入金までの流れとタイミング
- 交付決定
- 発注・納品
- 支払い(ここで現金が出る)
- 実績報告
- 確認・確定
- 入金(数か月後)
3から6までの期間が、つなぎ資金が必要になる期間です。数か月に及ぶことが一般的で、報告の内容確認に時間がかかればさらに延びます。
補助金申請の流れをご覧ください。
この期間がどれだけになるかは、制度と、報告の内容によって変わります。だから、余裕を持って見積もってください。
報告に不備があれば、やりとりが発生して延びます。書類を揃えて一度で通れば、その分早くなります。
おおよその期間は、交付元に聞けば教えてもらえることがあります。計画を立てる前に確認しておく価値があります。
必要額を計算する
必要なつなぎ資金 = 総投資額(消費税を含む)
補助される分も含めて全額を一度立て替えることになります。「補助率が◯割だから自己負担は◯割」というのは、最終的な話です。
さらに、次も見込んでください。
- 消費税:補助対象外とされることが多い
- 対象外の経費:付属品、保守料など
- 導入に伴う費用:工事、教育、移行
- 入金が遅れた場合の余裕
全額を立て替えるという点が、この分野で最も誤解されやすい部分です。補助の割合が高いほど自己の負担が小さいと考えがちですが、それは最後の話です。
途中の期間は、投資の額をそのまま自社で持つことになります。だから、必要な資金は補助の割合に関係なく、投資の総額です。
四つの追加項目のうち、対象外の経費は見落としやすい部分です。本体は対象でも、付属するものや設置の工事が対象外とされることがあります。
導入に伴う費用も、忘れずに見込んでください。工事、教える時間、これまでのやり方から移す手間。これらは補助の対象にならないことが多く、しかも実際に発生します。
調達の方法
1. 自己資金
最も簡単ですが、手元資金が薄くなる点に注意してください。運送業は燃料・給与の支払いが毎月確実に発生します。手元資金を使い切ると、通常の資金繰りが厳しくなります。
2. 金融機関からの借入
最も一般的な方法です。次を伝えて相談してください。
- 交付決定通知(採択されていることの証明)
- 投資の内容と金額
- 補助金の入金見込み時期
- 返済の計画(補助金入金時に一部返済するか)
交付決定通知があると、話が進みやすくなります。 制度によっては、つなぎ融資の商品が用意されていることもあります。
3. リース・割賦の活用
ただし、リースは補助対象外とされることがあります。所有権が自社にないためです。公募要領で必ず確認してください。
三つのうち、二つ目が現実的な選択になることが多いでしょう。自己の資金で賄えるとしても、使い切ると日々の資金繰りが厳しくなります。
相談するときに決定の通知があると話が進みやすいのは、後から入る見込みが確かになるからです。返済の原資が見えていれば、判断もしやすくなります。
返済の計画については、補助が入った時点で一部を返す形が考えられます。この形なら、借りる期間も短く済みます。
三つ目の形については、対象になるかを必ず確かめてください。所有の形が違うため、対象外とされることがあります。
金融機関への相談は早めに
交付決定を受けてから相談するのでは遅いことがあります。
- 申請の段階で「採択されたら借りたい」と伝えておく
- 事業計画を共有する(事業計画書の書き方)
- 審査に時間がかかることを見込む
補助金の申請に使った事業計画は、そのまま金融機関への説明資料になります。金融機関への説明をご覧ください。
審査に時間がかかる点も、見込んでおいてください。相談してすぐ借りられるわけではありません。
特に、これまで大きな借入をしていない会社では、判断に時間がかかることがあります。日頃から数字を共有している会社のほうが、話は速く進みます。
資金繰り表に落とす
月次の資金繰り表に、次を反映してください。
- 支払いの月:大きな支出
- 入金の月:補助金の入金(遅れる前提で余裕を見る)
- 借入の実行と返済
資金繰り表を作っていない会社は、この機会に作ってください。 補助金に限らず、経営の基本になります。財務デューデリジェンスで指摘されやすい点でも、月次の資金繰り表があることが評価されると述べています。
やってはいけないこと
- 補助金の入金を前提に、他の支払いを組む:入金が遅れると連鎖します
- 手元資金をすべて投じる
- 社長個人の資金で立て替える:公私混同になります(公私混同の解消が最優先である理由)
- 支払いを遅らせる:取引先の信用を失います
3番目は実際によくあります。会社の口座から支払わないと、実績報告で問題になることもあります。実績報告と証拠書類をご覧ください。
三つ目については、報告の段階で問題になります。会社の事業として行った投資が、個人の口座から支払われていると、証明が難しくなります。
だから、資金が足りないなら借りてください。個人で立て替えるのは、その場をしのげても後で困ります。
一つ目も、実際によく起こります。補助が入ることを前提に他の支払いを組んでいると、入金が遅れたときに連鎖します。
入金の時期は読み切れません。報告の内容確認に時間がかかることもあります。だから、入る前提の計画は組まないでください。
減額されるリスクも見込む
実績報告の結果、補助額が申請時より減ることがあります。
- 対象外の経費が含まれていた
- 実際の支出が見積りより少なかった
- 書類の不備で一部が認められなかった
満額入る前提で資金計画を組まないほうが安全です。
そもそも補助金を使うべきか
次の場合、補助金を使わない判断もあります。
- つなぎ資金の調達が難しい
- 投資の時期を遅らせられない(交付決定を待てない)
- 処分制限が承継の計画と合わない(取得財産の処分制限)
- 申請と報告の手間に見合わない金額
補助金は「もらえるお金」ではなく「立て替えて、後から一部戻ってくるお金」です。この理解が資金計画の出発点になります。
四つの場面のうち、二つ目が実務では多くなります。設備が壊れた、荷主から求められた、人が足りない。急ぐ事情があるなら、待てません。
その場合、制度を使わずに進めることになります。負担は増えますが、時期も自由で、制限もかかりません。
四つ目については、手間を時間に換算してみてください。要領を読み、計画を書き、書類を集め、報告する。この時間に人件費を掛けた額と、補助の額を比べます。
いつ相談を始めるか
金融機関への相談は、申請の段階で始めてください。決定を受けてからでは、審査の時間が足りないことがあります。
この段階では、採択されるかどうかはわかりません。それでも構いません。こういう投資を考えていて、採択されたら資金が要る、と伝えておくだけで違います。
伝えるときは、申請に使った計画をそのまま見せてください。何のための投資で、どういう効果を見込んでいるか。この資料は、そのまま説明に使えます。
採択されなかった場合にどうするかも、あわせて話しておいてください。それでも投資するのか、見送るのか。方針が伝わっていれば、相手も検討しやすくなります。
資金繰りの表に落とし込む
この投資は、複数の月にまたがって資金に影響します。だから、表に落として確かめる必要があります。
書き込むのは、支払いが発生する月、借入が実行される月、返済が始まる月、補助が入る見込みの月です。
入る月は、余裕を持って後ろに置いてください。想定より遅れることがあります。遅れても回るかを確かめるのが、この作業の目的です。
表を見て、途中で残高が薄くなる月があるなら、そこが問題です。借入の額を増やすか、投資の時期をずらすかの判断になります。
この表は、金融機関に相談するときにも使えます。なぜその額が必要かを、月ごとの動きで示せます。
減額の可能性を織り込む
報告の段階で、想定より入る額が減ることがあります。だから、満額が入る前提で計画を組まないでください。
減る理由は主に三つです。対象外の経費が含まれていた、実際の支出が見積りより少なかった、書類の不備で一部が認められなかった。
一つ目を防ぐには、迷う経費を事前に問い合わせることです。対象になるかどうかを確かめてから発注してください。
三つ目を防ぐには、書類をその都度揃えることです。後から集めると、足りないものが出ます。
それでも減る可能性は残ります。だから、減った場合でも資金が回るかを確かめておいてください。
使わない判断をする場面
ここまで見てくると、使わないほうが良い場面もあることがわかります。
資金の手当てが難しいなら、無理に使う必要はありません。立て替えられなければ、そもそも進められません。
投資の時期を遅らせられない場合も同じです。決定を待てないなら、自己の資金やリースで進めることになります。
承継の計画と重なる場合も、慎重に考えてください。制限がかかると、手法の選択に影響します。
金額が小さい場合、手間に見合わないこともあります。申請と報告にかかる時間を人件費に換算して、補助の額と比べてみてください。
立て替えて後から一部が戻ってくる仕組みだと理解すれば、この判断もしやすくなります。もらえる資金ではありません。
複数の投資が重なるとき
制度を使う投資と、通常の車両の更新が同じ時期に重なることがあります。この場合、資金の負担が一度に来ます。
だから、年ごとの投資の予定を並べてみてください。車両の更新、設備の入れ替え、制度を使う投資。同じ年に集中していないかを見ます。
集中しているなら、どれかをずらすことを考えます。制度を使う投資は公募の時期に縛られますが、車両の更新は自社で時期を決められることがあります。
ずらせないなら、資金の手当てを厚くする必要があります。借入の枠を増やす、時期を分けて借りる。金融機関との相談も、この前提で行ってください。
返済の負担も合わせて見てください。複数の借入が重なると、毎月の返済額が増えます。利益で賄える範囲に収まっているかを確かめてください。
入金の後にどうするか
補助が入ったら、その資金をどう扱うかも決めておいてください。何も決めていないと、日々の資金繰りに紛れます。
借入で立て替えたなら、その返済に充てるのが自然です。あらかじめ金融機関と話しておけば、繰り上げの手続きもすぐできます。
自己の資金で立て替えたなら、戻った分をどう使うかを考えます。次の投資に備えて残すのか、薄くなった手元資金を戻すのか。
いずれにしても、入ったことを記録に残してください。いつ、いくら入ったか。会計の処理も、税理士に確認しながら進めることになります。
相談先を分けて考える
資金の相談と、申請の相談は別のものです。だから、相手も分けて考える必要があります。
資金については、取引のある金融機関が相手になります。会社の状況を知っているため、話が速く進みます。
申請については、商工の団体やよろず支援の拠点、認定を受けた支援の機関が相手になります。書き方や必要な書類について助言を受けられます。
この二つをつなぐことにも意味があります。申請に使った計画を金融機関にも見せれば、資金の相談がしやすくなります。同じ資料が両方で使えます。
制度によっては、金融機関が制度の情報を持っていることもあります。投資の相談をする流れで、使えるものがあるかを聞いてみる価値はあります。
採択されなかった場合の資金
用意した資金の扱いも、考えておいてください。借入の枠を作っていたなら、使わずに済みます。
ただし、その投資が必要なら、制度なしで進めることになります。この場合、自己の負担は増えます。
だから、採択されなくても進めるかどうかを先に決めておいてください。進めるなら、その前提で資金を用意します。
見送るなら、いつまで待つかも決めておく必要があります。次の公募を待つのか、諦めるのか。設備の状態によっては、待てないこともあります。
まとめ
補助金は後払いで、総投資額を一度立て替える必要があります。入金まで数か月かかるため、つなぎ資金を確保してください。金融機関には申請の段階で相談し、資金繰り表に反映すること。減額の可能性も見込み、満額入る前提で計画を組まないでください。
※ 補助金の名称・対象経費・要件・公募時期は年度によって変わります。本記事は一般的な進め方を整理したものですので、実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。