3つの区分
ヤードから出るものは、大きく次のいずれかに分類されます。
① 使用済自動車とその部品
自動車リサイクル法の枠内で処理されるものです。引取から破砕までの流れと、移動報告の対象になります。
② 有価物
売れるもの。鉄スクラップ、非鉄、再使用できる部品。お金を受け取って引き渡すものです。廃棄物処理法の対象にはなりません。
③ 産業廃棄物
処理費を払って引き渡すもの。廃タイヤ、廃油、シート、樹脂部材など。マニフェストと委託契約が必要になります。
境目が動く
実務で最も難しいのが②と③の境目です。そしてこの境目は相場によって動きます。
例を挙げます。
- 鉄の相場が高いときは有価で売れていた雑品が、下落局面では処理費を払わないと引き取ってもらえなくなる
- ある品目の引取価格がゼロに近づき、やがて逆有償になる
- 市況が回復すると、また有価に戻る
問題は、取引の形だけが以前のまま続くことです。実態が逆有償に変わっているのに、契約書も記録の付け方も変えていない状態です。
判断の考え方
廃棄物に該当するかどうかは、取引価格だけで決まるものではありません。複数の要素が総合的に考慮されます。
一般に考慮される要素として、次のようなものが挙げられます。
- 物の性状:そのまま利用できる状態か、汚れや異物が混じっているか
- 排出の状況:計画的に出ているか、不要になって出たものか
- 通常の取引形態:その業界で通常どう扱われているか
- 取引価値:お金の流れる向き、市場の有無
- 占有者の意思:利用するつもりか、処分したいのか
つまり「売れているから廃棄物ではない」と一言では決まりません。逆に、無償で引き渡していても、相手が確実に利用する仕組みがあれば有価物と整理される場合もあります。
実務でつまずきやすい場面
雑品・ミックスメタル
金属と可燃物が混ざったもの。品位と相場によって扱いが変わります。この業態で最も判断が難しい品目です。
逆有償になった品目
引取価格がマイナスになった時点で、廃棄物としての扱いが必要になり得ます。相場が動いた局面で見直すという運用が要ります。
運搬費が上回る場合
物の代金より運搬費が大きいと、実質的に費用を払っていることになります。この場合の扱いは慎重な確認が必要です。
他社から持ち込まれるもの
誰が排出事業者なのかで、責任の所在が変わります。「ついでに引き取る」を繰り返しているうちに、無許可の処理になっていることがあります。
年に一度、主要品目を点検する
相場が大きく動いた局面で、次を確認してください。
- 主要品目それぞれについて、お金はどちらに流れているか
- 逆有償に転じた品目はないか
- その品目について、契約書と記録は実態に合っているか
- マニフェストが必要な品目に、交付されているか
この点検を年に一度でも行っておくと、行政の確認で「気づいていなかった」という状況を避けられます。
迷ったら事前に相談する
判断がつかない場合、所管の自治体窓口へ相談してください。
相談の際の準備を挙げます。
- 物の写真
- どこから、どういう経緯で出たものか
- 取引の条件(価格、運搬費の負担、相手方)
- 相手方がそれをどう利用するのか
そして相談した日付、担当者、回答の内容を記録に残してください。口頭の確認だけでは、後から「そう聞いた」と主張できません。数年後に人が代わったときにも効きます。
社内で判断を共有する
この判断が社長だけのものになっていると、現場が困ります。
整えるべきものを挙げます。
- 品目ごとの扱いを一覧にする:有価か廃棄物か、必要な手続きは何か
- 受け入れてよいものの一覧:他社から持ち込まれるものについて
- 迷ったら断る、または確認するという原則を明示する
- 相場が変わったら一覧を更新する担当を決める
3番目が重要です。現場が断ってよいと分かっていないと、判断できないまま受け入れてしまいます。
承継の場面で問われる点
買い手はここを確認します。
- 品目ごとの扱いが整理されているか
- 逆有償になっている品目について、適切な手続きが取られているか
- 委託契約とマニフェストが実態に合っているか
- 他社から持ち込まれるものについて、許可の範囲内か
- 行政に相談した記録があるか
最後の点が意外に評価されます。判断に迷う案件を行政に確認している会社は、管理体制があると見なされます。逆に、すべてを自己判断で処理してきた会社は、隠れたリスクを疑われます。
1枚の表にする
判断を社内で共有するため、次のような表を作ってください。
- 品目名
- 現在の扱い(有価物か廃棄物か)
- お金の流れる向きと、直近の単価
- 引渡先
- 必要な手続き(マニフェスト、契約書の有無)
- 最後に確認した日
この表があれば、相場が動いたときに何を見直すべきかが一目で分かります。最後の列を入れておくのが要点で、何年も確認していない品目が見つかります。
更新の担当と時期を決めてください。年に一度、または相場が大きく動いた局面で見直す。それだけで、実態と手続きのずれを防げます。
※ 廃棄物該当性の判断は個別の事情によって異なります。実際の取り扱いは必ず所管の自治体窓口へご確認ください。