何が問題か

売れない在庫にも評価額が付くことがあります。現金化できないものに対して税負担が生じるという構図です。

  • 滞留在庫が帳簿に残っている
  • 相場が下がった商材を高い簿価で持っている
  • 状態の悪い品が評価減されていない

評価の考え方

区分評価で見られる点
通常の在庫取得価額や販売可能価額
陳腐化した在庫評価減の余地があるか
相場のある商材相続の時点の相場
売却の見込みがない品処分費用も考慮されるか

評価の方法には決まりがあります。自己判断で下げることはできません。税理士に確認してください。

備えとしてできること

  1. 滞留在庫を日常的に処分する
  2. 在庫日齢を管理し、状況を記録に残す
  3. 評価減の根拠になる資料を残す(販売実績・相場)
  4. 実地棚卸しを定期的に行う
  5. 帳簿と実態を一致させる

記録が根拠になる

「この商材は値下げしないと売れない」ということを、販売実績で示せる状態にしておいてください。感覚での主張は通りません。

納税資金との関係

在庫の評価が高いと、現金がないのに税負担だけ大きい状態になりかねません。保険の活用や、在庫の圧縮による備えを検討してください。

相続が起きる前にできること

相続が起きる前に、できる対策があります。

  1. 日齢の長い在庫を処理する — 最も直接的な対策です
  2. 個品管理を整える — 評価の根拠が作れます
  3. 実売実績を蓄積する
  4. 棚卸の記録を残す
  5. 簿価と実勢の差を把握しておく
  6. 納税資金の見通しを立てる

1番目が最も効果があります。売れない在庫が簿価で財産に計上されると、実態以上の負担が生じます。処理を進めておけば、財産額が実態に近づき、同時に現金も確保できます。日常の経営改善としても意味があります。

評価を説明する資料

評価を説明するには、資料が必要です。

  • 日齢別の在庫金額
  • カテゴリ別の実売実績
  • 値下げ・処分の実績
  • 棚卸の記録と差異率
  • 過去の評価減の記録
  • これらを継続的に残す

評価の方法は、必ず税理士にご相談ください。在庫の評価方法には定めがあり、選択できる場合もあります。ただし、根拠となる記録がなければ、その方法を適用できません。日常の記録が、そのまま備えになります。

納税資金を確保する

財産額が大きくても、現金がなければ納税できません。

  • 在庫に資金が寝ている構造を認識する
  • 納税額の見通しを試算する
  • 手元の現金・預金と比較する
  • 不足がある場合の対応を検討する
  • 保険の活用を検討する
  • 在庫の圧縮を進める

6番目が構造的な対策になります。在庫を減らして現金化しておけば、納税資金の確保と財産額の適正化が同時に進みます。この業種では、在庫の管理がそのまま相続対策になります。試算は税理士にご依頼ください。

相続人への説明を準備する

帳簿の数字だけでは、実態が伝わりません。

  • 簿価と実勢価格の差を説明する
  • 日齢の分布を示す
  • 売れるまでの期間を説明する
  • 処分に費用がかかる在庫があることを伝える
  • 資料を作って残しておく

5番目を生前に用意しておいてください。相続が起きてから説明する人がいないと、相続人は帳簿の数字だけで判断することになります。在庫の実態を示す資料を作り、家族が確認できる場所に置いておいてください。

まとめ

在庫の相続対策は、日常の在庫管理そのものです。

滞留を減らし、記録を残す。これが最も確実な備えになります。

※ 本記事は一般的な考え方を整理したものです。税務上の取扱いや補助金の対象・要件は、制度の改正や個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家および管轄窓口にご確認ください。