合算で見るとどうなるか
会社全体の数字だけを出すと、次の問題が生じます。
- 好調な業態が、不調な業態に埋もれる
- 買い手が「どこを買うのか」を判断できない
- 在庫の性質が違うのに、まとめて評価される
- シナジーの見込みが立たない
業態別に示す意味
- 好調な業態の価値が見える
- 買い手が計画を立てられる
- 一部だけ譲るという選択肢が生まれる
- 買い手の候補が広がる:業態ごとに関心を持つ相手が違う
業態別に出す数字
| 項目 | 業態A | 業態B |
|---|---|---|
| 売上・粗利額・粗利率 | ||
| 在庫金額・日齢分布 | ||
| 回転日数 | ||
| 買取件数 | ||
| 人員 | ||
| 営業利益(本部費配賦前後) |
一部だけ譲る選択
業態を分けて示せると、次の選択肢が生まれます。
- 好調な業態だけ譲り、残りは自分で続ける
- 業態ごとに別の相手に譲る
- 不採算な業態を整理してから、全体を譲る
方式としては、会社分割+株式譲渡、または事業譲渡になります。古物商許可の扱いに注意が必要です。
共通部分の扱い
業態を分ける際、共通している部分の整理が必要です。
- 本部機能(経理、人事)
- 倉庫
- システム
- 古物商許可
- 兼務している人員
これらをどう分けるかが、分割の実務上の課題になります。
合算のほうが有利な場合
次の場合は、合算で示すほうがよいこともあります。
- 業態間でシナジーがある(一方の在庫を他方で売っている)
- 人員が兼務しており、分けられない
- 分けると、どちらも規模が小さすぎる
- 不採算な業態が、他方の集客に貢献している
業態別の数字を作る手順
個別に見せるには、分けられる形の記録が必要です。
- 業態の区分を定義する — 実店舗、EC、専門店、法人向けなど
- 売上と粗利を区分ごとに集計する
- 直接経費を紐づける — 人件費、賃料、広告費
- 共通経費の配賦基準を決める — 本部機能、倉庫、システム
- 在庫を区分ごとに把握する — 同じ在庫を複数の販路で売る場合の扱いを決めます
- 3年分を同じ基準で作る
5番目がリユース業では難所になります。1つの在庫を店頭とECの両方で販売している場合、業態別の在庫を分けられません。この場合は、販売実績の比率で按分するなど、基準を決めて一貫して適用してください。基準を明示すれば、按分であること自体は問題になりません。
一部だけを譲る選択
全体を一括で譲る以外の形もあります。
- 特定の業態だけを事業譲渡する — EC部門だけ、特定店舗だけといった形です
- 会社分割を使う — 手続きが個別に定められています
- 残す部分を明確にする — 手元に残す事業の採算が成り立つかを確認します
- 共通機能をどう分けるかを検討する — 倉庫、システム、人材です
- 相乗効果の喪失を見込む — 分けることで、両方の効率が落ちる場合があります
方式の選択には、税務・法務の検討が不可欠です。必ず税理士・弁護士にご相談ください。手続き、課税、許可の取り扱いが方式によって大きく異なります。分割を検討する場合は、早い段階で専門家に入ってもらってください。
合算と個別、両方を用意する
常に分けて示すべきとは限りません。
- 業態間の相乗効果が大きい — 店頭で仕入れ、ECで売る構造では、分けると実態を映しません
- 規模が評価される場面 — 一定の売上規模があること自体が、買い手の関心を引く場合があります
- 共通経費の配賦が恣意的になる — 分け方によって結論が変わるなら、合算のほうが説得力があります
- 一体運営が強みである — 販路を使い分けられること自体が、この業種の競争力です
両方を用意しておくのが実務的です。合算の数字を基本としつつ、業態別の内訳も示せる状態にしておけば、買い手の関心に応じて説明を変えられます。どちらか一方しか作れない状態を避けてください。
まとめ
業態別の数字を出せると、価値が見えやすく、選択肢も広がります。まず業態別の損益を出してください。
一部だけ譲る場合は、共通部分の整理と古物商許可の扱いを確認しましょう。