なぜ5つに絞るのか
指標が多いと、どれも見なくなります。逆に絞ると、毎月必ず確認するようになり、変化に気づけます。
選ぶ基準は、「その数字が動けば、経営が変わるか」です。
KPI 1:在庫日齢181日超の比率
リユース業で最も重要な指標です。資金がどれだけ寝ているかを示します。
- 上がっていれば、出口の手当てが足りていない
- 下がっていれば、回転の改善が効いている
- 販売集客と買取集客の配分を決める材料にもなる
KPI 2:カテゴリ別の粗利額
粗利「率」ではなく「額」で見てください。額が事業を支えます。
- どのカテゴリで稼いでいるかが分かる
- 撤退・注力の判断材料になる
- 前年同月と比べると、構造の変化が見える
KPI 3:買取件数(チャネル別)
仕入れは事業の入口です。件数が減れば、数か月後に売上が落ちます。
- チャネル別に見ることで、広告依存の度合いが分かる
- 先行指標として、早く手を打てる
KPI 4:買取原価率(カテゴリ別)
高く買いすぎていないかを見ます。
- 上がっていれば、粗利が薄くなる
- 担当者別に出すと、育成と不正防止の両方に効く
- 相場変動への追随ができているかも分かる
KPI 5:1人あたり粗利額
生産性の指標です。人を増やす判断、投資の判断に使います。
- 下がっていれば、作業に時間が食われている可能性
- 店舗が複数あれば、横並びで比較できる
月次で追う形
この5つを1枚の表にして、毎月同じ形式で出してください。
| 指標 | 今月 | 前月 | 前年同月 | 目標 |
|---|---|---|---|---|
| 日齢181日超比率 | ||||
| カテゴリ別粗利額 | ||||
| 買取件数 | ||||
| 買取原価率 | ||||
| 1人あたり粗利額 |
前年同月との比較を必ず入れてください。季節性のある事業では、前月比だけでは判断を誤ります。
数字を集める仕組みを先に作る
指標を決めても、集計に時間がかかると続きません。
- システムから自動で出せる形にする — 手集計は、繁忙期に止まります
- 集計の担当と期限を決める — 月初の何営業日目までに出すかを決めます
- フォーマットを固定する — 毎月同じ形なら、変化に気づけます
- 前月・前年同月を並べる — 単月の数字だけでは判断できません
- 集計にかかる時間を測る — 長ければ、仕組みを改善します
1番目が実現できないなら、指標を減らしてください。手集計に半日かかる指標を5つ持つより、自動で出る指標を3つ持つほうが、確実に運用されます。取れるデータの範囲で始め、システムの更新にあわせて増やす順序が現実的です。
指標の目標値をどう決めるか
他社の水準ではなく、自店の実績から決めてください。
- 直近12か月の実績を並べる — 季節変動を含めた幅が見えます
- 平均と最良値を出す
- 最良値を目標にしない — 一度達成できた数字が、常に達成できるとは限りません
- 平均と最良の間に目標を置く — 手が届く水準にします
- 四半期ごとに見直す
- 達成できたら、目標を上げる
3番目を守ってください。最良値を目標にすると、ほぼ毎月未達になります。未達が常態化すると、目標そのものが無視されるようになります。少し努力すれば届く水準を設定し、達成の経験を積み重ねるほうが、結果として数字は伸びます。
指標を現場と共有する
経営者だけが見ている数字は、行動を変えません。
- 掲示する — バックヤードに、月次の数字を貼ります
- 担当者に関係する指標を渡す — 全社の数字より、自分の担当カテゴリの数字が効きます
- 数字の意味を説明する — なぜその指標を見るのかを、最初に伝えます
- 良い変化を共有する — 悪い数字だけを取り上げると、見なくなります
- 行動と結びつける — その数字を良くするために何ができるかを、一緒に考えます
5番目がなければ、共有は無意味です。「在庫日齢181日超が30%」という数字を見せても、何をすればよいか分からなければ行動は変わりません。「この棚の商品を来週中に値下げする」といった、具体的な行動に落として初めて、数字が動きます。
まとめ
日齢比率、カテゴリ別粗利額、買取件数、買取原価率、1人あたり粗利額。この5つを毎月同じ形式で出してください。
まず1枚の表を作り、今月から埋め始めましょう。