3か月前:自社で棚卸をする

本番の前に、必ず自社で一度やってください。差異が出るのは当たり前です。先に潰しておくかどうかが分かれ目です。

  1. 在庫が存在し得る場所をすべて洗い出す
  2. 全数(または高単価品)を数える
  3. 帳簿と突き合わせる
  4. 差異の原因を追い、記録に残す
  5. 入力漏れなどを是正する

2か月前:預かり品を分ける

最も指摘されやすい項目です。次を物理的に分けてください。

  • 修理・クリーニングの預かり品
  • 委託販売品
  • クーリング・オフ期間中の品
  • 警察から保管を求められた品
  • 取り置き中の品

あわせて、システム上も別のステータスにしてください。

1か月前:在庫一覧を整える

買い手に提出する形を用意します。

  • カテゴリ別・日齢別の点数と金額
  • 1点ごとの一覧(型番、状態、仕入れ日、簿価、想定売価)
  • 直近1年の実売価格の実績
  • 評価減を計上した分の内訳

3番目が効きます。「この日齢のこのカテゴリは、実際にこの価格で売れている」と示せれば、評価が守れます。

当日の進め方

  • 実施日時を決める(閉店後や休業日が望ましい)
  • 立ち会う自社側の担当者を決める
  • 数える範囲と方法を、事前に合意しておく(全数か抽出か)
  • 抽出の場合、選び方も決めておく
  • 結果をその場で記録し、双方で確認する

差異が出たときの対応

ゼロにはなりません。大切なのは、原因を説明できることです。

  • 「入力漏れです」→ その場で伝票を示す
  • 「修理に出しています」→ 預かり証を示す
  • 「EC倉庫にあります」→ 在庫データを示す

説明できない差異が多いと、管理されていない会社と評価されます。金額より、その印象のほうが響きます。

秘密保持との両立

  • 閉店後・休業日に実施する
  • 来訪者の人数を絞る
  • 別の名目を用意する(外部委託の棚卸、金融機関の調査など)
  • 協力が必要な幹部1名には、事前に事情を伝える

立会いに耐える在庫リストを作る

当日の混乱の多くは、リストの不備から生じます。

  • 管理番号で1点を特定できる状態にする — 型番だけでは、同じ品物が複数あると照合できません
  • 保管場所を記載する — 探す時間が、そのまま当日の負担になります
  • 仕入日と仕入額を入れる — 日齢の検証に使われます
  • 状態ランクを入れる
  • 区分を明示する — 自社在庫、預かり品、委託品、修理中
  • 合計金額が帳簿と一致することを確認する

6番目の突合を事前に済ませてください。リストの合計と帳簿の在庫金額が合わない状態で立会いを迎えると、その場で説明できません。差異があるなら、原因を特定して整理してから当日を迎えてください。

当日の進め方を設計する

限られた時間で、必要な確認を終える必要があります。

  1. 抽出の範囲を事前に合意する — 全数か、金額上位か、無作為抽出かです
  2. 時間配分を決める — 場所ごとの所要時間を見積もります
  3. 案内する担当者を決める — 保管場所を把握している人が必要です
  4. 質問への回答者を決める — その場で答えられない場合の対応も決めます
  5. 写真撮影の可否を確認する
  6. 差異が出た場合の記録方法を決める

1番目を事前に合意しておくと、当日が円滑になります。全数の照合は現実的でないことが多いため、金額上位のカテゴリを重点的に確認する形が一般的です。範囲を決めておけば、双方の準備ができます。

差異が出たときの受け答え

差異はある程度生じます。対応のしかたで評価が変わります。

  • その場で言い訳をしない — 事実を記録し、後で原因を調べると伝えます
  • 原因を特定して報告する — 移動記録の漏れ、廃棄処理の未入力など
  • 金額への影響を自分から示す
  • 是正の方法を提示する — 記録の運用をどう変えるかです
  • 差異率が想定内かを説明する — 過去の棚卸実績と比較して示します

5番目の材料を用意しておいてください。過去の棚卸で継続的に差異率を記録していれば、今回の差異が異常値でないことを示せます。記録がなければ、単発の差異が管理不備の証拠として扱われます。日常の棚卸記録が、この場面で効いてきます。

まとめ

3か月前に自社で棚卸、2か月前に預かり品を分離、1か月前に在庫一覧を整える。この順で準備してください。

実売価格の実績を添えられると、在庫評価を守る強い材料になります。