よくある質問
Q. 株式譲渡でも運送業の許可は引き継げますか。
株式譲渡では会社そのものは変わらないため、許可は会社が持ったまま継続するのが一般的です。ただし役員が変わるため、変更の届出が必要になります。手続の内容は管轄によって異なるため、運輸支局にご確認ください。
Q. 事業譲渡の場合はどうなりますか。
事業譲渡では、許可は自動的には移りません。貨物自動車運送事業では譲渡譲受の認可を受ける手続があり、審査に時間がかかります。倉庫業、利用運送、廃棄物収集運搬など、他の許認可も個別に確認が必要です。譲渡譲受認可の手続きをご覧ください。
Q. 運行管理者がいなくなったらどうなりますか。
選任が欠けた状態は事業の継続に関わります。社長が兼任していた場合、代表交代や相続の際に欠員が生じることがあります。有資格者を複数確保しておくことが備えになります。早急に運輸支局にご相談ください。運行管理者の確保と育成をご覧ください。
Q. 車庫が社長個人の名義です。問題ありますか。
直ちに違法というわけではありませんが、賃貸借契約が結ばれているか、賃料が適正かが確認されます。また相続が起きた際に、会社が使い続けられるかが不安定になります。承継前の整理をおすすめします。個人名義の車庫を法人に移すをご覧ください。
Q. 許可の欠格要件とは何ですか。
役員などが一定の事由に該当すると、許可を受けられない、あるいは取り消されるという定めです。承継で新たに役員に就く人について、事前の確認が必要です。特に廃棄物収集運搬業では、1つの許可の取消しが他の許可にも波及する仕組みがあります。具体的な該当性は、所管窓口と専門家にご確認ください。
Q. 複数の許認可を持っています。何から確認すべきですか。
まず一覧を作ってください。種類、許可番号、管轄、有効期限、更新時期。一般貨物、利用運送、倉庫業、廃棄物収集運搬など、それぞれ届出先も手続も異なります。一覧があるだけで、承継の準備もM&Aの資料提出も格段に速くなります。運送業の許認可 完全ガイドをご覧ください。
Q. 行政処分を受けたことがあります。売却に影響しますか。
影響します。ただし隠すほうが問題です。処分の履歴は公表情報から判明します。先に開示し、再発防止策を説明できれば、むしろ管理体制の証明になります。表明保証とは何かをご覧ください。
Q. 個人事業として営んでいます。相続はどうなりますか。
法人と大きく異なります。許可が事業主個人に紐づいているため、相続による承継の手続が必要です。期限のある手続もあります。相続が発生したら、まず運輸支局にご相談ください。個人事業主の相続と許可の承継をご覧ください。
一覧づくりについての質問
Q. 一覧には何を書けばよいですか。
許認可の種類、番号、管轄、取得の時期、有効期限、更新の時期、担当者。この七項目です。営業所ごとに持っているものがあれば、拠点も分けて書いてください。作ってみると、把握していなかったものが見つかることがあります。
Q. 書類がどこにあるか分かりません。
まず社内を探し、見つからなければ管轄の窓口に相談してください。記録が残っているはずです。当時の担当者が残っているなら、話を聞いてください。書類が見つかったら、保管の場所を決めて一か所にまとめてください。
Q. 更新を忘れそうです。
一覧に期限を書き、暦にも入れてください。更新には準備の期間が要るものもあるため、期限の数か月前に確認する日を設定しておくと安心です。担当が代わるときの引き継ぎも決めておいてください。
Q. 届出と実態が合っているか不安です。
営業所と車庫の位置、面積、車両の台数。届け出た内容と現在の状態を突き合わせてください。長年のあいだに使い方が変わっていることがあります。ずれが見つかったら、どう扱うべきかを運輸支局や行政書士に確認してください。
資格者についての質問
Q. 有資格者は何人いれば安心ですか。
必要な人数は規模によって定められています。ただし、法令上の最低限だけだと、一人が休んだ時点で欠けます。だから、余裕を持って確保しておく必要があります。何人が適切かは、自社の体制と規模から判断することになります。
Q. 資格者の一覧も作るべきですか。
作ってください。氏名、資格の種類、取得の時期、更新が要るならその時期、年齢。年齢まで入れておくと、数年後に何人が退く見込みかが読めます。この見通しがあると、いつ誰に取らせるかも決められます。
Q. 資格を取らせる費用は会社が持つべきですか。
持つ会社が多くなっています。取得の支援があること自体が、採用のときの訴求にもなります。ただし、費用を出す代わりに一定期間勤めてもらう取り決めを作る場合、その内容が労働法上どう扱われるかは確認が要ります。社会保険労務士に相談してください。
Q. 資格者が高齢化しています。
年齢の分布を見て、数年後に何人になるかを計算してください。減る見込みなら、その分を今から補う必要があります。資格の取得には時間がかかるため、気づいてから始めても間に合いません。
承継の手法と許可の関係についての質問
Q. どの手法なら許可の手続が軽くて済みますか。
会社そのものが残る形のほうが、許可まわりの手続は軽くなる傾向があります。株式を渡す形と、事業だけを渡す形とでは、そもそも許可の扱いが違うためです。ただし手続の軽さだけで手法を決めると、税や保証の面で不利になることがあります。許可、税、保証の三つを並べて比べてください。譲渡譲受認可の手続きをご覧ください。
Q. 会社を分けてから渡す方法はどうですか。
運送の部分だけを切り出して渡す、という考え方はあります。ただし切り出した先で許可をどう扱うかという論点が必ず出ます。手法を決める前に、許可がどう動くかを先に確認してください。順番を逆にすると、決めた後で組み直すことになります。
Q. 手続にかかる時間の見当をつけたいのですが。
手法によって差が大きく、また管轄によっても違います。ここで一律の目安を申し上げることはできません。自社の管轄の運輸支局に、想定している手法を伝えて確認するのが確実です。その回答をもとに、いつまでに何を決めるかの逆算をしてください。認可にかかる期間の考え方をご覧ください。
Q. 手続の期間中、事業は続けられますか。
続けられる形と、そうでない形があります。ここは手法によって大きく変わる部分で、事前に把握していないと、取引先への説明も従業員への説明もできません。手法の検討と同時に、期間中の運営がどうなるかも確認してください。
営業所と車庫についての質問
Q. 営業所を移転したいのですが、承継の前と後どちらがよいですか。
移転には手続が伴います。承継の手続と重なると、どちらも止まる場合があります。急ぎでなければ、片方が終わってからにするのが無難です。急ぐ理由があるなら、二つの手続の関係を運輸支局に確認してから動いてください。営業所の要件と移転をご覧ください。
Q. 車庫を借りていますが、契約が口約束です。
承継の場面では必ず問題になります。買い手も後継者も、事業を続けられる裏づけを求めるためです。今のうちに書面にしてください。地主との関係が良好なうちのほうが話しやすく、条件も整えやすくなります。車庫の要件をご覧ください。
Q. 車庫が手狭になっていて、実際には別の場所にも置いています。
届け出た内容と実態がずれている状態です。買い手の調査で見つかると、条件の見直しにつながります。先に自分で見つけて、どう扱うべきかを確認してください。整理してから話を進めるほうが、結果として早く進みます。
Q. 拠点ごとに管理の状態がばらばらです。
本社は整っているが支店は担当者任せ、という会社は珍しくありません。承継の準備では、拠点ごとに同じ項目を確認してください。一覧を拠点別に作ると、どこが弱いかが見えます。弱いところから手をつければ、限られた時間でも効きます。
監査と処分の履歴についての質問
Q. 監査に備えて、日ごろ何をしておけばよいですか。
特別なことではなく、決められた記録が決められたとおりに残っているか、それだけです。点呼、運転者の記録、車両の整備、労働時間。備えるとは、当日に慌てないことではなく、普段どおりを見せられることです。監査への備えをご覧ください。
Q. 過去の処分は、いつまで影響しますか。
いつまで、という線を私どもが示すことはできません。ただ実務では、処分そのものより、その後に何をしたかが見られます。原因を特定し、手順を変え、変えた後の記録が積み上がっている。この三つが示せれば、履歴があることは決定的な不利にはなりにくくなります。処分履歴とM&Aをご覧ください。
Q. 処分の履歴を、買い手にいつ伝えるべきですか。
早いほうがよいです。調査の段階で出てくれば、隠していたと受け取られます。自分から先に、経緯と対策をそえて伝えてください。同じ事実でも、伝える順番で受け取られ方が変わります。行政処分の影響をご覧ください。
Q. 軽微な指摘も伝える必要がありますか。
指摘の内容によります。ただ判断に迷うなら、伝えておくほうが安全です。伝えて問題にならなかったものは後を引きませんが、伝えずに出てきたものは信用の問題になります。何を伝えるかで迷ったら、支援してくれる専門家に一覧を見せて相談してください。
相談先と時期についての質問
Q. 許認可のことは誰に相談すればよいですか。
手続そのものは行政書士、労務が絡むなら社会保険労務士、承継の設計まで含むなら税理士や仲介の担当者。一人ですべてを見られる人はいないと考えて、役割で分けてください。そのうえで、誰が全体をまとめるかを決めておくと話が散りません。相談先の選び方をご覧ください。
Q. まだ承継を決めていません。それでも相談してよいですか。
むしろその段階が向いています。決めてから相談すると、選べる手法が限られていることが分かるだけになります。決める前に、何が選べるかを知っておくための相談です。その場で決める必要はありません。
Q. 運輸支局に直接聞いてもよいのでしょうか。
問題ありません。手続の内容や必要な書類は、管轄に聞くのが最も確実です。本やインターネットの情報は、管轄や時期で違っていることがあります。聞くときは、想定している手法と自社の状況を具体的に伝えてください。
Q. 準備はいつから始めればよいですか。
一覧づくりだけなら今日からできます。書類を集め、期限を書き出し、実態とのずれを確かめる。この作業に許可も費用も要りません。そして、承継の話が具体化したときに最も効くのが、この一覧です。許認可の承継をご覧ください。
Q. 相談するときに持っていくものはありますか。
許認可の一覧、資格者の一覧、営業所と車庫の状況。この三つがあれば、初回でもかなり具体的な話ができます。手ぶらで行くと、次回までの宿題が増えるだけになります。不完全でも構いませんので、分かる範囲で書き出してから行ってください。
この分野で共通すること
ここまでの質問に共通するのは、許認可は「持っているか」ではなく「示せるか」で見られるということです。許可は確かにある。しかし書類がどこにあるか分からない、届け出た内容と実態がずれている、資格者が一人しかいない。この状態は、外から見れば持っていないのと大差ありません。
そして、示せる状態にするための作業は、どれも地味です。書類を集める。一覧を作る。期限を書き出す。実態と突き合わせる。派手さはありませんが、承継でもM&Aでも、ここが整っている会社は話が速く進みます。逆にここが整っていないと、どれだけ収益が良くても、相手は慎重になります。
なお、個別の要件や手続の詳細は、管轄と時期によって異なります。本記事は考え方の整理までとし、自社に当てはめた判断は、運輸支局と専門家にご確認ください。
まとめ
許認可の扱いは、株式譲渡と事業譲渡で大きく異なります。まず自社が持つ許認可の一覧を作り、管轄・有効期限・更新時期を整理してください。運行管理者などの有資格者を複数確保しておくことも、承継の備えになります。
※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。許認可の具体的な取扱い・必要書類・審査期間は、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄の運輸支局等および専門家にご確認ください。