よくある個人名義の資産

  • 店舗・倉庫の土地建物
  • 駐車場
  • 車両(買取・配送に使うもの)
  • 店で使っている什器・機器
  • ドメイン・SNSアカウント
  • 屋号の商標

何が問題か

場面起きること
承継後継者が使い続ける保証がない
相続他の相続人に渡り、営業に支障が出る
譲渡買い手が別途交渉する必要がある
融資会社の資産として評価されない

整理の選択肢

  1. 会社が買い取る(資金と税務の検討が要る)
  2. 賃貸借契約を結び、条件を明確にする
  3. 営業に不要なものは会社から外す
  4. 遺言で承継先を指定しておく

すべてを買い取る必要はありません。条件を書面にするだけでも大きく違います。

賃貸借にする場合

  • 賃料の水準に根拠を持たせる(近隣相場)
  • 契約期間と更新の条件を決める
  • 修繕の負担を明確にする
  • 売却する場合の取り扱いを定める

賃料が相場と大きくずれていると、税務でも譲渡交渉でも論点になります。

進め方

  1. 個人名義の資産をすべて洗い出す
  2. 営業に必要なものと不要なものを分ける
  3. 必要なものについて方針を決める
  4. 税理士に税務の影響を確認する
  5. 契約書を作る

個人名義の資産を洗い出す

営業に使われている個人資産を、すべて把握してください。

  1. 店舗の土地・建物
  2. 倉庫・駐車場
  3. 車両
  4. 什器・設備
  5. 電話番号・ドメイン
  6. 商標などの権利
  7. ECアカウント

5番目と7番目は見落とされがちです。電話番号やドメインが経営者個人の契約になっていると、承継の際に一緒に移せません。日常の運営では気づかない項目です。契約の名義を一つずつ確認してください。

整理の選択肢を比べる

資産ごとに、適した方法が異なります。

  • 法人に売却する — 所有を移す形です
  • 法人に賃貸する — 所有は個人のまま、使用の関係を明確にします
  • 名義を変更する — 契約の名義だけを移す形です
  • 使用をやめる — 代替が可能な場合です
  • それぞれの費用と税負担を試算する

いずれも税務上の判断を伴います。必ず税理士にご相談ください。同族間の取引は、価格の妥当性が問われます。時価との乖離があると、税務上の問題となる可能性があります。実行の前に確認してください。

賃貸にする場合の契約整備

所有を個人に残す場合、契約を整える必要があります。

  • 書面で契約を交わす — 口頭のままの例があります
  • 賃料を相場水準にする
  • 相場の根拠を用意する — 近隣の事例、不動産会社の査定
  • 契約期間と更新条件を定める
  • 修繕の負担区分を定める
  • 承継時の扱いを定める

2番目と3番目が税務上も承継上も重要です。賃料が相場から離れていると、利益が実態を映しません。また、承継の際に調整の対象になります。根拠のある水準に是正しておいてください。

進め方と時期

整理には時間がかかります。

  • 承継の2〜3年前から着手する
  • 税負担を試算してから実行する
  • 資金の手当てを確認する — 法人が買い取る場合です
  • 金融機関に相談する — 担保が設定されている場合です
  • 実行の記録を残す

4番目を確認してください。個人名義の不動産に抵当権が設定されている場合、所有を移すには金融機関との協議が必要です。整理の計画を立てる段階で、確認しておいてください。

まとめ

個人名義の資産は、買い取るか、契約にするかを決めてください。

曖昧なままだと、承継でも相続でも必ず問題になります。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。