共有とはどういう状態か
相続で株式を分割せずに承継すると、複数の相続人が一つの株式を共同で持つ状態になります。この場合、権利を行使する人を決めて会社に通知する必要があります。
起きること
- 権利行使者が決まらず、議決権を使えない
- 株主総会の決議ができない
- 役員の変更ができない
- 融資や重要な契約が進まない
- 譲渡の話が持ち込めない
会社の意思決定が止まると、営業そのものに影響が出ます。
解消の方法
| 方法 | 要点 |
|---|---|
| 遺産分割協議 | 誰が何株持つかを確定させる |
| 買い取り | 一人がまとめる、資金が要る |
| 会社が買い取る | 財源や手続きの制約がある |
| 調停・審判 | 話し合いがつかない場合 |
そもそも共有にしない
- 遺言で株の承継先を指定する
- 生前に株を移しておく
- 定款の定めを確認しておく
- 後継者以外には別の財産を配分する
すでに共有になっている場合
放置すると、次の相続でさらに複雑になります。関係者が増えるほど解消は難しくなります。
弁護士に相談し、まずは権利行使者を決めて会社の意思決定を回復させることから始めてください。
共有で起きる具体的な支障
実務がどう止まるかを、把握しておいてください。
- 議決権の行使に、権利者間の調整が必要になる
- 株主総会の決議が進まない
- 役員の選任ができない
- 譲渡の手続きが進まない
- 第三者への売却が事実上困難になる
- 金融機関の対応にも影響する
5番目が承継の場面で決定的です。買い手は全株の取得を求めるのが通例です。共有の株式があると、取引そのものが成立しない可能性があります。譲渡を検討する前に、状態を確認してください。
解消の進め方
時間がかかる作業です。順序を決めてください。
- 現状を正確に把握する — 誰が、どの割合で権利を持つか
- 全員と連絡が取れるかを確認する
- 解消の方法を専門家と検討する
- 価格の根拠を用意する
- 順に交渉する
- 合意を書面にする
手続きと税務の取り扱いは、必ず弁護士・税理士にご相談ください。解消の方法は複数あり、事案によって適した手法が異なります。自己判断で進めると、後から問題が生じます。
共有を生まない備え
予防が最も確実です。
- 遺言で、株式の帰属を明確に定める
- 生前に整理しておく
- 定款で譲渡制限を定める
- 株主名簿を整備し、維持する
- 相続時の取り扱いを事前に検討する
1番目が最も効果的です。遺産分割の協議が整わない間、株式は共有の状態になります。遺言で帰属が定まっていれば、この状態を避けられます。事業を継続させる意思があるなら、優先度の高い対策です。弁護士にご相談ください。
すでに生じている場合の着手
放置すると、次の代でさらに複雑になります。
- 権利者が増える前に着手する
- 権利行使者の指定について確認する
- 暫定的な運営の方法を確認する
- 他の権利者の意向を確認する
- 専門家に相談する
1番目が最重要です。共有の状態で権利者に相続が発生すると、関係者がさらに増えます。時間が経つほど、解消は困難になります。現時点で判明したなら、その時点が最も条件の良いタイミングです。
まとめ
株の共有は、会社を止める状態です。
遺言で承継先を指定しておくことが、最も確実な予防策です。