区別すべき品目

  • 修理・クリーニングの預かり品:お客様の物
  • 委託販売品:所有権は委託者
  • クーリング・オフ期間中の買取品:解除される可能性がある
  • 警察から保管を求められた品
  • 取り置き中の販売品:代金未収の場合
  • 質物(質屋営業も行っている場合)
  • 鑑定に出している品:自社在庫だが所在が外部

7番目は自社在庫ですが、所在の管理が必要です。

物理的に分ける

最も確実で、最も基本的な対策です。

  • 預かり品専用の棚・保管場所を設ける
  • 売場に置かない(誤って販売されるのを防ぐ)
  • 鍵のかかる場所に保管する(高額品)
  • タグや札で明示する

「奥のほうに置いている」では不十分です。明確に区画を分けてください。

システム上も分ける

  • 在庫のステータスとして「預かり」「委託」「保管中」を設ける
  • これらは在庫金額に含めない
  • 販売処理ができないようにする
  • 一覧で確認できるようにする
  • 期限があるもの(クーリング・オフ)は、期限も管理する

記録に残すこと

  • 預かった日、返却予定日
  • 預けた方の氏名・連絡先
  • 品物の特徴と状態(写真を添えると確実)
  • 預かり証の発行記録
  • 返却または処理の記録

監査での見られ方

実地棚卸で、次が確認されます。

  • 預かり品が自社在庫として計上されていないか
  • 逆に、自社在庫が預かり品として除外されていないか
  • 預かり証の記録と、現物が一致するか
  • 長期間放置されている預かり品がないか

混在していると、在庫全体の信頼度が下がります。

長期放置の預かり品

「引き取りに来ないまま何年も置いてある」という品があることがあります。

  • 返還の義務は残ります
  • 勝手に処分すると問題になり得ます
  • 預かり証の条件(一定期間後の扱い)を確認する
  • 連絡を試み、記録を残す
  • 処分の可否は、専門家に相談する

譲渡の前に整理しておくべき項目です。

区分を運用に落とす

方針を決めても、日々の運用に組み込まれなければ混ざります。

  1. 受け入れの時点で区分を決める — 後から仕分けようとすると、必ず漏れます
  2. 札やタグの色を変える — 現物を見て一目で分かる状態にします
  3. 保管場所を物理的に分ける — 棚やエリアを分けてください
  4. システムの区分を必須項目にする — 空欄で登録できない設定にします
  5. 棚卸で区分ごとに数える — 合計だけを数えると、混在に気づけません

1番目を徹底することが、最も費用の安い対策です。受け入れ時に区分を付けるのは数秒の作業ですが、後から仕分ける作業は数日かかります。受付の手順書に、区分の記入を組み込んでください。

長期に放置された預かり品の扱い

どの店にも、引き取りに来ない預かり品があります。処分の判断には注意が必要です。

  • 連絡を試みた記録を残す — 日時、方法、結果を記録します
  • 預かり時の取り決めを確認する — 保管期間と、期間経過後の扱いが書面にあるか
  • 勝手に処分しない — 所有権は相手にあります
  • 保管料の請求可否を確認する — 取り決めがなければ、請求は困難です
  • 今後の預かりでは、書面で条件を定める

長期放置品の処分は、法律上の論点を含みます。必ず弁護士にご相談ください。取り決めの有無、連絡の経緯、品物の性質によって、取りうる対応が変わります。自己判断での処分は、後の紛争につながります。

監査での確認のされ方

買収監査では、在庫として計上されているものが本当に自社の資産かを確認されます。

  • 在庫リストと現物の突合 — 現物があっても、自社の資産とは限りません
  • 預かり品の一覧の有無 — 一覧がなければ、区分されていないと判断されます
  • 委託契約書の確認 — 委託販売がある場合、契約内容を見られます
  • クーリング・オフ期間中の品物の扱い — 期間中に販売していないかを確認されます
  • 古物台帳との整合

4番目は、法令面の指摘につながる項目です。期間中の品物を売却してしまうと、解除の申し出があったときに返還できません。区分の運用は、評価のためだけでなく、法令遵守の観点からも必要です。手順を所轄の警察署に確認しておいてください。

まとめ

預かり品は、物理的にもシステム上も分けてください。売場に置かないことが基本です。

長期放置の預かり品は、譲渡前に整理を。まず現状を洗い出すところから始めましょう。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。