現金が止まる場所

リユース業のお金の流れは単純です。現金を出して商品を買い、売れたら現金が戻る。ただそれだけです。

問題は、戻ってくるまでの時間です。買取から販売までが30日の商品と、365日の商品では、同じ1万円でも意味がまったく違います。後者は1年間、その1万円が使えないということです。

滞留在庫とは、要するに棚の上で固まった現金です。

この見方に切り替えると、在庫の話が資金の話として理解できるようになります。「棚に1,000万円ある」ではなく「1,000万円が使えない状態にある」と言い換えてみてください。現場への説明もこの言い方のほうが伝わります。

必要な運転資金の考え方

おおまかには、次のように捉えられます。

必要な運転資金 ≒ 1日あたりの買取額 × 平均回転日数

つまり、回転日数が2倍になれば、必要な資金も2倍になります。売上が同じでも、回転が遅くなるだけで資金は足りなくなる。ここが実感しにくい部分です。

この式を使えば、回転日数が改善したときの効果も試算できます。平均回転日数が120日から90日に短くなれば、必要な運転資金は4分の3になります。売上を増やさずに、使える現金が増えるということです。

よくある悪循環

次のパターンに心当たりはないでしょうか。

  1. 滞留在庫が増え、現金が減る
  2. 買取資金が足りず、持ち込みを断る
  3. 断られた客が来なくなり、良い商品が入らなくなる
  4. 売れる商品が減り、さらに現金が減る

入口を絞ることで解決しようとすると、この循環に入ります。手を入れるべきは出口です。

この循環に入っている店では、入口を絞る判断が繰り返されがちです。「資金がないから買えない」という状況は目の前の現実なので、そう判断するのは自然です。ただ、出口に手を入れなければ同じことが続きます。順序としては出口が先です。

打ち手1:日齢で出口を自動化する

入荷からの経過日数で、次の行動を決めておきます。91日で売価見直し、181日で値下げまたはEC出品、271日で業者間市場へ。判断を人に委ねないことがポイントです。

この仕組みだけで、平均回転日数は目に見えて短くなります。

導入するときは、最初の1回を経営者が実施してください。担当者に任せると、「本当に下げてよいのか」という迷いから初回が動きません。一度実際に下げて売れる経験をすると、以降は現場が回すようになります。

打ち手2:カテゴリ別に原価率の上限を変える

回転の速いカテゴリは多少高く買っても回収できますが、遅いカテゴリで同じ原価率を使うと資金が寝ます。

カテゴリごとに回転日数を測り、遅いものは買取上限を下げる。全体を一律で絞るより、資金効率は上がります。

上限を変えるには、カテゴリ別の回転日数が必要です。まだ測っていない場合は、主力カテゴリ3つから始めてください。仕入日と販売日が分かれば計算できます。全カテゴリを揃えてから始める必要はありません。

打ち手3:販路を先に決めておく

買取の時点で「これは店頭」「これはEC」「これは業者間市場」と出口を決めておくと、売れ残ってから慌てることがなくなります。

査定の基準表に、想定販路と想定回転日数の欄を作るだけで運用できます。

この一手は、手間がほとんどかからないのに効果が大きい打ち手です。査定の時点で出口を決めておくと、売れ残ったときの判断が「どこに出すか」ではなく「予定どおり次へ出す」に変わります。迷いが消える分、動きが速くなります。

月次で見るべき3つの数字

複雑な管理は要りません。次の3つを毎月出してください。

  • 在庫金額と、そのうち日齢181日超の割合
  • 平均回転日数(カテゴリ別に出せるとなお良い)
  • 買取件数とチャネル別の内訳

この3つが並んでいれば、資金繰りが悪化する兆候は事前に見えます。

この3つは1枚に収めてください。資料が複数ページになると読まれなくなり、結局「なんとなく在庫が多い」という会話に戻ってしまいます。前月比を並べておくと、悪化の兆候が早く見えます。

資金が詰まる前に見える兆候

資金繰りの悪化は、急に来るわけではありません。手前に必ず兆候が出ます。次のいずれかに心当たりがあれば、早めに手を打ってください。

  • 在庫金額が前年同月より増えているのに、売上が伸びていない — 回転が落ちています
  • 買取をためらう場面が増えた — 資金が薄くなっている表れです
  • 売場に見覚えのある商品が並んでいる — 滞留が目に見える形で出ています
  • 値下げの相談が現場から上がってこない — 判断が先送りされています
  • 月末の支払いを気にする日が増えた — 手元現金の余裕が減っています

とくに3番目は、数字を見なくても分かる兆候です。売場を歩いて「これ、前からあるな」と感じる商品が増えていたら、日齢の分布を確認してください。

まとめ

資金繰りの苦しさは、売上ではなく回転日数の問題です。棚の上で固まっている現金を動かせば、状況は変わります。

まず日齢181日超の在庫がいくらあるかを出してください。それが、いま使えていない現金の額です。

日齢181日超の金額は、仕入台帳から手作業でも出せます。その数字が、いま使えていない現金の額です。見えた時点で、何から手をつけるかが決まります。