比較すべき指標
売上の絶対額を比べても、規模が違えば意味がありません。比率と単位あたりの数字で比べてください。
- 坪あたり粗利
- 1人あたり粗利
- 在庫日齢181日超の比率
- カテゴリ別の粗利率
- 買取件数(チャネル別)
- 買取原価率
- 客単価、1会計あたり点数
- ロス率、返品率
条件の違いを整理する
比較の前に、店舗ごとの条件を並べてください。
- 商圏人口、競合の数
- 面積、家賃
- 営業年数(認知度が違う)
- 人員数と、査定できる人の有無
- 取扱いカテゴリの構成
条件が違うのは当然です。それを踏まえたうえで、差の理由を考えるのが目的です。
差から学ぶ
数字に差があるとき、次を確認してください。
| 差 | 調べること |
|---|---|
| 買取原価率が高い店 | 基準表を守れているか。担当者の経験 |
| 日齢が長い店 | 値下げ・販路変更のルールが回っているか |
| 買取件数が多い店 | 何をしているのか。他店に展開できるか |
| 客単価が高い店 | 売場の作り方、接客の違い |
| ロス率が低い店 | 陳列、声かけ、カメラの配置 |
良い店のやり方を展開する
比較の目的は、劣っている店を責めることではありません。うまくいっている店のやり方を、他店に広げることです。
- 数字が良い店を特定する
- その店で何をしているかを、現場で確認する
- 再現できる形(手順、様式)に落とす
- 他店で試す
- 結果を次の会議で確認する
注意点
- 順位づけだけで終わらせない:数字が悪い店の店長が萎縮します
- 条件の違いを無視しない:商圏が違えば結果も違います
- 短期の変動で判断しない:3か月程度の平均で見る
- 数字が良い店にも課題がある:全項目が良い店はありません
承継とM&Aへの効き方
店舗別の数字を出せる会社は、買い手から評価されます。どの店が稼いでいるかが分かるため、買い手が計画を立てられるからです。
赤字店があっても、原因と対策を説明できれば減点は小さくなります。
比較の前に条件を揃える
条件の違いを無視した比較は、現場の納得を失います。
- 売場面積で割る — 面積あたりの粗利で比べます
- 人員数・総労働時間で割る — 1人あたり、1時間あたりの粗利です
- 商圏人口を確認する — 絶対数の差は、立地で決まる部分があります
- 開店からの年数を考慮する — 新店は、認知が積み上がる途中です
- 取扱カテゴリの構成を確認する — 構成が違えば、粗利率も違います
- 競合の状況を把握する
絶対額での順位づけは避けてください。立地条件の良い店が上位になるだけで、学べることがありません。条件を揃えた指標で比べて初めて、運営の差が見えます。比較の目的は評価ではなく、良いやり方を見つけて広げることです。
差の原因を現場から引き出す
数字の差の理由は、現場が最もよく知っています。
- 差が大きい指標を1つ選ぶ
- 上位の店の担当者に、やっていることを説明してもらう
- 具体的な手順まで聞き出す — 「丁寧にやっている」では、展開できません
- 他店が試せる形にまとめる — 1枚の手順書にします
- 試した店の結果を、翌月に確認する
- 効果があれば、全店の標準にする
3番目の掘り下げが要です。本人は無意識にやっているため、「特別なことはしていません」と答えることが大半です。何時に何をしているか、どういう順序で作業しているかを具体的に聞くと、違いが見つかります。他店の担当者が同席して質問する形が、最も引き出せます。
比較が逆効果になる場合
やり方を誤ると、数字を良く見せる工夫が始まります。
- 順位を給与や賞与に直結させる — 条件の差が処遇の差になり、不満が残ります
- 下位の店を公開の場で責める — 情報が出てこなくなります
- 単一の指標だけで判断する — その指標だけを追う行動が生まれます
- 数字の作り方を統一していない — 集計方法が違えば、比較になりません
- 改善の支援がない — 指摘だけでは、変わりません
5番目が最も多い失敗です。差を指摘するだけで、人員も予算も方法も渡さなければ、現場は動けません。比較で課題が見えたら、上位店の手順を渡す、応援に入る、といった支援とセットにしてください。比較は診断であって、治療ではありません。
まとめ
店舗比較は、比率と単位あたりの数字で。条件の違いを踏まえ、良い店のやり方を他店に展開してください。
まず坪あたり粗利と日齢比率を、全店で並べてみましょう。