どういう経緯で発覚するか

  • 購入者が他店や鑑定機関に持ち込んで判明した
  • 権利者(ブランド側)から連絡が来た
  • モールから出品の削除通知が届いた
  • 自社の再検品で気づいた

どの経路であっても、まず事実を確認することが最優先です。「うちは本物だ」と反射的に主張すると、後で立場が悪くなります。

反射的に否定してしまうのは自然な反応ですが、後から事実が違えば立場が悪くなります。まず事実を確認する。この一点を手順の最初に書いておいてください。

初動でやること

  1. 同一商品・同一ロットの出品と販売を止める:店頭とECの両方
  2. 該当品を隔離し、記録する:写真、シリアル、判定の記録
  3. 仕入れ元をたどる:買取記録と本人確認記録から特定する
  4. 購入者に連絡する:事実と、これからの対応を伝える
  5. 専門家に相談する:弁護士・権利者対応の経験がある先へ

この5つのうち、1番目を最優先にしてください。同じ仕入れ元から入った品が他にも出品されている可能性があります。売れてしまうと被害が広がります。

購入者への対応

返金と回収が基本です。対応が遅れると、信用の毀損のほうが金額より大きくなります。

次を明確に伝えてください。

  • 何が起きたのか(推測ではなく確認できた事実)
  • 返金の方法と時期
  • 商品の返送方法と送料の負担
  • 連絡窓口

言い訳より、対応の速さと明確さが評価されます。

連絡するときは、推測を混ぜないことが大切です。「おそらく」「かもしれない」という言い方は不信感を生みます。確認できた事実と、これから行う対応。この2つに絞って伝えてください。

権利者からの連絡への向き合い方

商標権の侵害が問題になる場面です。無視や自己判断での反論は避け、速やかに専門家に相談してください。

事業者として、真贋確認の体制を整え、記録を残していたことを示せれば、その事実自体が対応の材料になります。ここでも記録が効いてきます。

専門家に相談するときは、真贋確認の体制と記録を整理して持っていってください。適正に確認していた事実が示せるかで対応の幅が変わります。日々の記録がここで効いてきます。

仕入れ元への対応

買取記録から仕入れ元をたどります。ここで記録が不十分だと、たどれません。

意図的に持ち込まれた疑いがある場合は、警察への相談も検討します。同じ相手が繰り返し持ち込んでいないか、取引履歴を確認してください。

取引履歴を確認するときは、同じ相手が別の名前や住所で持ち込んでいないかも見てください。本人確認の記録が検索できる形になっていればこの確認ができます。

再発を防ぐ体制

1件起きたら、必ず仕組みを見直してください。

  • そのブランド・カテゴリのチェック項目を追加・修正する
  • 二次判定に回す基準を見直す
  • 該当カテゴリは外部鑑定を必須にする
  • 判定記録の様式を改める
  • 担当者への共有と研修

「担当者に注意した」で終わらせないでください。仕組みを変えた記録が、後の説明材料になります。

この5つのうち、4番目の判定記録の様式を改めることが見落とされがちです。記録の項目が足りなかったために検証できなかったのなら、様式そのものを直す必要があります。

起きる前に決めておく連絡体制

この事態は、判断に迷っている時間がそのまま被害を広げます。起きる前に次を決めておいてください。

  • 報告を受ける人 — 現場が誰に上げるか。不在時の代理も決めます。経営者に直接上がる形が望ましいです
  • 出品を止める手順 — 店頭とEC、複数モールに出している場合はすべて。誰がどうやって止めるかを書いておきます
  • 相談する専門家 — 弁護士や権利者対応の経験がある先。事が起きてから探すのでは時間がかかります
  • 購入者への連絡文の型 — 事実、返金の方法と時期、返送の方法と送料負担、連絡窓口。あらかじめ用意しておけば初動が速くなります
  • 記録する様式 — 発覚の経緯、該当品の情報、仕入れ元、対応の履歴。後の説明材料になります

とくに4番目を用意しておく効果が大きいです。文面を考えている間に日が経つと、金額より信用の毀損が大きくなります。

まとめ

発覚したら、止める・記録する・たどる・連絡する・相談する。この順で動いてください。

そして必ず仕組みを直し、その記録を残す。これが次の1件を防ぎ、譲渡のときの説明にもなります。

手順書は1枚で足ります。止める・記録する・たどる・連絡する・相談する。この順序と連絡先が書かれていれば初動を誤りません。作り方についてはご相談いただけます。