手取りを左右する要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡の対価 | 株式の売却代金 |
| 取得費 | その株式を取得したときの費用 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料など |
| 税率 | 譲渡益に対して課される |
取得費が分からないと、計算上不利になることがあります。設立時の資料を探しておいてください。
株式譲渡と事業譲渡の違い
- 株式譲渡:株主個人が代金を受け取る
- 事業譲渡:会社が代金を受け取る(個人に渡すには別の手続きが要る)
手取りが大きく変わります。どちらの形にするかは税務も含めて検討してください。
退職金と組み合わせる
譲渡代金の一部を退職金として受け取る設計があります。課税の扱いが異なるため、組み合わせによって手取りが変わることがあります。
買い手との交渉事項にもなります。早い段階で税理士に相談してください。
試算の手順
- 想定される譲渡価格を把握する
- 取得費の資料を集める
- 仲介手数料などの費用を見込む
- 税理士に手取りを試算してもらう
- 退職金との組み合わせも比較する
注意しておくこと
税制は改正されます。試算した時点の内容が実行時にも当てはまるとは限りません。実行が近づいたら再確認してください。
手取りを計算する順序
手取りは、複数の要素で決まります。
- 譲渡の方式を確認する — 株式譲渡か、事業譲渡か
- 譲渡対価の総額を確認する
- 取得費と譲渡費用を確認する
- 税負担を試算する
- 借入の返済を差し引く
- 手取り額を出す
1番目によって、扱いが大きく異なります。必ず税理士にご相談ください。株式譲渡と事業譲渡では、課税の対象も税率も異なります。方式を決める前に、両方の手取りを試算してもらってください。
方式による違いを把握する
手取りに直結する論点です。
- 株式譲渡 — 個人が対価を受け取ります
- 事業譲渡 — 会社が対価を受け取ります。個人に移すには別の手続きが要ります
- 事業譲渡では、消費税の論点が生じる
- 会社に残る資産・負債の扱いが異なる
- 手続きの負担も異なる
2番目を理解しておいてください。事業譲渡では、対価は会社に入ります。経営者個人が受け取るには、配当や退職金といった形が必要で、その段階で別の課税が生じます。手取りで比較する際は、この点を必ず含めてください。
退職金と組み合わせる場合
受け取り方の配分で、手取りが変わることがあります。
- 総額を分けて受け取る形を検討する
- それぞれの税負担を試算する
- 会社の資金余力を確認する
- 買い手との合意が必要になる
- 退職の事実が問われる点に注意する
いずれも税務上の判断を伴います。必ず税理士にご相談ください。配分の妥当性、退職金の適正額、手続きの要件のいずれも、専門的な判断が必要です。交渉の条件を固める前に、試算を依頼してください。
試算で見落としやすい項目
試算の際に見落としやすい項目があります。
- 納税の時期 — 対価の受領と、納税の時期がずれる場合があります
- 分割払いの場合の課税の時期
- アーンアウトがある場合の扱い
- 個人保証の解除の有無 — 解除されなければ、責任が残ります
- 専門家費用・仲介手数料
- 引き継ぎ期間中の収入
1番目と2番目に注意してください。対価を分割で受け取る場合、先に納税が必要になる可能性があります。納税資金が不足する事態を避けるため、時期を含めた試算を依頼してください。
まとめ
譲渡の判断は手取りベースで行ってください。
取得費の資料を早めに探し、退職金との組み合わせも比較しましょう。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。