合算で見るとどうなるか

会社全体の数字だけを出すと、次の問題が生じます。

  • 好調な業態が、不調な業態に埋もれる
  • 買い手が「どこを買うのか」を判断できない
  • 在庫の性質が違うのに、まとめて評価される
  • シナジーの見込みが立たない

業態別に示す意味

  1. 好調な業態の価値が見える
  2. 買い手が計画を立てられる
  3. 一部だけ譲るという選択肢が生まれる
  4. 買い手の候補が広がる:業態ごとに関心を持つ相手が違う

業態別に出す数字

項目業態A業態B
売上・粗利額・粗利率
在庫金額・日齢分布
回転日数
買取件数
人員
営業利益(本部費配賦前後)

一部だけ譲る選択

業態を分けて示せると、次の選択肢が生まれます。

  • 好調な業態だけ譲り、残りは自分で続ける
  • 業態ごとに別の相手に譲る
  • 不採算な業態を整理してから、全体を譲る

方式としては、会社分割+株式譲渡、または事業譲渡になります。古物商許可の扱いに注意が必要です。

共通部分の扱い

業態を分ける際、共通している部分の整理が必要です。

  • 本部機能(経理、人事)
  • 倉庫
  • システム
  • 古物商許可
  • 兼務している人員

これらをどう分けるかが、分割の実務上の課題になります。

合算のほうが有利な場合

次の場合は、合算で示すほうがよいこともあります。

  • 業態間でシナジーがある(一方の在庫を他方で売っている)
  • 人員が兼務しており、分けられない
  • 分けると、どちらも規模が小さすぎる
  • 不採算な業態が、他方の集客に貢献している

業態別の数字を作る手順

個別に見せるには、分けられる形の記録が必要です。

  1. 業態の区分を定義する — 実店舗、EC、専門店、法人向けなど
  2. 売上と粗利を区分ごとに集計する
  3. 直接経費を紐づける — 人件費、賃料、広告費
  4. 共通経費の配賦基準を決める — 本部機能、倉庫、システム
  5. 在庫を区分ごとに把握する — 同じ在庫を複数の販路で売る場合の扱いを決めます
  6. 3年分を同じ基準で作る

5番目がリユース業では難所になります。1つの在庫を店頭とECの両方で販売している場合、業態別の在庫を分けられません。この場合は、販売実績の比率で按分するなど、基準を決めて一貫して適用してください。基準を明示すれば、按分であること自体は問題になりません。

一部だけを譲る選択

全体を一括で譲る以外の形もあります。

  • 特定の業態だけを事業譲渡する — EC部門だけ、特定店舗だけといった形です
  • 会社分割を使う — 手続きが個別に定められています
  • 残す部分を明確にする — 手元に残す事業の採算が成り立つかを確認します
  • 共通機能をどう分けるかを検討する — 倉庫、システム、人材です
  • 相乗効果の喪失を見込む — 分けることで、両方の効率が落ちる場合があります

方式の選択には、税務・法務の検討が不可欠です。必ず税理士・弁護士にご相談ください。手続き、課税、許可の取り扱いが方式によって大きく異なります。分割を検討する場合は、早い段階で専門家に入ってもらってください。

合算と個別、両方を用意する

常に分けて示すべきとは限りません。

  • 業態間の相乗効果が大きい — 店頭で仕入れ、ECで売る構造では、分けると実態を映しません
  • 規模が評価される場面 — 一定の売上規模があること自体が、買い手の関心を引く場合があります
  • 共通経費の配賦が恣意的になる — 分け方によって結論が変わるなら、合算のほうが説得力があります
  • 一体運営が強みである — 販路を使い分けられること自体が、この業種の競争力です

両方を用意しておくのが実務的です。合算の数字を基本としつつ、業態別の内訳も示せる状態にしておけば、買い手の関心に応じて説明を変えられます。どちらか一方しか作れない状態を避けてください。

まとめ

業態別の数字を出せると、価値が見えやすく、選択肢も広がります。まず業態別の損益を出してください。

一部だけ譲る場合は、共通部分の整理と古物商許可の扱いを確認しましょう。