どんなときに検討するか

  • 子が複数いて、それぞれに店を渡したい
  • 店舗ごとに商材と採算が大きく違う
  • 一部の店だけを外部に譲りたい
  • 不採算店を切り離して本体を軽くしたい

分ける方法

方法概要
事業譲渡店舗の資産・契約を個別に移す
会社分割事業のまとまりを別会社に移す
株式の分割保有会社は分けず、株の持ち方で調整

手続きの重さと、許可・契約の扱いが方法ごとに違います。

許可の扱いに注意

古物商許可は、事業を移す形によってそのまま引き継げないことがあります。新しい法人で改めて取得が必要になる場合、営業に空白が生じないよう時期を調整する必要があります。

営業所の追加・変更についても届出が要ります。具体的な取り扱いは管轄の警察署に確認してください。

契約の確認

  • 店舗の賃貸借契約(移転に貸主の承諾が要るか)
  • リース契約の名義変更
  • ECモールの出店契約
  • フランチャイズ加盟契約
  • 取引先との継続契約

検討の順番

  1. 店舗ごとの損益を分けて出す
  2. 誰に何を渡すかの方針を決める
  3. 許可・契約の引き継ぎ可否を確認する
  4. 方法(譲渡・分割・株)を専門家と絞る
  5. 税務の影響を確認する
  6. 実行の時期を決める

分ける場合の設計

どの単位で分けるかを、先に決めてください。

  1. 店舗ごとの損益を出す
  2. 店舗ごとの在庫を特定する
  3. 共通機能の帰属を決める — 本部、倉庫、システム
  4. 従業員の帰属を決める
  5. 取引先との関係をどう分けるか決める
  6. 分けた後の採算を確認する

6番目を必ず試算してください。収益性の高い店舗を分けた結果、残る側が共通費を負担しきれなくなる例があります。両方について損益の見通しを立ててから判断してください。試算は税理士にご相談ください。

在庫の切り分けが論点になる

店舗間で在庫を融通している場合、分けるのが困難です。

  • 店舗間の移動記録を確認する
  • 移動が多いカテゴリを特定する
  • 基準日を決めて、所在で確定する
  • 移動を一時的に止める期間を設ける
  • 評価方法を統一する

4番目が実務的な対応です。分割の準備期間中は、店舗間の移動を止めることで、在庫の所在を確定しやすくなります。運営への影響を見ながら、期間を決めてください。

手続きと期間を見込む

分ける方法によって、手続きが異なります。

  • 事業譲渡による場合 — 契約の個別の同意が必要になる場合があります
  • 会社分割による場合 — 法定の手続きがあります
  • 古物商許可の扱いを確認する — 方式によって変わります
  • 賃貸借契約の承継を確認する
  • 従業員の承継の手続きを確認する
  • 全体の期間を見積もる

いずれも専門的な判断を要します。弁護士・税理士に必ずご相談ください。手続き、税務、労務のすべてが方式によって変わります。検討の初期段階から専門家に入ってもらってください。

分けた後の関係を決める

分割後も、一定の関係が続くことがあります。

  • 共通機能の提供を続けるか決める — 経理、システム、倉庫
  • 提供する場合の条件を書面にする
  • 屋号の使用について定める
  • 顧客の重複をどう扱うか決める
  • 移行期間を定める

3番目を明確にしてください。同じ屋号を複数の主体が使う状態は、顧客の混乱を招きます。使用の可否、期間、地域を定めておかないと、後の紛争になります。契約書に明記してください。

まとめ

分けて承継することは可能ですが、許可と契約の確認が先です。

方法を決めてから確認すると、やり直しになります。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。