試算する三つ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入ってくるもの | 在庫の売却、退職金、株の売却代金、年金 |
| 出ていくもの | 借入の返済、原状回復、廃棄費用、税金 |
| その後の生活費 | 年間いくら必要か |
在庫はいくらになるか
帳簿の金額でそのまま売れるとは限りません。売り方によって手取りが変わります。
- 店頭で通常販売:時間はかかるが単価は高い
- セール販売:早いが単価が落ちる
- 古物市場に出品:早い、相場次第
- まとめて業者に売る:最も早い、単価は最も低い
時間があるほど手取りは増えます。ここが早く動く最大の理由です。
売り切る段取り
- 在庫を回転の速さで分類する
- 動きの遅いものから先に処分する
- 仕入れを段階的に絞る
- 残った高額品は市場や専門業者へ
- 値の付かないものの処分費用を見込む
順番を逆にすると、最後に売れないものだけが残ります。
出ていくお金を忘れない
- 店舗の原状回復
- 廃棄・処分の費用
- 借入の一括返済
- 従業員への対応
- 税金(売却益、退職金など)
税務の確認
在庫の売却、株式の譲渡、退職金の受け取りは、それぞれ課税の扱いが違います。受け取り方によって手取りが変わることもあります。税理士に相談して設計してください。
在庫の現金化を試算する
引退後の資金は、在庫がいくらになるかで大きく変わります。
- 在庫の取得価格の合計を出す
- 日齢別に分ける
- 日齢別の掛け率を当てる — 実売実績から決めます
- 売り切るまでの期間を見積もる
- その間の保管費用を差し引く
- 売れない分の処分費を差し引く
6番目まで含めた金額が、実際に手元に残る目安です。取得価格の合計を資産だと考えていると、実際の回収額との差に驚くことになります。早い段階で現実的な試算をしておいてください。
売り切る段取りを決める
時間をかけるほど、回収額は増えます。
- 閉店を決めた時点から処理を始める — 直前のセールでは安くなります
- 日齢の長い在庫から着手する
- 販路を複数使う — 店頭、EC、業者間市場
- まとめ売りは最後の手段にする
- 処分費のかかる品目を先に判断する
- 古物商許可の維持期間を確認する
6番目を確認しておいてください。閉店後も在庫を販売するなら、許可の維持が必要な場合があります。返納の時期を、在庫の処理計画と合わせて決めてください。所轄の警察署にご確認ください。
出ていくお金を見込む
収入だけでなく、支出も試算してください。
- 閉店・撤退の費用 — 原状回復、撤去、処分
- 従業員の処遇に伴う費用
- 借入の返済
- 税負担 — 譲渡や在庫の売却に伴うものです
- 個人保証が残る場合の負担
- 専門家への費用
4番目は必ず税理士に試算してもらってください。受け取り方や処理の方法によって、税負担が大きく変わります。手取りの見通しが立たなければ、引退後の生活設計もできません。早い段階で相談してください。
生活設計と突き合わせる
試算した金額を、引退後の生活と照らしてください。
- 年金の受給見込みを確認する
- 健康保険の切り替えを確認する
- 月々の生活費を見積もる
- 不足があるかを確認する
- 不足がある場合の対応を考える — 就労、賃貸収入、資産の活用
4番目で不足が見えたら、引退の設計自体を見直してください。時期を後ろにずらす、譲渡の条件を変える、引き継ぎ期間の報酬を交渉する、といった対応があります。試算を先に行うことで、選択肢を検討する時間が確保できます。
まとめ
引退後の資金は、在庫をどう現金化するかで決まります。
時間をかけられるほど手取りは増えます。早めの試算をおすすめします。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。