会社分割とは
会社の事業の一部を切り出して、別の会社に承継させる手続きです。
- 新設分割:新しく会社を作り、そこに事業を移す
- 吸収分割:既存の会社に事業を移す
典型的な使い方は、譲りたい業態を新設分割で切り出し、その会社の株式を譲渡するという形です。
使いどころ
- 総合リサイクルと専門店を、別々に扱いたい
- 実店舗とEC事業を分けたい
- 1部門だけ譲り、残りは自分で続けたい
- 不採算部門を切り離してから譲りたい
- 店舗ごとに分けて、別々の相手に譲りたい
事業譲渡との違い
| 事業譲渡 | 会社分割 | |
|---|---|---|
| 契約の移転 | 個別に相手の同意が必要 | 包括的に承継される |
| 従業員 | 個別に再雇用 | 労働契約承継の手続きによる |
| 手続き | 比較的簡易 | 会社法上の手続きが必要 |
| 期間 | 短い | 長い(債権者保護手続きなど) |
契約が多い場合、会社分割のほうが移転の手間は小さくなります。
古物商許可はどうなるか
ここが最も重要な確認点です。
許可は法人に紐づいています。新設分割で作った会社は別の法人なので、その会社が自ら許可を取得する必要があります。
つまり、分割しただけでは営業できません。新会社での許可取得を、スケジュールに織り込んでください。審査には期間がかかります。
契約の承継でも確認が要る
包括的に承継されるとはいえ、次は個別の確認が必要です。
- 賃貸借契約:譲渡・転貸を制限する条項があれば、貸主の承諾が要る場合があります
- リース契約:契約上の制限を確認
- 取引先との契約:解除条項の有無
- ECモールの出店契約:アカウントの移転可否
手続きと期間
- 分割計画の作成
- 株主総会の承認
- 債権者保護の手続き
- 労働者との協議・通知
- 登記
- 新会社での古物商許可の取得
数か月を要します。許可の取得期間を含めて、余裕をもって計画してください。
検討する前に確認すること
会社分割は手続きが複雑です。前提の確認が要ります。
- 分ける事業の範囲を明確にできるか — 資産、負債、契約、従業員を特定します
- 共通する機能をどう扱うか — 本部、倉庫、システム、経理
- 在庫をどう分けるか — 複数の販路で共用している場合、切り分けが困難です
- 従業員の帰属をどう決めるか — 労働契約の承継に関する手続きがあります
- 許認可がどう扱われるか
- 債権者への対応 — 法定の手続きがあります
手続き、税務、労務のいずれも専門的な判断を要します。弁護士・税理士に必ずご相談ください。自己判断で進められる手法ではありません。検討の初期段階から、専門家に入ってもらってください。
事業譲渡との比較
目的が同じでも、手法によって影響が異なります。
- 手続きの複雑さ — 会社分割のほうが、法定の手続きが多くなります
- 契約の承継 — 個別の同意が必要かどうかが異なります
- 許認可の扱い — 手法によって、承継の可否が変わります
- 税務上の取り扱い — 要件と効果が異なります
- 従業員の承継 — 手続きが異なります
- 所要期間
2番目と3番目が、リユース業では実務上の分かれ目です。賃貸借契約、リース契約、提携契約が多い事業では、個別の同意が必要かどうかが手続きの負担を大きく左右します。古物商許可の扱いとあわせて、専門家に確認したうえで手法を選んでください。
分割後の体制を設計する
分けた後に、両方が回る形にする必要があります。
- 共通機能の帰属を決める — 経理、システム、倉庫をどちらに残すかです
- 移行期間中のサービス提供を取り決める — 一方が他方に機能を提供する形です
- 人員の配置を決める — 兼務していた人の帰属です
- 取引先への説明を準備する
- 残る側の採算を確認する — 共通費を負担できるかです
5番目を必ず試算してください。収益性の高い事業を分割して譲渡した結果、残った事業が共通費を負担しきれなくなる例があります。分割後の両方について、損益の見通しを立ててから判断してください。試算は税理士にご相談ください。
まとめ
会社分割は、契約を包括的に移せる点が利点です。ただし新会社は古物商許可を取り直す必要があります。
手続きに数か月かかります。必ず弁護士・司法書士と、管轄の警察署に確認しながら進めてください。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。古物営業法にもとづく許可の要否・必要書類・審査期間や、本人確認義務の具体的な運用は、法令の改正や管轄する警察署・公安委員会の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄窓口および専門家にご確認ください。