依頼してください。双方から報酬を受け取る形が不適切だという意味ではなく、そういう構造であることを知って使うべきだという意味です。価格交渉で自社の利益を強く主張してほしい場合は、自社側のみに立つ助言者を別に確保する選択もあります。
比較の進め方
複数の事業者から提案を受けて比べてください。
- 同じ想定金額で試算を依頼する — 比較可能な形にします
- リユース業の取扱実績を聞く — 在庫評価の理解が、成果を左右します
- 担当者と直接話す — 会社ではなく担当者で決まります
- 想定する買い手の候補を聞く — 具体的に挙げられるかを見ます
- 成約までの想定期間を聞く
- 契約書を持ち帰って検討する — その場で署名しないでください
6番目を守ってください。面談の場で契約を求められることがありますが、条件を持ち帰って比較する時間は必要です。契約書の内容について、弁護士に確認してもらうことも検討してください。急かす相手であれば、その姿勢自体が判断材料になります。
まとめ
「完全成功報酬」は不成立時に無料という意味です。成約時の報酬は、基準額の定義で大きく変わります。
在庫と借入が大きいリユース業では、基準額の確認が最も重要です。必ず実額を書面で。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。