確認すべき条文
賃貸借契約書の中で、譲渡に関係するのは主に次の条項です。
- 譲渡・転貸の禁止:賃借権を第三者に移すことを制限する条項
- 経営権の変動に関する条項:株主や代表者が変わる場合に承諾や通知を求めるもの
- 用途の限定:使用目的を変更する場合の制約
- 解約予告期間:中途解約する場合の予告期間と違約金
- 原状回復の範囲:退去時の負担
この5つのうち、譲渡の可否に直接関わるのは最初の2つです。とくに2番目は近年の契約書に入っていることが増えています。古い契約書しか読んでいない場合は確認してください。
株式譲渡なら大丈夫とは限らない
株式譲渡では、契約の当事者である法人は変わりません。そのため賃貸借契約もそのまま続くのが原則です。
ただし近年の契約書には、「経営権に実質的な変動が生じる場合は事前に承諾を得る」といった条項が入っていることがあります。この場合、株式譲渡でも承諾が必要になります。
契約書を読まずに進めると、後で貸主から異議が出ます。検討の初期段階で確認してください。
契約書を読まずに進めると、後で貸主から異議が出ることになります。譲渡を検討し始めたらまず契約書を開く。これが最初の作業です。
事業譲渡の場合
事業譲渡では、賃貸借契約を買い手の法人に移す必要があります。これは原則として貸主の承諾が必要です。
承諾が得られなければ、店舗を引き継げません。立地に価値がある店では、これが取引の成否を左右します。
立地に価値がある店では、これが取引の成否を左右します。承諾が得られるかどうかを早い段階で見通しておく必要があります。貸主との関係がそのまま事業の価値に影響する場面です。
貸主との交渉
承諾を求める際、貸主が心配しているのは次の点です。
- 賃料がきちんと払われ続けるか
- 使い方が変わらないか(用途、営業時間、騒音)
- 建物を傷めないか
- 連帯保証はどうなるか
これらに答えられる資料(買い手の信用情報、事業計画、保証の引き継ぎ方)を用意して臨んでください。早めに、誠実に相談するのが最善です。
早めに、誠実に相談するのが最善です。交渉の直前に持ち込むと貸主も判断の材料がありません。買い手の信用情報と事業計画を用意して臨んでください。
残存期間も評価に影響する
買い手は、契約があと何年残っているかを見ます。定期借家で残りが短ければ、投資回収が読めません。
譲渡を検討するなら、更新のタイミングと譲渡の時期を合わせることも考えてください。更新直後のほうが、条件は有利になります。
更新のタイミングと譲渡の時期を合わせることも考えてください。更新直後のほうが残存期間が長く、条件は有利になります。逆算して動く時期を決めてください。
いま確認すること
- 各店舗の契約書を出し、上記5つの条項を書き出す
- 契約期間と、更新・解約予告の日付を一覧にする
- 連帯保証人が誰になっているかを確認する
- 経営権変動に関する条項の有無を確認する
この作業は1日で終わります。それでも後回しにされがちです。
この作業は1日で終わります。それでも後回しにされがちです。契約書を出して読むだけで譲渡の見通しが変わることがあるため、早めに済ませてください。
契約書から書き出す一覧
各店舗について次を1枚にまとめてください。譲渡を検討する際の出発点になります。
- 契約期間と更新時期 — 普通借家か定期借家か。定期借家なら残存期間が評価に直結します
- 解約予告期間 — 事業用は6か月前予告が多くあります。閉店を考えるときの起点になります
- 譲渡・転貸の禁止条項 — 事業譲渡で店舗を引き継ぐ場合の障害になります
- 経営権変動に関する条項 — 株式譲渡でも承諾が必要になる場合があります。近年の契約書に多い条項です
- 原状回復の範囲 — スケルトン返しかどうかで金額が大きく変わります
- 連帯保証人 — 誰がなっているか。代表交代時の扱いも確認してください
- 用途の限定 — 業態を変える場合の制約です
この一覧は、譲渡・廃業・承継のいずれの場面でも使います。1日で作れる資料なので、早めに済ませておいてください。
まとめ
賃貸借契約は、譲渡の可否と条件を左右します。とくに経営権変動に関する条項の有無を確認してください。
まず契約書を出して読む。今日できることから始めましょう。
まず契約書を出して読む。今日できることから始めてください。読み方についてはご相談いただけます。