EC比率が評価される理由

  • 立地に依存しない:とくに地方店では大きい
  • 商圏が全国に広がる:地元で売れない商材も売れる
  • 在庫の出口が増える:回転が上がる
  • 固定費が増えにくい:出店に比べて
  • データが残る:販売実績が明確

アカウントの価値

モールのアカウントには、金では買えない価値があります。

  • 評価件数と評価率:数年かけて積み上げたもの
  • 検索順位:実績に応じて上がる
  • 出品枠や機能:実績に応じて拡大するものがある
  • 顧客のフォロー

ゼロから作るには数年かかります。だからこそ、承継できるかが決定的です。

承継可否を先に確認する

方式アカウント
株式譲渡法人が変わらないため、引き継げることが多い
事業譲渡移転が認められないことがある

各モールの規約を、譲渡の検討段階で必ず確認してください。「引き継げない」と分かってから方式を変えるのでは遅い。

名義の確認

実務で問題になるのが、アカウントの名義です。

  • 個人名義になっていないか(法人譲渡では引き継げません)
  • 担当者の個人アドレスで登録されていないか
  • 決済口座が個人口座になっていないか
  • URLの届出が済んでいるか

個人名義のアカウントは、譲渡前に法人名義に変更してください。

示すべき数字

  • EC比率(売上に占める割合、月次の推移)
  • モール別の売上と粗利
  • 評価件数と評価率
  • 月間の出品点数と成約率
  • 返品率
  • 1点あたりの作業時間
  • アカウント開設からの年数

自社ECがある場合

自社ECは、モールと違って確実に承継できる資産です。

  • ドメインの名義(法人になっているか)
  • 検索からの流入数
  • 顧客データの保有
  • 買取申込の導線と、その実績

最後が重要です。自社ECが買取の入口になっていれば、それ自体が評価されます。

アカウントの承継可否を確認する手順

ここを確認しないまま進めると、成約後に価値が消えます。

  1. アカウントの名義を確認する — 法人名義か、経営者の個人名義か
  2. 各モールの規約を確認する — 譲渡や名義変更の可否は、規約に定められています
  3. 運営会社に直接確認する — 規約だけでは判断できない場合があります
  4. 株式譲渡と事業譲渡で扱いが違うことを確認する — 法人が変わらなければ、影響が小さい場合があります
  5. 評価・レビューの引き継ぎ可否を確認する — アカウントが移せても、評価が消えることがあります
  6. 確認結果を書面で残す

1番目が個人名義であれば、早急に是正してください。個人名義のアカウントは、法人の資産として扱えません。譲渡の場面だけでなく、日常の運営上もリスクです。法人名義への変更が可能かを、運営会社に確認してください。

EC事業の実力を示す数字

比率だけでなく、中身を示す必要があります。

  • 販路別の売上と粗利 — モールごとに分けて出します
  • 実質の手数料率 — 出店料、広告費、ポイント原資を含めた率です
  • アカウントの評価と件数 — 積み上げに時間がかかる資産です
  • 出品点数と回転
  • 返品率 — 出品品質の指標になります
  • 1点あたりの作業時間 — 収益性の実態が分かります

3番目は再現の難しい資産です。評価件数は時間をかけないと積み上がらず、金銭では買えません。件数と評価率の推移を示せば、事業の価値として認識されます。ただし、承継できなければ意味がないため、前項の確認とセットで扱ってください。

自社ECと運営体制

自社ECがある場合、確認すべき項目が増えます。

  • ドメインの名義と契約先 — 個人名義になっていないかを確認します
  • サーバー・システムの契約 — 承継可否と、料金の支払い先です
  • 決済代行の契約 — 審査が必要な場合、承継に時間がかかります
  • 制作・保守の委託先 — 誰が更新できるかです
  • 検索順位と流入の実績 — 解析データを3年分示せると強い材料になります
  • 会員情報の管理体制

1番目と3番目が、実務でつまずきやすい箇所です。ドメインが経営者個人の名義で取得されている例は珍しくありません。決済代行も、事業者情報が変われば再審査になることがあります。譲渡の準備として、契約の名義を法人に揃える作業を先に済ませてください。

まとめ

EC比率は立地の不利を補う強みですが、アカウントの承継可否が前提です。規約と名義を確認してください。

個人名義になっていれば、譲渡前に法人名義へ。まず全アカウントの名義を洗い出しましょう。