対象品目とリユースの関係
家電リサイクル法では、特定の家庭用機器について、廃棄する際の引取りと再商品化の仕組みが定められています。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機が代表的です。
ここで重要なのは、「まだ使えるものを商品として買い取る」のと「廃棄物として引き取る」のは別の行為だという点です。前者はリユース、後者は廃棄物の処理にあたります。
この線引きを社内で共有しておかないと、現場が判断に迷います。お客様は「引き取ってほしい」と言うだけで、どちらの行為かを区別しません。基準を決めるのは事業者の側です。
線引きが問われる場面
実務で判断が難しいのは次です。
- 買取に伺ったが、状態が悪く商品にならなかった
- 「ついでに古いほうも引き取って」と頼まれた
- まとめて引き取ったうち、一部しか商品化できない
- 無料で引き取ると告知して集めている
とくに最後は注意が必要です。「無料回収」を掲げて集める行為は、廃棄物の収集運搬にあたる可能性があります。
1番目と3番目は日常的に起きます。訪問して現物を見たら商品にならなかった。この場面での対応を先に決めておいてください。持ち帰らずに帰るのか、別の枠組みで引き取るのか。
社内で決めておくこと
- 商品として買い取る基準(年式、動作、状態)を明文化する
- 基準に満たないものは、原則として引き取らない
- やむを得ず引き取る場合の手順と、その出口を決める
- 「無料回収」という表現を広告で使わない
- 引き取った品の記録を残す(何を、なぜ、どう処理したか)
1番目の基準は、年式と動作と状態の3つで書けます。「◯年より古い」「電源が入らない」「外装に大きな損傷」といった具体的な線にしておけば、現場が判断できます。
リユース目的で引き取る場合
再使用を目的として引き取り、実際に商品として販売しているのであれば、それはリユースの事業です。ただし、実態が伴わなければ説明できません。
実態を示すには、次が有効です。
- 引き取った品の販売実績(何割が実際に売れているか)
- 動作確認・清掃の記録
- 商品にならなかった品の処理記録
1番目の販売実績がいちばん強い材料になります。引き取った品の何割が実際に売れているか。この数字が出せれば、再使用を目的とした事業だと説明できます。
処理を委託する場合
商品にならないものを処分する場合、適正な許可を持つ業者に委託する必要があります。安さだけで選ばないでください。
委託先の許可の写しを取り、処理の記録を保管してください。不適正な処理が発覚すれば、委託した側の責任も問われ得ます。
委託先を選ぶときは、許可の写しに加えて処理の流れを聞いてください。引き取った後どこへ運び、どう処理されるのか。説明できない業者は避けたほうが安全です。
承継とM&Aでの扱い
買収監査では、廃棄物に関する取扱いが確認されることがあります。「無料回収」の広告履歴や、処理記録の有無が論点になります。
基準が明文化され、処理記録が残っていれば、問題にはなりません。あいまいなまま運用していることがリスクです。
広告の履歴は残っているものです。過去に「無料回収」と掲げていた記録があれば説明を求められます。表現を改めた時期も記録に残しておいてください。
「無料回収」という表現を使わない理由
集客の効果が高い表現ですが、使わないほうが安全です。理由は次のとおりです。
- 廃棄物の収集にあたり得る — 値のつかないものまで集める形は、古物商許可の範囲を超えます
- 実態と表示がずれる — 実際には値のつくものだけ引き取っているなら、「買取」と書くほうが正確です
- 後から広告履歴が問われる — 買収監査では過去の広告も確認の対象になります
- 集まる品の質が下がる — 無料と聞いて処分目的の持ち込みが増え、商品にならないものが溜まります
代わりの表現としては、「まとめてお売りいただけます」「点数が多くても伺います」といった書き方が使えます。引き受ける幅の広さは訴求点として残しつつ、買取であることを明確にできます。
まとめ
商品として買うのか、廃棄物として引き取るのか。この線を明文化し、広告の表現をそろえ、記録を残してください。
迷う場面が多い分野です。判断に困ったら、自治体の担当窓口に確認するのが確実です。
判断に迷う場面が多い分野です。自治体の担当窓口に一度確認しておけば、以降の判断の基準ができます。整理のしかたについてはご相談いただけます。