まず伝えること
次を率直に伝えてください。
- 引退を考えている時期
- 後継者候補の有無
- M&Aも選択肢に入れているか
- 引退後に必要な生活資金の目安
- 家族の状況
「まだ先の話だから」と言わないでください。 早く伝えるほど、打てる手が増えます。
依頼すべきこと(順序)
第1段階:現状を把握する
- 自社株の評価:今いくらなのか(自社株の評価方法の基本)
- 相続税の試算:今相続が起きたらいくらかかるか
- 手取り額の試算:譲渡した場合、退職金の場合
- 役員退職金の適正水準(退職金の設計と税務)
この4つが出れば、判断の土台ができます。
第2段階:課題を洗い出す
- 公私混同になっている項目(公私混同の解消が最優先である理由)
- 役員貸付・借入の状況
- 事業に関係のない資産(事業に関係のない資産の整理)
- 簿外の負担(退職給付、未払残業代の可能性)
- 保険の状態(保険の活用と解約返戻金)
第3段階:整える
- 決算書の見え方を整える(決算書の見え方を整える)
- 月次試算表を出す体制
- 勘定科目を実態に合わせる
- 公私混同を解消する
「将来の承継や売却も視野に入れているので、実態が見える決算にしたい」と伝えてください。税務上の有利不利と、M&Aでの見え方は必ずしも一致しません。
第4段階:方法を決める
- 親族内承継の場合:贈与・相続の設計、事業承継税制の検討
- M&Aの場合:譲渡代金と退職金の配分、手取りの最大化
- 廃業の場合:清算に伴う税務
第5段階:実行
- デューデリジェンスへの対応(資料の提供)
- 契約内容の税務面のチェック
- 実行後の申告
M&Aの経験がない場合
顧問税理士にM&Aの実務経験がないことは珍しくありません。その場合の進め方です。
- 役割を分ける:税務は顧問税理士、M&Aの実務は仲介・FA
- 専門家を紹介してもらう:税理士のネットワークを使う
- 顧問税理士にも同席してもらう:会社の数字を知っているため
顧問税理士を外さないでください。 会社の実情を最もよく知っている存在です。誰に相談すべきかをご覧ください。
他の専門家との連携
| 専門家 | 依頼すること |
|---|---|
| 社労士 | 労務の是正、規程整備(労務リスク) |
| 行政書士 | 許認可の手続き、届出と実態の整合 |
| 司法書士 | 登記、株主名簿、定款 |
| 弁護士 | 契約書、法的リスク |
| 仲介・FA | 相手探し、交渉 |
誰が全体を見るのかを決めてください。専門家がバラバラに動くと、情報が分断されます。多くの場合、顧問税理士か仲介が中心になります。
秘密保持
M&Aを検討する場合、情報管理が重要になります。
- 専門家との間でも秘密保持を確認する
- 事務所内で誰が知るかを確認する
- 資料のやりとりの方法
秘密保持の実務をご覧ください。
費用の考え方
- 通常の顧問料に含まれる範囲を確認する
- 株価評価、相続税試算などは別途費用になることが多い
- 見積りを事前に取る
費用を惜しんで試算をしないのは避けてください。手取り額が分からなければ、引退時期も決められません。
税理士を変えるべきか
次の場合、セカンドオピニオンや変更を検討する余地があります。
- 承継の相談に応じてもらえない
- 月次の数字が出てこない
- 質問への回答が遅い
- 「まだ早い」と取り合ってもらえない
ただし、長年の関係と会社の理解は代えがたい資産です。まずは率直に希望を伝えてみてください。
年1回の定例に組み込む
決算の打ち合わせに、承継の議題を毎年入れることをおすすめします。
- 自社株の評価は変わったか
- 手取りの見込みは
- 今年やるべきことは何か
年1回でも継続すれば、準備は確実に進みます。
まとめ
まず引退時期と選択肢を率直に伝えてください。依頼の順序は、現状把握(株価評価・相続税試算・手取り試算・退職金水準)→ 課題の洗い出し → 決算書を整える → 方法の決定 → 実行です。M&Aの経験がなくても外さず、役割を分けて連携してください。年1回の定例に承継の議題を入れることが有効です。