まず一覧を作る

意外に把握されていないものです。次を一覧にしてください。

  • 対象物(POS、複合機、車両、看板、システム、防犯カメラ)
  • リース会社
  • 契約期間と満了日
  • 月額と残債
  • 中途解約の条件と違約金
  • 保証人の有無
  • 譲渡・承継に関する条項

方式による違い

株式譲渡事業譲渡
契約会社のまま継続移転にリース会社の承諾が必要
手続き通知で足りることが多い個別に協議
保証人解除の交渉が必要新たに設定

株式譲渡でも、契約書に経営権変動に関する条項があれば、通知や承諾が必要になります。

確認すべき条項

  • 譲渡・転貸の禁止
  • 経営権変動時の通知・承諾
  • 期限の利益喪失事由:どういう場合に一括請求されるか
  • 中途解約の可否と違約金
  • 保証人の設定

譲渡時の選択肢

  1. そのまま引き継ぐ:株式譲渡なら最も簡単
  2. 譲渡前に解約する:違約金が発生することがあります
  3. 譲渡前に買い取る:残債を一括で払い、資産にする
  4. 買い手が新たに契約する:事業譲渡の場合

価格への影響

リース残債は、実質的に負債です。時価純資産の計算で控除されることがあります。

  • 残債が大きいと、その分だけ純資産が減る
  • 月額が高いと、収益を圧迫する
  • 使っていない設備のリースが残っていると、無駄な費用として指摘される

使っていないもののリースは、譲渡前に整理してください。

個人保証の確認

リース契約にも、経営者の個人保証が付いていることがあります。

借入の保証と同様、解除の交渉が必要です。見落とされやすいので、一覧を作る際に必ず確認してください。

承継を見据えた契約のしかた

これから契約する場合、次を意識してください。

  • 期間を長くしすぎない
  • 中途解約の条件を確認する
  • 個人保証を求められる場合、その必要性を確認する
  • 購入とリースを、承継時の身軽さも含めて比較する

一覧を作る手順

把握していないリース契約が出てくることは珍しくありません。

  1. 契約書を集める — 保管場所が分散していることが多くあります
  2. 支払いの記録から逆算する — 契約書が見つからない場合、口座の引き落としから特定します
  3. 物件ごとに整理する — POS、複合機、看板、車両、什器、システム
  4. 残存期間と残債を確認する — リース会社に照会すれば、書面で受け取れます
  5. 中途解約の条件を確認する — 違約金の計算方法です
  6. 個人保証の有無を確認する

2番目の作業を必ず行ってください。契約書が見当たらない支払いがあれば、その内容を特定する必要があります。買収監査で「内容不明の継続的支払い」が見つかると、他にも把握されていない債務があるのではないかと疑われます。

承継・解約・買取のどれを選ぶか

リース契約をどうするかには、いくつかの形があります。

  • 契約を承継する — リース会社の承諾が必要です。買い手の与信審査を経ます
  • 中途解約する — 違約金が発生します。物件は返還します
  • 買い取って自社資産にする — 残債を精算し、所有権を取得します
  • 売り手が契約を継続し、買い手に転貸する — 契約上可能かの確認が要ります
  • 物件を入れ替える — 買い手の既存契約に統合する形です

1番目の承諾には時間がかかることがあります。買い手の信用状況によっては、承継が認められない場合もあります。譲渡の日程を組む際に、この手続き期間を見込んでください。方式による扱いの違いを含め、弁護士・M&Aの専門家にご確認ください。

今後の契約で注意すること

承継を見据えるなら、新規の契約から扱いを変えられます。

  • 譲渡・承継に関する条項を確認してから契約する
  • 個人保証を求められた場合、必要性を確認する
  • 契約期間を、事業計画と整合させる — 長期の契約は、譲渡時の制約になります
  • 契約書を一元的に保管する — 場所と管理者を決めます
  • 更新時期を一覧で管理する — 自動更新で、不要な契約が続いていることがあります

5番目の点検で、費用が減ることがあります。使っていない機器のリースが自動更新で継続している例は珍しくありません。一覧を作る作業自体が、固定費の見直しにつながります。年1回、更新時期とあわせて点検してください。

まとめ

まずリース契約の一覧を作ってください。残債、違約金、保証人、経営権変動の条項を確認します。

使っていない設備のリースは、譲渡前に整理を。個人保証の有無も忘れずに確認しましょう。